☆ 学校最終日
とうとう迎えた学校最終日の朝。
以前買っておいたハートいっぱいのチョコレートと、先生や友達に渡すプレゼントを持って行く。

学校に着いてキッチンへ行き、先生方にチョコレートを渡す。
今日は学校の事務員さんのシャロンも産休に入る前最後の仕事ってことでたくさんのパンやお菓子を持って来てくれていた。
キッチンに並べられたパンやお菓子の数々はちょっとしたホテルの朝食ビュッフェのようだった。
もちろん私は最後の二度目の朝食。
他の生徒も登校して来て朝食パーリー。

しこたま朝食ビュッフェを楽しんで授業に入る。
今年に入ってずっと同じクラスだったファットマとも最後の授業。
ファットマはお別れ昼食パーリーにも来てくれるということで、とても嬉しい。
宗教の戒律上、配偶者以外の男性の前ではベールをしたままにしておかなければならないファットマにとって、外食はとても至難の技だと思う。
しかし
「アナタの最後のパーティーだもの、絶対に参加させてもらうわよ!」
と言って快く参加してくれることに。
最後までこの人本当に好きだわぁ・・・。
もうクラス内でファットマとロイキのおもしろやり取りも見られなくなるのか・・・と思ったら一気に寂しくなってきた。
でも今から寂しくなってちゃ涙がいくらあっても足りないのでここは堪える。

いつも通りに授業は進んで行く。
「最後」という言葉に敏感になっている私のことを察してくれていたヒラリーは、授業中も一切「最後」という言葉は使わないでいてくれた。
ロイキが
「今日は◯◯が最後だから・・・」
とでも言おうもんなら
「No!」
と言って
「しばらくお休みに入る前に・・・」
と言葉を変えて言ってくれていた。

ブレイクタイムにはちょっとしたセレモニーがあった。
産休に入るシャロンの為に、普段は学校に来られない校長もやって来ている。
ラウンジで職員、生徒みんな集まってシャロンにお祝いのプレゼントを渡すセレモニー開始。
校長のお言葉を聞いて職員からそれぞれプレゼントが渡される。
私ももちろん生徒の一人として参加し、拍手でお祝いをしていたのだが、突然校長に名前を呼ばれた。
「アナタは今までよく頑張りました。これをお渡しします」
と言って、通知表のようなものを校長より手渡しでいただいた。
その際、校長は通知表に書いてあることを読みながら
「アナタはこの学校でこんなことをしたのね、楽しかった?ここでの生活は楽しめた?友達はたくさん出来た?」
といろいろ聞いて下さった。
私、もう途中から大号泣。
しかしナゼだか周りのみんなは大爆笑。
「まだ午前中の授業も終わってないのに早過ぎるってー」
とか言われながら・・・。

そのまま午前中の授業の残りに向かう。
授業の最後に宿題が出された。
もちろん私以外の生徒は来週の月曜日に提出。
ロイキが
「◯◯は宿題しなくていいんだね」
と言う。
しかし私は
「私も宿題いる!私も月曜日に持って来る」
と言った。
ヒラリーは普通に
「あら、宿題嫌いなアナタが宿題くれなんて珍しいこともあるものね。じゃぁちゃんと月曜日に仕上げてくるのよ♪」
と言って私の分も宿題をくれた・・・。

今日のランチはみんなでタイ料理を食べにバービカンへ行く。
エバとラモナも来てくれた。
先生方数人も一緒にみんなで歩いてバービカンへ向かう。
バービカンの町並みを見ながら
「この光景もこれで最後だな・・・」
と思い、一歩一歩踏みしめて歩く。

店に着いて早速ビールをオーダーしようとカウンターへ行く。
するとヒラリーがごちそうしてくれた。
「ありがとうございます」
と言ってありがたくビールをいただく。
程なく料理が運ばれて来た。
私がオーダーしたのは(名前は忘れたけど)日本のきしめんみたいな麺の焼きそばみたいな料理。
それに大きなエビがたくさん入っている。
タイ料理で麺かライスなので箸が運ばれて来た。
私とフランス勢は箸が使える、が、他の人たちは箸の持ち方もわからないとのことで急遽レクチャー。
しかしすぐに使えるようになるものでもない。
エバは一回の説明で箸を使えるようになっていて嬉しそうにぴょこぴょこ箸を動かしている。
他の人はやはり難しいらしく、結局フォークをもらって食べていた。
このタイ版きしめん、甘辛ソースが麺に絡んでとても美味しかった。
ビールによく合う!
「これにビールって最高に合うわぁ」
と言いながらビールをぐびぐび飲む私に隣から白い目線を送ってくるオントナ。
「また昼間っから飲んで・・・。今夜も飲むのに・・・」
と。
それを聞いてヒラリーが
「今日くらい黙って飲ませてあげなさい。その代わり○○、今夜は記憶が無くならない程度に飲むのよ」
とオントナと私に言う。
2人で
「はーい」
と言う。

飲んで喋って楽しい時間はあっという間に過ぎた。
学校へ戻る組は学校で、ここでバイバイする組には私から御礼の品を手渡す。
日本から持って来た日本らしい髪飾りやペンケースなど。
それぞれと最後に話をしてハグしてお別れする。
そこでまた号泣する私。
そんな私にナゼかオントナが卍固めを仕掛ける。
泣きながら私も売られたケンカは買う。
それを崩してコブラツイストを極める。
そんな私たちを見て一同大爆笑。
私も笑えてきた。
オントナなりの慰め方だったんだろう。

学校へ戻る組と一緒に私も学校へ戻る。
帰る途中、プリマス大学構内でフレンチメンのマキシムにばったり会う。
オントナとロイキが立ち止まって話をしている。
その隣ではファットマが友達と会ったようで立ち話をしている。
コラリンと私とヒラリーは学校へ帰る。

本来なら私は午後の授業は無いが、ヒラリーの計らいでオントナ、コラリンの受験クラスに私も入って本当に本当の最後の授業を受けることになった。
とは言っても午後の授業は残り30分。
あっという間に時間は過ぎた。
授業の最後にコラリンとオントナに御礼の品を渡す。
オントナとロイキには日本の有名絵画(写楽と北斎の絵)がプリントされた手ぬぐいを渡したのだけど、これをこの2人はとても喜んでくれた。
オントナは
「これはどう使うものなの?」
と聞いてきて
「頭に巻いたり・・・」
と言った時点で
「こうだね!」
と言ってはちまきみたいにして頭に巻いて
「ガンバルゾー!」
と日本語で言っていた。
外ではロイキにもこれを渡したのだが、オントナのマネをして頭に巻いて何かポーズをとっている。
写真に撮れということらしいが、何のポーズかわからない。
聞いてみると
「ドラゴンボールだよ」
と言うではないか。
ドラゴンボールにはちまき巻いた人って出てきたっけかなぁ?と思っていると
「フリーザだよ!」
と言う。
フリーザってはちまき巻いてたっけ?いや巻いてない。
フレンチバージョンは巻いてるのか?
そんなロイキは今度はまた不思議なことをしている。
再びポーズをとって写真を撮れと言う。
それは何かと尋ねると
「2PACだよ♪」
と得意げに言う。
2PACってこんなんだったっけ???
まぁ本人ノリノリなんでいいけど・・・。

午後授業組のファットマにも御礼の品を・・・と思っていると、どうやらファットマは今日は午後の授業には出てないらしい。
えーーーーーっ!私お別れ言ってないのにーーー!
しかたないのでヒラリーに御礼の品とお手紙を託す。
ヒラリーたちと喋っているとミックがやって来た。
「あ、ミック!私、今日で最後なんだ!」
と言うやいなや、ギューーーーってハグされて両方のほっぺにチュッチュチュッチュキスされた。
最後はほっぺたをハムーって噛まれた。
そして
「元気でいるんだよ。いつでも帰ってこいよ・・・」
って言ってくれた。
いつも冷静で覚めた思考の持ち主のミックがこんなに感情をあらわにするなんて驚いた。
ヒラリーも
「未だかつてあんなミック見たことないわ」
と言っていた。
きっとミックにとっては私という存在は心配の種だったのだろう。
この学校に来た時、初めてのクラスの先生がミックだった。
英語が一切わからない私に手を焼いたことと思う。
しばらく経ってからもやっぱり授業についていけずにぼけーっとしていた私。
英語の勉強よりも飲むことばっかりに一生懸命になって、ミックが大嫌いなフットボールに熱狂していた。
そんな決して優秀とは言えない私が心配だったと思うよ。
ミックは先生としては厳しくて難しくて苦手だったけど、人としては大好きだったんだ。
典型的なジェントルメンで、いつもレディーファースト。
エスコートの仕方もスマートでとってもステキだった。
そんなミックともお別れ・・・。
ヒラリーとも学校でお別れ。
授業もわかり易かったし、話も楽しい。
プリマスの町のことをいろいろ教えてくれて、生活で困ったことがあってもヒラリーに言えば即解決してくれた。
とっても頼もしくて強くて優しい女性。
ヒラリーとも涙涙でお別れ。

学校の外で最後に校舎をバックに写真を撮る。
オントナとロイキは今夜のパーリーで会うからいいんだけど、コラリンとはこの町で会うのはこれで最後。

家に帰るのにいつものようにコラリンといつもの道を帰る。
いつもの分岐点でいつものように立ち話。
なんてことない話をしていると突然コラリンが泣き出した。
「寂しいよぉ・・・」
って・・・。
彼女がこんなふうに泣くのを初めて見た。
わりとドライな現代っ子だと思っていたので意外だった。
そんな意外な彼女の涙を見て思わず抱きしめてしまった。
「来年アジアに来るんでしょ?そうなったらいつでも会えるじゃない。それにスカイプだってあるし、いつだって会える。だから泣かないで・・・」
って言いながら私も泣いてしまった。
ここへ来て何度も思ったが、やっぱり別れは辛い・・・。
今回は私が去る番だけどね。
後ろ髪引かれる思い・・・過去に去って行った友達もみんなこんな思いだったのかなぁ・・・。
心を決めて
「コラリン、ここでお別れしよう。大丈夫、『さよなら』って言わなかったらいいんだよ。『また来週!』っていつもみたいに別れようよ。来週スカイプで会おう!」
とコラリンに言う。
コラリンも頷いて、ニコリと笑って
「また来週ね!」
と言って手を振った。
涙でグチャグチャな顔なのに可愛い。
私は泣くときったなくなるんだけどなぁ・・・。
そんな可愛いコラリンに私も手を振り、それぞれの道を歩き始めた・・・。
コラリン・・・去年の秋に一度この町を去ったけど、今年になって再び戻って来てくれた。
パリでも会った。
来年は韓国に留学すると言う。
話が合っていつも一緒にいた。
酒ばっか飲む私を心配してくれていた。
本当に可愛い可愛い私の妹?娘?・・・大切な友達。
来年は日本にも遊びに来い!!

帰宅してからパッキング作業の続きを行う。
今夜はパーリーなのでそれまでに荷物をまとめておかなければいけない。
今夜の洋服と明日の洋服だけを残し、あとは全てスーツケースにぶっ込む。
あきらかに重量オーバーだなこりゃ・・・。
シャワーを浴びたりメイクをしたりして夜に備える。
夕食に呼ばれ、最後の夕食。
ここでホストマザーにこれまでの御礼にCDを渡す。
「Lovely!!!」
連呼でものすごく喜んでくれた。
このLovelyも聞き納めだな。
最後にたくさん話をした。

パーリーの集合時間が来たので出掛ける。
今夜のメンバーは知らない。
オントナが声を掛けてくれているらしい。
集合場所で待っているとオントナとロイキが来た。
後からエバも来てくれるらしい。
3人で飲んでいるとそこへマキシムも来てくれた。
「今夜が本当に最後なんだね・・・」
って。
3人で飲んでいると次はエバが来てくれた。
「◯◯ーー!帰らないでーーー!!」
ってどストレートな彼女も今夜が見納めだ(笑)
彼女のマイケルばりのダンスも今夜が最後。
飲んで飲んで踊って踊って騒ぎまくった。
店を移動する途中にエバとお別れの時が来た。
「◯◯、私はまだしばらくこの町にいるからまたいつでも帰っておいでよ。また一緒に踊ろうね!」
と、弾けるようないつもの笑顔で言う彼女が愛おしくなって、大号泣しながら
「I love you~!!」
と言ってハグしながらほっぺにチュウしまくった。
そんな私をみんな笑いながら見ている。
何がおかしい?!
エバも笑いながら私のキスを受けてくれて
「See you sooooon!!」
と言って帰って行った。
その後もしばらくワンワン大号泣する私を
「まぁまぁ・・・」
とか言いながら落ち着かせる残りの3人。
それでも次の店でも飲む私。
そして踊り狂う私・・・。
もうね、メイクがどうのなんてどうでもよくなった。

しばらく飲んで踊っていると、今度はオントナとお別れの時が。
この子との別れはこれまた辛過ぎる。
ダンスホールの中心で泣き叫びながらハグしながらチュウしまくる。
「酒くせーーーー!」
と言って笑いながら私のキスを拒むオントナ。
「最後くらい母さんの言うこと聞きなさい!」
ときったない顔で言う母さん。
オントナは笑いながら
「今年の夏にフランスで会おうな・・・」
と言っておでこにキスして去って行った。
再び泣き叫ぶ私。
ロイキとマキシムが2人して
「泣くなよ・・・」
と言いながら酒を持ってきてくれたりハンカチで涙を拭いたりしてくれる。
周りのお客さんたちも
「ゲイシャガールは何で泣いてるんだ?」
と言い出し、ロイキとマキシムが事情を説明。
「ゲイシャガールはニッポンへ帰るのか?!」
となり、周りのお客さんたちもそれぞれ泣き叫ぶ私に慰めの言葉を掛けてくれる。
それがまた余計に辛いんだけどね・・・。
みんなが酒を持って来てくれてそれを飲みながら泣いていたのでだんだん泣くのがしんどくなってきた。
そのうち頭ん中気持ち良くなって再びダンスホールに戻って踊り出した。

そこからは長い長い最後の夜・・・。
最後の夜は思い出深い夜となった。
朝起きてふと思った。
ここで目覚めるのもあと1回・・・。

今日は午前中の授業返上でアップルクランブルを作る日。
ウキウキしながら登校する。
今日もキッチンで二度目の朝食♪

今日のクッキングメンバーはヒラリー班のファットマ、ロイキ、私と、ミック班のXさん(リビアの女性で名前がわからない)。
ヒラリーに言われるがままにリンゴを剥いたり小麦粉を計ったりする。
マイフレンチシェフであるロイキは料理好きとあってナイフさばきも上手。
ペラペラとFMEを喋りながら器用にリンゴを剥いている。
ファットマはさすが4人の子持ちの主婦、手早くどんどん剥いて行く。
私はというと、いかにリンゴの皮を切らないで剥き続けるかということにこだわりながらゆっくり剥いて行く。
バター入れて粉練ったりこねたりしながらオーブンにイン。
後は焼き上がりを待つのみ。
その間、ロイキはファットマとXさんにフランスで撮ったという動画を見せている。
それもFMEの説明付きで・・・。
それを笑いながら見ているファットマとXさん。
そこへヒラリーがロイキにおつかいを頼む。
「これ見ててくれていいからね♪」
と言い、彼のiPhoneを残したままお使いへ出ていった。
彼を見送った後にファットマが苦笑いしながら一言。
「この動画、フランス語で全然わからないわ。おまけに彼の英語もフレンチなまりが強過ぎてうまく聞き取れない・・。彼にはナイショにしておいてね!」
大爆笑してしまった。
そうだろうなぁ。
でもロイキはただのサービス精神旺盛な子。
悪気は一切ないのでこっそりみんなで笑って彼にはナイショにしておくことに・・・(笑)

ロイキも帰ってきてオーブンの中から甘い香りが漂ってきた。
時間はちょうどブレイクタイムに。
他のクラスの子たちも降りて来てティータイムとなった。
出来上がった熱々のアップルクランブルにカスタードクリームをとろりと掛けていただく。
温かいスイーツは美味しい!
スイーツはあまり得意ではないけれど温かければ好きなのだ。
みんなも美味しい美味しいと食べている。
他の先生や事務員さんもやって来て一緒に食べる。
途中、一人の先生が
「◯◯がリンゴが嫌いだったおかげでこんな美味しいクランブルを食べることが出来たわね♪でも来週からはこのキッチンにリンゴが貯まっていく事はなくなってしまうのね」
と寂しそうに言うのを聞いて、私まで急激に寂しくなってしまい、おもいっきりワーワー泣いてしまった。
周りのみんなには
「まだ泣くのは早いから・・」
と苦笑いされながら・・・。

ブレイクタイムが終わったら残り1時間だけ午前中の授業をする。
それを終えるとランチターイム!
食ってばっかり。

キッチンでオントナが、ヒラリーがパリから持って帰ってきたフランスの雑誌を読んでいた。
それに載っている高級ブランドの広告ページが美しい。
その中にエルメスの広告があった。
ステキなバッグが載っている。
しかし天下のエルメス様、お値段も天下一品級。
とてもじゃないけど平民でおまけに無職の私に手が出る品ではない。
その時ふと思った。
そういやぁこの隣にいる少年、金持ちのボンボンだったなぁ。
「ねぇ、このエルメスのバッグが欲しいの。買って」
とお願いしてみる。
一瞬ものすごくたじろいで二度見された。
「欲しいの。買ってよ。私来週には帰国するし。記念に。」
再度お願いしてみる。
「エ・・エルメス・・?あ・・うん・・・」
うんって言ってくれたので買ってくれるのかもしれない。
さすがフレンチボンボン♪
「楽しみにしとくね♪」
と念を押しておく。

さて今日も午後から郵便局へ荷物を持って行く。
今日は最後の1箱。
今日はホストマザーが家に居たので車で送ってもらう。
助かったぁ~。
郵便局へ着いたら連日来る日本人ってことで局員のおばさんも
「もう荷物は無いの?まだあるのなら今日持って来なさい。郵便局が閉まっても待っててあげるからね。」
と言ってくれる。
これが最後の荷物だと告げると
「日本へ帰るの?ここでの生活は楽しかった?」
と井戸端トーク。
持ち金が少し足りなくてカードで支払おうとしたら足らない分だけサービスしてくれたりと、ここの郵便局にはいろいろお世話になりました。
毎回毎回ものすごい汗はかかされたけど・・・。
他の郵便局員さんたちにも声を掛けてくれてみなさんに最後の挨拶をする。
郵便局の近くのチャリティーショップに着なくなった洋服を寄付。
こっちでなんだかんだとたくさん洋服を買ったが、日本へ帰ってからはもう着ないであろう洋服たちとさよならした。

チャリティーショップを後にして歩いて自宅へ戻る。
帰ったらパッキング作業開始。
日本へ送ったり寄付したりでかなり洋服の量は減った・・・はずだった。
スーツケースにパンッパンになってしまった。
かなり余裕がある予測だったのに洋服だけでスーツケースは満タン。
本当はスーツケースに化粧道具やその他諸々、手荷物で機内に持ち込めないものを詰める予定だったのにこれじゃぁ入らない!
しかたなく再度洋服を取り出し、手荷物用の小型ケースに詰め直す。
そして空きスペースを作る。
そんな作業をしているとコラリンとの待ち合わせの時間になった。

今日もコラリンを一緒に買い物へ行く。
買い物と言っても今日はお土産ではなく、ホストマザーへの御礼の品を買いに。
ギリギリまでホストマザーへの御礼の品を考えていたのだけど、今朝、朝食の時間にテレビを見ていた時、CMで女性シンガーのベスト版CD on saleというのを見てホストマザーがえらい興奮していたのだ。
「まぁ!これは絶対に買わなきゃいけないわ!」
って。
ホストマザーは音楽を愛する人で、しょっちゅう歌いながら料理をしている。
休みの日の朝はホストマザーの歌声で目が覚めたものだ。
そんなホストマザーのフェイバリットシンガーらしい。
このCDを御礼の品にしようと決め、ジャケットとシンガーをしっかり頭に記憶しておいた。

CDショップへ行くと捜すまでもなく目的のCDは見付かった。
そしてもう一つの目的・・・クラブミュージック。
普段日本ではクラブミュージックなんて絶対聞かない私だけど、こっちへ来てからはクラブへ通い続け、クラブで掛かっている音楽も耳なじみになった。
こっちでの思い出の一つとしてこの時期のクラブミュージックCDを買おうと思ったのだ。
捜してみるとまさにドンピシャなCD発見。
これを聞く度にゲイシャガールだった頃のUKライフを思い出すだろう・・・。

コラリンが昨日とは違うチョコレートショップに行きたいと言うので同行する。
いくつかチョコレートを買っているコラリン。
店を出るとコラリンが
「これ、◯◯のファミリーへのプレゼントね♪」
って、昨日に引き続きサプライズプレゼント。
姪っ子や甥っ子の分までくれた。
もう本当に泣けてくる・・・。

いつもの分岐点でコラリンとお喋りしているとコラリンがふと
「こうやってここでお喋りできるのも明日で終わりか・・」
と言いだす。
明日で学校が終わり。
考えたくないけど事実。
そんなことを考えているとまた泣けてきたが
「ストップ!まだ泣いちゃだめ!」
とコラリンに涙を止められる。

家に帰ってパッキングの続きを行う。
必要なものだけ出して残りのものは全てパッキングする。
一旦フタを閉めて持ち上げてみるとかなーり重い。
これは重量オーバーかも・・・かと言って量を減らすことは不可能。
もしかしたらオーバー分支払いしないといけないかなぁ・・・。
明日は学校最終日。
☆帰国準備、帰国等でブログアップが停滞しておりました。
 現在は既に帰国済みです。
 記憶を辿り辿り、留学最後までのアップに努めたいと思います。


今日は目覚ましより早くに目が覚めた。
のんびり用意して出掛ける。
今日は郵便局と買い物に行かないといけないなぁ・・・。
あと、実家の母とスカイプでお話しなければ!
今週末に帰国することは母には言ってない。
母は当初の予定通り、3月上旬に帰国すると思っている。
今年は母の誕生日に何も贈り物をしていないので、私の電撃帰国をプレゼントにしようかと・・・。
友達に言わせると
「アンタの母ちゃんだから出来ることだよ。ウチの母ちゃんだったら怒って口聞いてくれなくなるね」
とのこと。
確かにそうかも。
私の母はちょっと天然な人なんで、サプライズに対するリアクションが少しおかしい。
だから、個人的にそのリアクションを楽しみたいというのが本当のところ。
そして私の母はたぶん・・・絶対怒りはしない。
口をぱくぱくさせるくらいじゃないかな。

そんな母には今週末で学校を終え、3月上旬までフランスを旅すると言ってある。
フランスでのネット環境がわからないので、イギリスを出る前に一度スカイプすると言ってあった。
日本との時差、母の寝る時間を考えたらブレイクタイムの時しかスカイプをする時間はない。
ってことで今日はパソコン持参で登校。

学校へ行ってキッチンへ行く。
朝御飯は食べているけどキッチンで二度目の朝御飯。
紅茶を入れてチョコレートやらをつまむ。
キッチンの端っこにはリンゴの小山がある。
これは私が作った山。
果物が苦手な私が、ランチパックに入ってくるリンゴを学校のキッチンに放置していたら山になった。
「◯◯の問題がだんだん増えていく」
と、友達には言われる。
ヒラリー(先生)が、
「このリンゴを使ってアップルクランブルを作りましょう!◯◯のグッドラッククッキングって企画でね♪」
と言ってくれて、クランブルを作ることに。
私はリンゴは嫌いだけどリンゴを使ったお菓子は大好き。
明日の午前中の授業を返上して決行!!

ブレイクタイムに母とスカイプをする。
ラウンジンで日本語でべらべら喋っているとエイサ(先生)がやって来た。
「なーに日本語で喋ってんだ~?」
って。
「母と喋ってんの」
と言うと、パソコンの画面に写っている母に
「こんにちは~!◯◯のイギリスの息子でーす!」
と言っている。
ずいぶん前に私が酔っぱらっている時にエイサのことを「私の息子だ!」と言ったらしい。
私は覚えてないのでなんとも言えないが・・・。
酔っぱらい時に出来た私の息子はとても多い・・・。
オントナもやって来て
「◯◯の息子でーす!」
と言っている。
幸い(?)私の母は英語はさーっぱりな人なので意味もわからずニコニコしながら
「はろー」
と言いながら手を振っている。
訳す必要はあるまい・・・。
帰国は予定通り3月になると伝え、今週末からフランスへ行くと噓の報告。
すると母は
「あー、ちょうどよかったわ。私もこれから仕事が忙しくなるから今帰ってこられても迷惑だったのよー」
と・・・。
うーん、ビミョウな返答・・・迷惑かぁ・・・。

ランチタイムに入り、キッチンへ行くとコラリンはサンドウィッチをむしゃむしゃ頬張っていた。
が、オントナの動きがおかしい。
なにやら自分のコートを持ち、針に糸を通そうと必死になっている。
「何やってんの?」
と聞くと
「コートのボタンが取れたから付けてるんだ」
と言う。
「へぇ~、フランスの男は自分でちゃんとボタン付けするんだね」
と言うと
「俺だってこんなのやったことないよ!」
と言う。
やったことないのにやろうと必死になってるオントナが可愛かったりする。
「コラリン、同じフレンチ仲間なんだから付けてあげなよ」
と、サンドウィッチを頬張るコラリンに言うと
「やだ、私、裁縫出来ないし」
と、冷たく断られる。
なんとなくオントナが可哀想になってきたので
「良かったら私、付けようか?」
と言うと
「ほんとに?!いいの?」
と、椅子から飛び上がって言うので
「はぁ、私で良ければ・・・・」
と言うと
「◯◯がいいんなら俺は喜んでやってもらいたいよ!」
と言うので私が付けることに。
オントナもコラリンも今までボタン付けなんてやったことないそうだ。
やったことないのにトライしようとしていたオントナはエラいと思う。
私が針に糸を通す時点から2人とも興味津々でガン見。
最後の糸を切って
「はい、出来たよ」
とコートを渡すと2人から熱い拍手をもらった。
「やっぱり日本人は手先が器用だ」
と言われる。
ってかボタン付けくらい不器用でも出来る・・・。
「ありがとう!」
と言うオントナに
「今後アンタがこのコートを着る度に私のことを思い出せるようにしっかり縫い付けておいたからね」
と不敵な笑みを浮かべる私。
「目が怖い・・・」
と引き気味のオントナ・・・。
私の痕跡残し作戦大成功!

今日は私は午後の授業がないので一旦家に帰る。
そして午後の授業が終わる時間に再び学校に戻ってコラリンと一緒にお買い物。

帰宅すると用意しておいた日本へ送る荷物を持って郵便局へ。
今日の荷物は中くらいの段ボール箱2箱。
これを一度に持って郵便局まで歩いて運ぶ。
途中、何度も止まっては持ち方を変えながら歩く。
普通に歩けば10分くらいの距離を30分かけて歩いてやっと郵便局に到着。
郵便局に着いたら床に荷物を置いて、足で押しながら窓口に持って行く。
窓口への列に並んでいたお客さんが
「この荷物を一人で運んできたの?重かったろ?僕より先に窓口に持って行きなさい」
と言ってくれた。
やーっぱりジェントルメンの国だわ。
でもそれは丁重にお断りする。
なぜなら、彼は封筒一通のみ。
私はデカい箱2箱で、おまけにまた窓口でアタフタして大汗かきながら時間掛けて手続きせにゃならんのはわかっていたから・・・。
案の定、自分の順番が来てアタフタ&大汗で手続きする。

郵便局を出てそのまま学校に向かう。
学校に着くとまだ授業は終わっていなかった。
音楽を聞きながらラウンジで本を読んでいると後ろから
「ワッ!!!」
と言われ、あまりの驚きにおもいっきり叫び声を上げてしまった。
後ろにはオントナがものすごい驚いた表情で立っていた。
私の声を聞きつけてワラワラと先生や事務員さんがやってくる。
オントナと2人でぺこぺこ謝る・・・。
「もー!アンタのせいだからねっ!」
と怒ると
「だって、そんなに驚くとは思わなかったんだもん・・・」
としょげるオントナ。
ちょっと可哀想。

コラリンがやってきて一緒にお買い物。
この買い物が最後のお土産ショッピング。
今日全てのお土産を箱詰めして明日、最終便を日本へ送る。
それと、最後の日に学校へ持って行く用のチョコレートを買いにチョコレート屋さんへも寄る。
ここのチョコはちょっと高級だけど、お世話になった学校のみんなへのお礼にちょっと奮発して、ハートがいっぱいのチョコレートを購入。
コラリンも一生懸命見ている。
バレンタイン時期ってこともあり、ハート型のチョコがたくさん並んでいる。
その中から大きなハートのイチゴチョコを選んで買っている。
レジのおじさんに
「メルシー♪」
って言われているコラリン。
店を出てコラリンが
「なんであのおじさん、私がフランス人だってわかたんだろ?」
と不思議そうに言っている。
「おじさんの前で何か喋ったの?そうだとしたらフレンチなまりでわかったんじゃない?」
と言うと
「いや、何も喋ってないよ。だから不思議なんだよねぇ・・・」
と言う。
確かに不思議だ。
顔だけ見てもわかるまい。
特に彼女はフランス人とポルトガル人のハーフなので生粋のフレンチとも顔立ちは違う。
んで結局結論は出ないまま、不思議だねーで終了。

歩いて帰っているとコラリンが突然、さっきのハートイチゴチョコを出し
「はい、これ◯◯に!◯◯は甘過ぎるミルクチョコは苦手だけどイチゴチョコは大好きでしょ?愛を込めて・・・♪」
って言いながらチョコをくれた。
「やだーーーーー!なんでーーーー?!」
と言いながら既に涙腺ゆるゆるの私。
こういうことは事前に伝えておいてくれないと・・・。
私は母と違って感動屋さんなのだ。
感情の起伏が激しいとも言うが・・・。

ありがたくそのチョコをいただいて、その場でバリバリむいて食べる。
イチゴの酸味が程よく効いて、甘酸っぱいチョコは最高に美味しい!!
「これ以上太ったら大変だけど、このチョコで太るなら私は後悔しないよー」
と言いながら食べていると、ポソリとコラリンが
「いいなぁ、◯◯はデブで・・・」
と言った。
一瞬我が耳を疑った。
えーっと、今デブっておっしゃいましたぁ?!
もう一度聞き返すと
「◯◯はデブだから羨ましい」
と言う。
やっぱりこいつデブって言った!
「ちょっとぉ、自分でデブって言うのは許せるけど人に言われるのは許せないんだけどー」
と言うと
「なんで?いいじゃんデブなんだから。私なんか痩せてて全然男の子にモテない・・・」
と言う。
「デブでモテるわけないじゃん。痩せてる方がモテるに決まってるじゃん」
と言う私にコラリンは
「何言ってんの?フランスでは断然太ってる方がモテるんだよ。太ってる女はゴージャスなんだよ。だから◯◯はフランス人にモテるでしょ?それはゴージャスだからだよ。」
と言った。
なんと良い言葉「ゴーーーージャス」
そうか!私はデブじゃなくてゴーーーージャスなんだ!
ゴーーーージャス万歳!!
日本に帰っても是非使わせていただこう。
お返しにコラリンに言っておく。
「アナタの好きなアジアンピーポーはね、アナタみたいに細くて華奢な女の子が大好きなんだよ♪」
って。
だって、本当のことだもんね。
私は日本じゃ市民権得られないけど、フランスで市民権を得ることが出来る!
やっぱ将来はフランス移住だーーーー!!

そんなくだらない事に一喜一憂しながら帰った最後の水曜日。