玉川高島屋、「たまがわ薪能」を観た!
第1回目の「たまがわ薪能」、一昨年は先着順で入れると思い、2時間前に行ったら招待券がないと言われて、観ることは出来ませんでした。第2回目に昨年は、事前に申し込んだけども、招待券は残念ながら届きませんでした。第3回目、三度目の正直、今年は見事に招待券をゲットし、「たまがわ薪能」を観てきました。
玉川高島屋の本館屋上フォレストガーデンで行われる「たまがわ薪能」、暮れなずむ屋上庭園が幽玄の世界に変わります。演目は能では比較的ポピュラーと言われている「安達原」白頭・急進之出、でした。まず、演目についての詳細な解説がありました。
陸奥、安達ヶ原で行き暮れた山伏一行は、荒野の一軒家に宿を借ります。主の女は旅のなぐさみにと、糸車を回して見せ一行をもてなします。そして閨のなかは見ないようにと念を押し、薪をとりに出て行きます。不審に思った一人がそのわけを知り、さては鬼の住処かと、一同女に立ち向かいます。女の繰る糸車や閨が、人間の心の二面性を象徴的に表現しています。
折良く満月の月を観ながら、7時から始まり8時15分まで、幽玄の世界を堪能し、集中して観たせいか、アッという間に終わりました。
梅若猶彦さんのサインが入った「能楽への招待」という本があります。サインの横に書かれた日付けは、2003年2月22日とあります。新書が発行されてすぐですね。神保町の行きつけの「M」というお店で、サインをいただいたのは憶えています。10数人の会合に来ていただきました。「能」についてどういう話をされたのか、あまり記憶がありません。ほぼ貸し切り状態で、お酒の勢いだったのか、梅若さんは「道成寺」を唱ってくれました。
梅若猶彦さんは「能楽観世流シテ方」で、「頭で覚えるより身体で覚えろ」という世界では珍しく、ロンドン大学大学院の博士課程を修了している理論派です。この本では、能舞台や装束、面、役柄、歴史という基礎知識はもちろん、「型附」という秘伝書には何が書かれているのか、世阿弥が到達した最高の美は「幽玄」かなどの本質論まで、演技者であり思索家でもある著者が存分に解説しています。一度読みましたが、分かりにくかった個所が数多かった記憶があります。この機会に、「能楽への招待」を読み直してみようと思います。
「能楽への招待」
著者:梅若猶彦
2003年1月21日第1刷発行
岩波新書