☆ 学校最終日
とうとう迎えた学校最終日の朝。
以前買っておいたハートいっぱいのチョコレートと、先生や友達に渡すプレゼントを持って行く。
学校に着いてキッチンへ行き、先生方にチョコレートを渡す。
今日は学校の事務員さんのシャロンも産休に入る前最後の仕事ってことでたくさんのパンやお菓子を持って来てくれていた。
キッチンに並べられたパンやお菓子の数々はちょっとしたホテルの朝食ビュッフェのようだった。
もちろん私は最後の二度目の朝食。
他の生徒も登校して来て朝食パーリー。
しこたま朝食ビュッフェを楽しんで授業に入る。
今年に入ってずっと同じクラスだったファットマとも最後の授業。
ファットマはお別れ昼食パーリーにも来てくれるということで、とても嬉しい。
宗教の戒律上、配偶者以外の男性の前ではベールをしたままにしておかなければならないファットマにとって、外食はとても至難の技だと思う。
しかし
「アナタの最後のパーティーだもの、絶対に参加させてもらうわよ!」
と言って快く参加してくれることに。
最後までこの人本当に好きだわぁ・・・。
もうクラス内でファットマとロイキのおもしろやり取りも見られなくなるのか・・・と思ったら一気に寂しくなってきた。
でも今から寂しくなってちゃ涙がいくらあっても足りないのでここは堪える。
いつも通りに授業は進んで行く。
「最後」という言葉に敏感になっている私のことを察してくれていたヒラリーは、授業中も一切「最後」という言葉は使わないでいてくれた。
ロイキが
「今日は◯◯が最後だから・・・」
とでも言おうもんなら
「No!」
と言って
「しばらくお休みに入る前に・・・」
と言葉を変えて言ってくれていた。
ブレイクタイムにはちょっとしたセレモニーがあった。
産休に入るシャロンの為に、普段は学校に来られない校長もやって来ている。
ラウンジで職員、生徒みんな集まってシャロンにお祝いのプレゼントを渡すセレモニー開始。
校長のお言葉を聞いて職員からそれぞれプレゼントが渡される。
私ももちろん生徒の一人として参加し、拍手でお祝いをしていたのだが、突然校長に名前を呼ばれた。
「アナタは今までよく頑張りました。これをお渡しします」
と言って、通知表のようなものを校長より手渡しでいただいた。
その際、校長は通知表に書いてあることを読みながら
「アナタはこの学校でこんなことをしたのね、楽しかった?ここでの生活は楽しめた?友達はたくさん出来た?」
といろいろ聞いて下さった。
私、もう途中から大号泣。
しかしナゼだか周りのみんなは大爆笑。
「まだ午前中の授業も終わってないのに早過ぎるってー」
とか言われながら・・・。
そのまま午前中の授業の残りに向かう。
授業の最後に宿題が出された。
もちろん私以外の生徒は来週の月曜日に提出。
ロイキが
「◯◯は宿題しなくていいんだね」
と言う。
しかし私は
「私も宿題いる!私も月曜日に持って来る」
と言った。
ヒラリーは普通に
「あら、宿題嫌いなアナタが宿題くれなんて珍しいこともあるものね。じゃぁちゃんと月曜日に仕上げてくるのよ♪」
と言って私の分も宿題をくれた・・・。
今日のランチはみんなでタイ料理を食べにバービカンへ行く。
エバとラモナも来てくれた。
先生方数人も一緒にみんなで歩いてバービカンへ向かう。
バービカンの町並みを見ながら
「この光景もこれで最後だな・・・」
と思い、一歩一歩踏みしめて歩く。
店に着いて早速ビールをオーダーしようとカウンターへ行く。
するとヒラリーがごちそうしてくれた。
「ありがとうございます」
と言ってありがたくビールをいただく。
程なく料理が運ばれて来た。
私がオーダーしたのは(名前は忘れたけど)日本のきしめんみたいな麺の焼きそばみたいな料理。
それに大きなエビがたくさん入っている。
タイ料理で麺かライスなので箸が運ばれて来た。
私とフランス勢は箸が使える、が、他の人たちは箸の持ち方もわからないとのことで急遽レクチャー。
しかしすぐに使えるようになるものでもない。
エバは一回の説明で箸を使えるようになっていて嬉しそうにぴょこぴょこ箸を動かしている。
他の人はやはり難しいらしく、結局フォークをもらって食べていた。
このタイ版きしめん、甘辛ソースが麺に絡んでとても美味しかった。
ビールによく合う!
「これにビールって最高に合うわぁ」
と言いながらビールをぐびぐび飲む私に隣から白い目線を送ってくるオントナ。
「また昼間っから飲んで・・・。今夜も飲むのに・・・」
と。
それを聞いてヒラリーが
「今日くらい黙って飲ませてあげなさい。その代わり○○、今夜は記憶が無くならない程度に飲むのよ」
とオントナと私に言う。
2人で
「はーい」
と言う。
飲んで喋って楽しい時間はあっという間に過ぎた。
学校へ戻る組は学校で、ここでバイバイする組には私から御礼の品を手渡す。
日本から持って来た日本らしい髪飾りやペンケースなど。
それぞれと最後に話をしてハグしてお別れする。
そこでまた号泣する私。
そんな私にナゼかオントナが卍固めを仕掛ける。
泣きながら私も売られたケンカは買う。
それを崩してコブラツイストを極める。
そんな私たちを見て一同大爆笑。
私も笑えてきた。
オントナなりの慰め方だったんだろう。
学校へ戻る組と一緒に私も学校へ戻る。
帰る途中、プリマス大学構内でフレンチメンのマキシムにばったり会う。
オントナとロイキが立ち止まって話をしている。
その隣ではファットマが友達と会ったようで立ち話をしている。
コラリンと私とヒラリーは学校へ帰る。
本来なら私は午後の授業は無いが、ヒラリーの計らいでオントナ、コラリンの受験クラスに私も入って本当に本当の最後の授業を受けることになった。
とは言っても午後の授業は残り30分。
あっという間に時間は過ぎた。
授業の最後にコラリンとオントナに御礼の品を渡す。
オントナとロイキには日本の有名絵画(写楽と北斎の絵)がプリントされた手ぬぐいを渡したのだけど、これをこの2人はとても喜んでくれた。
オントナは
「これはどう使うものなの?」
と聞いてきて
「頭に巻いたり・・・」
と言った時点で
「こうだね!」
と言ってはちまきみたいにして頭に巻いて
「ガンバルゾー!」
と日本語で言っていた。
外ではロイキにもこれを渡したのだが、オントナのマネをして頭に巻いて何かポーズをとっている。
写真に撮れということらしいが、何のポーズかわからない。
聞いてみると
「ドラゴンボールだよ」
と言うではないか。
ドラゴンボールにはちまき巻いた人って出てきたっけかなぁ?と思っていると
「フリーザだよ!」
と言う。
フリーザってはちまき巻いてたっけ?いや巻いてない。
フレンチバージョンは巻いてるのか?
そんなロイキは今度はまた不思議なことをしている。
再びポーズをとって写真を撮れと言う。
それは何かと尋ねると
「2PACだよ♪」
と得意げに言う。
2PACってこんなんだったっけ???
まぁ本人ノリノリなんでいいけど・・・。
午後授業組のファットマにも御礼の品を・・・と思っていると、どうやらファットマは今日は午後の授業には出てないらしい。
えーーーーーっ!私お別れ言ってないのにーーー!
しかたないのでヒラリーに御礼の品とお手紙を託す。
ヒラリーたちと喋っているとミックがやって来た。
「あ、ミック!私、今日で最後なんだ!」
と言うやいなや、ギューーーーってハグされて両方のほっぺにチュッチュチュッチュキスされた。
最後はほっぺたをハムーって噛まれた。
そして
「元気でいるんだよ。いつでも帰ってこいよ・・・」
って言ってくれた。
いつも冷静で覚めた思考の持ち主のミックがこんなに感情をあらわにするなんて驚いた。
ヒラリーも
「未だかつてあんなミック見たことないわ」
と言っていた。
きっとミックにとっては私という存在は心配の種だったのだろう。
この学校に来た時、初めてのクラスの先生がミックだった。
英語が一切わからない私に手を焼いたことと思う。
しばらく経ってからもやっぱり授業についていけずにぼけーっとしていた私。
英語の勉強よりも飲むことばっかりに一生懸命になって、ミックが大嫌いなフットボールに熱狂していた。
そんな決して優秀とは言えない私が心配だったと思うよ。
ミックは先生としては厳しくて難しくて苦手だったけど、人としては大好きだったんだ。
典型的なジェントルメンで、いつもレディーファースト。
エスコートの仕方もスマートでとってもステキだった。
そんなミックともお別れ・・・。
ヒラリーとも学校でお別れ。
授業もわかり易かったし、話も楽しい。
プリマスの町のことをいろいろ教えてくれて、生活で困ったことがあってもヒラリーに言えば即解決してくれた。
とっても頼もしくて強くて優しい女性。
ヒラリーとも涙涙でお別れ。
学校の外で最後に校舎をバックに写真を撮る。
オントナとロイキは今夜のパーリーで会うからいいんだけど、コラリンとはこの町で会うのはこれで最後。
家に帰るのにいつものようにコラリンといつもの道を帰る。
いつもの分岐点でいつものように立ち話。
なんてことない話をしていると突然コラリンが泣き出した。
「寂しいよぉ・・・」
って・・・。
彼女がこんなふうに泣くのを初めて見た。
わりとドライな現代っ子だと思っていたので意外だった。
そんな意外な彼女の涙を見て思わず抱きしめてしまった。
「来年アジアに来るんでしょ?そうなったらいつでも会えるじゃない。それにスカイプだってあるし、いつだって会える。だから泣かないで・・・」
って言いながら私も泣いてしまった。
ここへ来て何度も思ったが、やっぱり別れは辛い・・・。
今回は私が去る番だけどね。
後ろ髪引かれる思い・・・過去に去って行った友達もみんなこんな思いだったのかなぁ・・・。
心を決めて
「コラリン、ここでお別れしよう。大丈夫、『さよなら』って言わなかったらいいんだよ。『また来週!』っていつもみたいに別れようよ。来週スカイプで会おう!」
とコラリンに言う。
コラリンも頷いて、ニコリと笑って
「また来週ね!」
と言って手を振った。
涙でグチャグチャな顔なのに可愛い。
私は泣くときったなくなるんだけどなぁ・・・。
そんな可愛いコラリンに私も手を振り、それぞれの道を歩き始めた・・・。
コラリン・・・去年の秋に一度この町を去ったけど、今年になって再び戻って来てくれた。
パリでも会った。
来年は韓国に留学すると言う。
話が合っていつも一緒にいた。
酒ばっか飲む私を心配してくれていた。
本当に可愛い可愛い私の妹?娘?・・・大切な友達。
来年は日本にも遊びに来い!!
帰宅してからパッキング作業の続きを行う。
今夜はパーリーなのでそれまでに荷物をまとめておかなければいけない。
今夜の洋服と明日の洋服だけを残し、あとは全てスーツケースにぶっ込む。
あきらかに重量オーバーだなこりゃ・・・。
シャワーを浴びたりメイクをしたりして夜に備える。
夕食に呼ばれ、最後の夕食。
ここでホストマザーにこれまでの御礼にCDを渡す。
「Lovely!!!」
連呼でものすごく喜んでくれた。
このLovelyも聞き納めだな。
最後にたくさん話をした。
パーリーの集合時間が来たので出掛ける。
今夜のメンバーは知らない。
オントナが声を掛けてくれているらしい。
集合場所で待っているとオントナとロイキが来た。
後からエバも来てくれるらしい。
3人で飲んでいるとそこへマキシムも来てくれた。
「今夜が本当に最後なんだね・・・」
って。
3人で飲んでいると次はエバが来てくれた。
「◯◯ーー!帰らないでーーー!!」
ってどストレートな彼女も今夜が見納めだ(笑)
彼女のマイケルばりのダンスも今夜が最後。
飲んで飲んで踊って踊って騒ぎまくった。
店を移動する途中にエバとお別れの時が来た。
「◯◯、私はまだしばらくこの町にいるからまたいつでも帰っておいでよ。また一緒に踊ろうね!」
と、弾けるようないつもの笑顔で言う彼女が愛おしくなって、大号泣しながら
「I love you~!!」
と言ってハグしながらほっぺにチュウしまくった。
そんな私をみんな笑いながら見ている。
何がおかしい?!
エバも笑いながら私のキスを受けてくれて
「See you sooooon!!」
と言って帰って行った。
その後もしばらくワンワン大号泣する私を
「まぁまぁ・・・」
とか言いながら落ち着かせる残りの3人。
それでも次の店でも飲む私。
そして踊り狂う私・・・。
もうね、メイクがどうのなんてどうでもよくなった。
しばらく飲んで踊っていると、今度はオントナとお別れの時が。
この子との別れはこれまた辛過ぎる。
ダンスホールの中心で泣き叫びながらハグしながらチュウしまくる。
「酒くせーーーー!」
と言って笑いながら私のキスを拒むオントナ。
「最後くらい母さんの言うこと聞きなさい!」
ときったない顔で言う母さん。
オントナは笑いながら
「今年の夏にフランスで会おうな・・・」
と言っておでこにキスして去って行った。
再び泣き叫ぶ私。
ロイキとマキシムが2人して
「泣くなよ・・・」
と言いながら酒を持ってきてくれたりハンカチで涙を拭いたりしてくれる。
周りのお客さんたちも
「ゲイシャガールは何で泣いてるんだ?」
と言い出し、ロイキとマキシムが事情を説明。
「ゲイシャガールはニッポンへ帰るのか?!」
となり、周りのお客さんたちもそれぞれ泣き叫ぶ私に慰めの言葉を掛けてくれる。
それがまた余計に辛いんだけどね・・・。
みんなが酒を持って来てくれてそれを飲みながら泣いていたのでだんだん泣くのがしんどくなってきた。
そのうち頭ん中気持ち良くなって再びダンスホールに戻って踊り出した。
そこからは長い長い最後の夜・・・。
最後の夜は思い出深い夜となった。
とうとう迎えた学校最終日の朝。
以前買っておいたハートいっぱいのチョコレートと、先生や友達に渡すプレゼントを持って行く。
学校に着いてキッチンへ行き、先生方にチョコレートを渡す。
今日は学校の事務員さんのシャロンも産休に入る前最後の仕事ってことでたくさんのパンやお菓子を持って来てくれていた。
キッチンに並べられたパンやお菓子の数々はちょっとしたホテルの朝食ビュッフェのようだった。
もちろん私は最後の二度目の朝食。
他の生徒も登校して来て朝食パーリー。
しこたま朝食ビュッフェを楽しんで授業に入る。
今年に入ってずっと同じクラスだったファットマとも最後の授業。
ファットマはお別れ昼食パーリーにも来てくれるということで、とても嬉しい。
宗教の戒律上、配偶者以外の男性の前ではベールをしたままにしておかなければならないファットマにとって、外食はとても至難の技だと思う。
しかし
「アナタの最後のパーティーだもの、絶対に参加させてもらうわよ!」
と言って快く参加してくれることに。
最後までこの人本当に好きだわぁ・・・。
もうクラス内でファットマとロイキのおもしろやり取りも見られなくなるのか・・・と思ったら一気に寂しくなってきた。
でも今から寂しくなってちゃ涙がいくらあっても足りないのでここは堪える。
いつも通りに授業は進んで行く。
「最後」という言葉に敏感になっている私のことを察してくれていたヒラリーは、授業中も一切「最後」という言葉は使わないでいてくれた。
ロイキが
「今日は◯◯が最後だから・・・」
とでも言おうもんなら
「No!」
と言って
「しばらくお休みに入る前に・・・」
と言葉を変えて言ってくれていた。
ブレイクタイムにはちょっとしたセレモニーがあった。
産休に入るシャロンの為に、普段は学校に来られない校長もやって来ている。
ラウンジで職員、生徒みんな集まってシャロンにお祝いのプレゼントを渡すセレモニー開始。
校長のお言葉を聞いて職員からそれぞれプレゼントが渡される。
私ももちろん生徒の一人として参加し、拍手でお祝いをしていたのだが、突然校長に名前を呼ばれた。
「アナタは今までよく頑張りました。これをお渡しします」
と言って、通知表のようなものを校長より手渡しでいただいた。
その際、校長は通知表に書いてあることを読みながら
「アナタはこの学校でこんなことをしたのね、楽しかった?ここでの生活は楽しめた?友達はたくさん出来た?」
といろいろ聞いて下さった。
私、もう途中から大号泣。
しかしナゼだか周りのみんなは大爆笑。
「まだ午前中の授業も終わってないのに早過ぎるってー」
とか言われながら・・・。
そのまま午前中の授業の残りに向かう。
授業の最後に宿題が出された。
もちろん私以外の生徒は来週の月曜日に提出。
ロイキが
「◯◯は宿題しなくていいんだね」
と言う。
しかし私は
「私も宿題いる!私も月曜日に持って来る」
と言った。
ヒラリーは普通に
「あら、宿題嫌いなアナタが宿題くれなんて珍しいこともあるものね。じゃぁちゃんと月曜日に仕上げてくるのよ♪」
と言って私の分も宿題をくれた・・・。
今日のランチはみんなでタイ料理を食べにバービカンへ行く。
エバとラモナも来てくれた。
先生方数人も一緒にみんなで歩いてバービカンへ向かう。
バービカンの町並みを見ながら
「この光景もこれで最後だな・・・」
と思い、一歩一歩踏みしめて歩く。
店に着いて早速ビールをオーダーしようとカウンターへ行く。
するとヒラリーがごちそうしてくれた。
「ありがとうございます」
と言ってありがたくビールをいただく。
程なく料理が運ばれて来た。
私がオーダーしたのは(名前は忘れたけど)日本のきしめんみたいな麺の焼きそばみたいな料理。
それに大きなエビがたくさん入っている。
タイ料理で麺かライスなので箸が運ばれて来た。
私とフランス勢は箸が使える、が、他の人たちは箸の持ち方もわからないとのことで急遽レクチャー。
しかしすぐに使えるようになるものでもない。
エバは一回の説明で箸を使えるようになっていて嬉しそうにぴょこぴょこ箸を動かしている。
他の人はやはり難しいらしく、結局フォークをもらって食べていた。
このタイ版きしめん、甘辛ソースが麺に絡んでとても美味しかった。
ビールによく合う!
「これにビールって最高に合うわぁ」
と言いながらビールをぐびぐび飲む私に隣から白い目線を送ってくるオントナ。
「また昼間っから飲んで・・・。今夜も飲むのに・・・」
と。
それを聞いてヒラリーが
「今日くらい黙って飲ませてあげなさい。その代わり○○、今夜は記憶が無くならない程度に飲むのよ」
とオントナと私に言う。
2人で
「はーい」
と言う。
飲んで喋って楽しい時間はあっという間に過ぎた。
学校へ戻る組は学校で、ここでバイバイする組には私から御礼の品を手渡す。
日本から持って来た日本らしい髪飾りやペンケースなど。
それぞれと最後に話をしてハグしてお別れする。
そこでまた号泣する私。
そんな私にナゼかオントナが卍固めを仕掛ける。
泣きながら私も売られたケンカは買う。
それを崩してコブラツイストを極める。
そんな私たちを見て一同大爆笑。
私も笑えてきた。
オントナなりの慰め方だったんだろう。
学校へ戻る組と一緒に私も学校へ戻る。
帰る途中、プリマス大学構内でフレンチメンのマキシムにばったり会う。
オントナとロイキが立ち止まって話をしている。
その隣ではファットマが友達と会ったようで立ち話をしている。
コラリンと私とヒラリーは学校へ帰る。
本来なら私は午後の授業は無いが、ヒラリーの計らいでオントナ、コラリンの受験クラスに私も入って本当に本当の最後の授業を受けることになった。
とは言っても午後の授業は残り30分。
あっという間に時間は過ぎた。
授業の最後にコラリンとオントナに御礼の品を渡す。
オントナとロイキには日本の有名絵画(写楽と北斎の絵)がプリントされた手ぬぐいを渡したのだけど、これをこの2人はとても喜んでくれた。
オントナは
「これはどう使うものなの?」
と聞いてきて
「頭に巻いたり・・・」
と言った時点で
「こうだね!」
と言ってはちまきみたいにして頭に巻いて
「ガンバルゾー!」
と日本語で言っていた。
外ではロイキにもこれを渡したのだが、オントナのマネをして頭に巻いて何かポーズをとっている。
写真に撮れということらしいが、何のポーズかわからない。
聞いてみると
「ドラゴンボールだよ」
と言うではないか。
ドラゴンボールにはちまき巻いた人って出てきたっけかなぁ?と思っていると
「フリーザだよ!」
と言う。
フリーザってはちまき巻いてたっけ?いや巻いてない。
フレンチバージョンは巻いてるのか?
そんなロイキは今度はまた不思議なことをしている。
再びポーズをとって写真を撮れと言う。
それは何かと尋ねると
「2PACだよ♪」
と得意げに言う。
2PACってこんなんだったっけ???
まぁ本人ノリノリなんでいいけど・・・。
午後授業組のファットマにも御礼の品を・・・と思っていると、どうやらファットマは今日は午後の授業には出てないらしい。
えーーーーーっ!私お別れ言ってないのにーーー!
しかたないのでヒラリーに御礼の品とお手紙を託す。
ヒラリーたちと喋っているとミックがやって来た。
「あ、ミック!私、今日で最後なんだ!」
と言うやいなや、ギューーーーってハグされて両方のほっぺにチュッチュチュッチュキスされた。
最後はほっぺたをハムーって噛まれた。
そして
「元気でいるんだよ。いつでも帰ってこいよ・・・」
って言ってくれた。
いつも冷静で覚めた思考の持ち主のミックがこんなに感情をあらわにするなんて驚いた。
ヒラリーも
「未だかつてあんなミック見たことないわ」
と言っていた。
きっとミックにとっては私という存在は心配の種だったのだろう。
この学校に来た時、初めてのクラスの先生がミックだった。
英語が一切わからない私に手を焼いたことと思う。
しばらく経ってからもやっぱり授業についていけずにぼけーっとしていた私。
英語の勉強よりも飲むことばっかりに一生懸命になって、ミックが大嫌いなフットボールに熱狂していた。
そんな決して優秀とは言えない私が心配だったと思うよ。
ミックは先生としては厳しくて難しくて苦手だったけど、人としては大好きだったんだ。
典型的なジェントルメンで、いつもレディーファースト。
エスコートの仕方もスマートでとってもステキだった。
そんなミックともお別れ・・・。
ヒラリーとも学校でお別れ。
授業もわかり易かったし、話も楽しい。
プリマスの町のことをいろいろ教えてくれて、生活で困ったことがあってもヒラリーに言えば即解決してくれた。
とっても頼もしくて強くて優しい女性。
ヒラリーとも涙涙でお別れ。
学校の外で最後に校舎をバックに写真を撮る。
オントナとロイキは今夜のパーリーで会うからいいんだけど、コラリンとはこの町で会うのはこれで最後。
家に帰るのにいつものようにコラリンといつもの道を帰る。
いつもの分岐点でいつものように立ち話。
なんてことない話をしていると突然コラリンが泣き出した。
「寂しいよぉ・・・」
って・・・。
彼女がこんなふうに泣くのを初めて見た。
わりとドライな現代っ子だと思っていたので意外だった。
そんな意外な彼女の涙を見て思わず抱きしめてしまった。
「来年アジアに来るんでしょ?そうなったらいつでも会えるじゃない。それにスカイプだってあるし、いつだって会える。だから泣かないで・・・」
って言いながら私も泣いてしまった。
ここへ来て何度も思ったが、やっぱり別れは辛い・・・。
今回は私が去る番だけどね。
後ろ髪引かれる思い・・・過去に去って行った友達もみんなこんな思いだったのかなぁ・・・。
心を決めて
「コラリン、ここでお別れしよう。大丈夫、『さよなら』って言わなかったらいいんだよ。『また来週!』っていつもみたいに別れようよ。来週スカイプで会おう!」
とコラリンに言う。
コラリンも頷いて、ニコリと笑って
「また来週ね!」
と言って手を振った。
涙でグチャグチャな顔なのに可愛い。
私は泣くときったなくなるんだけどなぁ・・・。
そんな可愛いコラリンに私も手を振り、それぞれの道を歩き始めた・・・。
コラリン・・・去年の秋に一度この町を去ったけど、今年になって再び戻って来てくれた。
パリでも会った。
来年は韓国に留学すると言う。
話が合っていつも一緒にいた。
酒ばっか飲む私を心配してくれていた。
本当に可愛い可愛い私の妹?娘?・・・大切な友達。
来年は日本にも遊びに来い!!
帰宅してからパッキング作業の続きを行う。
今夜はパーリーなのでそれまでに荷物をまとめておかなければいけない。
今夜の洋服と明日の洋服だけを残し、あとは全てスーツケースにぶっ込む。
あきらかに重量オーバーだなこりゃ・・・。
シャワーを浴びたりメイクをしたりして夜に備える。
夕食に呼ばれ、最後の夕食。
ここでホストマザーにこれまでの御礼にCDを渡す。
「Lovely!!!」
連呼でものすごく喜んでくれた。
このLovelyも聞き納めだな。
最後にたくさん話をした。
パーリーの集合時間が来たので出掛ける。
今夜のメンバーは知らない。
オントナが声を掛けてくれているらしい。
集合場所で待っているとオントナとロイキが来た。
後からエバも来てくれるらしい。
3人で飲んでいるとそこへマキシムも来てくれた。
「今夜が本当に最後なんだね・・・」
って。
3人で飲んでいると次はエバが来てくれた。
「◯◯ーー!帰らないでーーー!!」
ってどストレートな彼女も今夜が見納めだ(笑)
彼女のマイケルばりのダンスも今夜が最後。
飲んで飲んで踊って踊って騒ぎまくった。
店を移動する途中にエバとお別れの時が来た。
「◯◯、私はまだしばらくこの町にいるからまたいつでも帰っておいでよ。また一緒に踊ろうね!」
と、弾けるようないつもの笑顔で言う彼女が愛おしくなって、大号泣しながら
「I love you~!!」
と言ってハグしながらほっぺにチュウしまくった。
そんな私をみんな笑いながら見ている。
何がおかしい?!
エバも笑いながら私のキスを受けてくれて
「See you sooooon!!」
と言って帰って行った。
その後もしばらくワンワン大号泣する私を
「まぁまぁ・・・」
とか言いながら落ち着かせる残りの3人。
それでも次の店でも飲む私。
そして踊り狂う私・・・。
もうね、メイクがどうのなんてどうでもよくなった。
しばらく飲んで踊っていると、今度はオントナとお別れの時が。
この子との別れはこれまた辛過ぎる。
ダンスホールの中心で泣き叫びながらハグしながらチュウしまくる。
「酒くせーーーー!」
と言って笑いながら私のキスを拒むオントナ。
「最後くらい母さんの言うこと聞きなさい!」
ときったない顔で言う母さん。
オントナは笑いながら
「今年の夏にフランスで会おうな・・・」
と言っておでこにキスして去って行った。
再び泣き叫ぶ私。
ロイキとマキシムが2人して
「泣くなよ・・・」
と言いながら酒を持ってきてくれたりハンカチで涙を拭いたりしてくれる。
周りのお客さんたちも
「ゲイシャガールは何で泣いてるんだ?」
と言い出し、ロイキとマキシムが事情を説明。
「ゲイシャガールはニッポンへ帰るのか?!」
となり、周りのお客さんたちもそれぞれ泣き叫ぶ私に慰めの言葉を掛けてくれる。
それがまた余計に辛いんだけどね・・・。
みんなが酒を持って来てくれてそれを飲みながら泣いていたのでだんだん泣くのがしんどくなってきた。
そのうち頭ん中気持ち良くなって再びダンスホールに戻って踊り出した。
そこからは長い長い最後の夜・・・。
最後の夜は思い出深い夜となった。