「大事なことは何も言ってくれない」寂しさ。 | pacoの日記

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小さな港町
からの
ひとりごと






「大事なことは 何も言ってくれない」


その人。




「大事なことは 何も言ってもらえない」


私。





「大事なことは何も 言うことが出来ない」


その人。





「大事なことはすべて 伝えているのに

             それ 届かない」



あの人。








こんなふうな心の苦しみの経験、

したこと ある?


私は…  ある。




歳を重ねた人なら誰しもー

小さな一つや二つなら、

あるかもしれない。




心が受けた小さなかすり傷なら

他人には見えない内側に そっと。

隠している。




『人は誰もが罪人だ』。


ふと、

誰かの声が聞こえた ような。




だけど傷がーー


それが気づかない内に

どんどん大きくなっていく。


心が病み

やがて 

壊れたとしたら…。



それは紛れもなく

魂の殺人 だ。




押し寄せては引く寂しさや

孤独、不安、

やるせなさ。



私が観た



映像。



その佐渡の波は

やがて慟哭となる

    一篇の詩だった。








「千夜、一夜」








悲しい、哀しい物語だ。

人が見て見ぬふりをしたい心の深い部分を

丁寧に丁寧にすくいあげて

描いている。




正直、

今 そこそこ幸せで

他人との繋がりも軽い表層で済ませて

それでイイ感じな人はー

見ても訳分からなく、

ただ暗い気持ちになるだけかもしれない。



若い人も、傷を経験した人じゃなければー

よく分からないかもしれない。



映画のトレーラー。

商業的?誘い文句で最後、

「そこまで誰かを愛せますか?」

出てくる。



それがまた

「そこまで誰かを愛さない」

そんな現代の乾いた風潮を示唆しているようで

また、哀しい。




ある文章。

映画の触れ込みでこの映画を

「ラブストーリー」と表現している物も読んだが、

私はそのカタカナ書きの表現も

この映画には不釣り合いだと感じた。

語弊を生じさせる表現にさえ思えた。


怒っていたり攻撃する意味ではないけれど、

きっと映画を深く理解できなかった若い人が

仕事上で言葉を書きあぐねてそうなったーと

勝手に察したり。(失礼m(_ _)m)


けれど…

これは巷にある軽やかなラブストーリーとして

丸っと納められる物語では、無い。




人が安心・安全や幸せに生きるために

愛ーという温かい心情が必須であるならば。


心と感情が人間にはあるー

そういうものが前提であるならば。


そんなことが少しでも分かる人には、

理解の可能性がある映画だ。



あるほんの一瞬、

もしくは積年の時の中で

人の持つ「意思疎通」の手段がもつれてゆく。


人間であるが故に感じる

理不尽さ、不合理さ、不条理感。

理由を求める気持ち。



それらはとても正当なものと、私は思う。



ただ人生に真っ向している

純粋で繊細で

不器用な人たちにとっては。



親と子の間柄の中で、

夫婦の間柄の中で、

近しい人との間柄で。
 


幸せを感じて生きるには

人の持つ「コミュニケーション」という手段が

心の持ちように殆どと言ってよいほど

大きな比重を占めている、

そう私は感じる。



その人にも私にもあの人にも

その時には気付かなかった無意識の感覚が

誰かを傷つけたり

心を殺していくこともある。

もしくは、自分で自分の心を殺していることも。



とても、

難しい…ね。



そんな色々が頭の中を交差し、

私には気付きや学びになる映画だった。




複雑に絡む心の闇や

精神の扱いを学ぶ人にも

考えやヒントを貰えるきっかけとなるのではないかな。




監督さんや俳優さんも、間違いない。

映画として、

どこにも何の落ち度もない完璧さ、だ。



ここまで完璧な哀しい映画、

久しぶりに観た。


ここまで

取り残され、また

見捨てられた人間を丁寧に見つめた作品は

久しぶりに観た。


そう、これは 残された側の人間の物語。


勝手に行ってしまった人の

もしくは連れ去られた人の

それらの人の語られる事の無い「理由」が、

残された人を苦しめる。



勝手に行ってしまった人間には

それぞれ思うところの理由はあったのだろうがー

問題は、「それを伝えず」に消えたこと。



その、罪 とは。




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今、幸せな人は 相手あってのことだと

それに感謝する。



今、哀しい人には 少しずつ 少しずつでも

周りの人が一緒になって

心に寄り添い続ける想いと力が必要。

自分は助けるには無力とも思えるとしても…

人は誰しも、そう強くはない から。



あと、

消えてどっかに行こうとしてる人ー

どっかに勝手に消えちゃってる人。

(DVとか毒親・
宗教から逃れてる人は別にして。)


必ず、落ち着いたら連絡は入れるように。


連絡を入れるの 怖いかもしれんけど。

関係修復は無理かもしれんけど。



勝手に失踪や音信不通ー

それは自分を気にかけてくれる誰かの

心を殺しているかもしれない。



もし、

その誰かの心だけじゃなく

その身体が本当に死んでしまって

最期、自分自身が後悔するとしたら?


もし、

今それを想像できて、

少しでも怖いと思う感情があるならばーー


映画の中のダンカンみたいに

菓子折り持ってひょこっと現れて

殴られれば いい。



殴られたならば

まだマシだ。


結果によっては、

もっと残酷かも 

しれない。


だけど

自分で決めるなら、

ちゃんと向き合えば いい。




分からない?




それが一番、哀しいねぇ。



だったらこの映画、

一回 

観てみて。



何か変わるかも しれへんし、

何も変わらへんかも しれへん。



だけど。