情熱の彼方 | TONOオフィシャルブログ「TONOログ」Powered by Ameba

情熱の彼方

先週のことですが、長野県にある浦里小学校という

学校の校舎2棟が全焼というニュースがありました。


映画やドラマの撮影でよく使われた学校らしく、

きっと僕もどこかで目にしているのだと思います。


浦里小学校は1873年開校。


明治6年だってさ。


なぜに撮影によく利用されたのかということは、

もうこれで十分理解出来ますよね。


校内には古い木造校舎が3棟。


今回火事にあったのは1924年、1950年にそれぞれ建設された2棟。


今となってはとっても貴重な木造建築物だったってことは、

ここでわざわざ書くまでもありませんね。


ニュースで見た映像には、燃え盛る炎に包まれる校舎を見ながら

泣きじゃくる子供たち、そしておそらくこの小学校で学んだのであろう

父兄の方々が涙する姿。


とてもとても言葉にはし難い光景がそこにはありました。


校舎はわずか2時間で燃えてしまったそうです。。。




僕の記憶にはまだ新しい、イタリアでの歴史的建造物に

日本の短大生が落書きをした事件。


今この瞬間も、世界中で繰り広げられる戦争によって破壊される遺跡。


こういうニュースを見る度に、どうしても胸が痛くなります。


きっとTONOログを読んでくれてるみんなも同じ気持ちじゃないかな。


でも浦里小学校全焼のニュースを見てから、

僕はこんなことを考えています。


人はいつからそういう気持ちを抱くようになったのだろ?


ってね。


街の景観や歴史を重んじて、新たな開発を

ストップする自治体も存在します。


もちろん、それらが観光資源に直結することも

多々あるわけですが。


しかしそれってのは、ひょっとしたら現代に生きる

人間のエゴかもしれないじゃない。


誤解を招かないように言っておきますが、そういう

歴史的建造物はなんとか出来ることなら保存して

おいて欲しいなって、僕もそう思うひとりです。




人類が地球に誕生して数百万年の時が経ちました。


こまかな数字は諸説あるのでざっくりのままいきますが、

現在の人間(ホモ・サピエンス)は10万年ほど前に誕生

したそうです。


そこから現在に至るまで、壊しては新しい物を作るという

作業を僕たちは続けてきました。


それは大前提として、より良いもの、より良い社会を

目指してのこと。


その時点での価値観で、今よりも良いと思われるものを

追い求めた結果です。


みんなの周りにもたくさんあるでしょう。


古くなったビルが新しく建て替えられたり、

今まであったお家が壊されて新築されたり。


東日本大震災以降、全国の小中学校では

耐震の工事が進められています。


暑い夏にも子供たちが勉強しやすい環境を整えるために、

エアコンを完備している学校もありますしね。


それらは子供たちの安全などなどを最優先にすればこそです。


たとえば浦里小学校も、地震や火事から子供たちを

守ることを何よりも最優先に考えれば、新しい校舎を

建てることも選択肢のひとつだったはず。


建物が貴重だという理由は、子供たちというよりも

大人の都合だと考えるほうが妥当でしょ。


別に子供たちが被害者だなんて言うつもりはありませんし、

特に浦里小学校に関しては、おそらく多くの人々が望んだ

結果なんだと思います。


言いたいことは、価値観ってものは時代によって

変化するものですよねぇってこと。


『たら・れば』は言っても仕方のないことだとはわかっていますが、

もし時代がそれを求めていなければ、浦里小学校は何の躊躇も無く

建て替えられていたかもしれませんし、校舎の全焼というのが

これほどのニュースになったかはわからないということです。


ちなみに先月オリンピックが開催されたロンドンでは、

交通量の増加と老朽化を理由に600年という歴史を持つ

橋が架けかえられています。


何が良いかはわかりません。


ただ、これだけ成熟した社会の中で様々な決断を下し

続けなければいけない、現代に生きる僕たちは、今の

自分の価値観に対して常に疑問を抱き続けないと、

とんでもない失敗を招きそうで・・・。




歴史から学ぶことは多いです。


歴史的建造物から学ぶことも同様。


コンピューターも計算機も存在しない時代に、寸分違わず

東西南北に対して建物を建設したという事実や、天体を観測

することで得た情報に基づいて作られた完璧な暦。


昔の人は本当にスゴイ。


そんな人たちが残した遺物は大切にしたほうが良いと、

僕は当たり前のように思っているタイプ。


ちなみに、


自分のモノですらあまり捨てられないタイプ。笑


でもぶっちゃけ、遺跡を眺めて「スゴイなぁー」

っていうことが大切なわけじゃない。


(普段見慣れない建物や景色を見て、情緒豊かに

なるということを否定しているわけではありません)




十分に物が無い時代にどうやってそんな建物を建てたのか?


そこにはどんな創意工夫があったのか?


当時の人々はどうしてそうしようと思ったのか?



そんなことを僕らが想像したり汲み取ろうとすることが、

当時の人々が意図していなかったこととはいえ、

とっても大切なことなのではないかなぁ。




想像力を膨らませろ。


未来はその手の中で膨らむもの。


燃やした情熱の分しか、未来は輝かないんだぜ。




との