水への憧憬。 | pacoの日記

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小さな港町
からの
ひとりごと

 

 

 

 

古代ローマが栄えたのはその水の豊かさにあるー

 

そうどこかで読んだ。

 

水路や噴水、水汲み場がたくさんあるローマに憧れる。

 

そんなローマに、いつか訪れてみたいなぁ。

 

 

 

ローマのような都市部ではないけれど、

 

日本、関西の。

 

私の住むところから行ける、水が豊富にある場所の思い出。

 

 

奈良県の天川村、洞川温泉で有名な場所だ。

 

母と◯と共に、バスツアーで何年か前に訪れた。

 

 

 

霊峰大峯山のふもとにある《みたらい渓谷》の川は、

 

轟々と冷たくて綺麗な水で溢れ出ていた。

 

夏だったので、そこで◯と思わず川に飛び込んだ。

 

 

飲めるんちゃうか!という透明な水(実際湧き水も飲める)で

 

その水の豊富さに感服した。

 

 

大峯の山は昔は女人禁制の山伏の修行する山だった。

 

山深くに◯と2人で分け入ろうとした時ー

 

どこからともなく神聖な空気を感じ、

 

私は少しだけ怖さを覚えた。

 

 

しかし私も◯も、山に入ったとたんパワー全開。

 

溢れる自然に、二人とも生気が宿る。

 

 

◯はまだ小学生の頃で、

 

まるで子鹿のように小走りで山の中を駆けた。

 

見失うまいと、私も追うようしに走っているとー

 

ふと木のそばに落ちている《肉片》に気付いた。

 

 

土の砂の上に、肉片。

 

 

それは皮が剥がれたリスくらいの大きさの物で、

 

原型はとどめていない血まみれの肉だった。

 

そして顔を寄せて覗き込むと、

 

驚くことに心臓がまだドクドクと動いていた。

 

 

◯に、

 

「ちょっと待って!! 来て!」

 

「見てみ!これ。 まだ心臓みたいなん、動いてるで・・」

 

 

私がそう声をかけると◯は、

 

「うん。。 何で、これ。 何なん、これ?」と怖がった。

 

 

私は怖がった◯が少し面白かったので

 

咄嗟に冗談まじりにー

 

「ここな、ここの山 きっと狼がおるねんで。

 

だってこんなんするん、肉食動物しかおらへんやん?

 

それか猛禽類のトンビか鷹が襲ってきたんかも。」そう言った。

 

 

道中のバス中でツアーガイドさんに

 

「ここは昔、鬼の子孫が住んでいた村なのですよ」

 

そんな話を聞いていた◯は、

 

色々怖くなったのか「早く山を降りよう!」と言った。

 

 

山を下りながら私は思った。

 

 

『もしかしたらまだ、ニホンオオカミっているのかもな・・』

 

『いや、やっぱり鷹とかかな。

 

それにしても何であの肉片、心臓? まだ動いてたんやろぅ。

 

あぁ、狼が私らの気配に気づいて、食べてる最中に逃げたんかな。。?』

 

 

私の中では絶滅したと言われるニホンオオカミの、

 

「ニホンオオカミそれでも生存説」が頭から離れなくなっていた^^;

 

 

 

その心臓の動いている奇妙な肉片・・・忘れられない。

 

ディビッド・リンチ好きな私は彼の

 

「イレイザーヘッド」を思い出した。

 

モノクロの映像作品だ。

 

ローストチキンが動き出すシーン。。

 

あれを見た時の驚愕に似ている。

 

 

 

とにかく、

 

下山して村の方へ近づくと

 

お店が沢山ならんでいる通りを見て少しホッとした。

 

 

お店の側では川から流れてくる水を使って、

 

夏野菜がカゴに入れ洗われていた。

 

なみなみと途切れなく溢れて、野菜が中でコトコトと泳いでいた。

 

その流れっぱなしの水が、

 

とても羨ましかった。

 

 

 

水溢れる場所への、憧憬。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川では一切 写真を撮るのを忘れて、

 

遊びまわってた。

 

 

目で見て感じて、

 

水の中 自然の中にいると

 

どうしても写真のことを忘れてしまう。