目の不自由なおじいちゃん | TONOオフィシャルブログ「TONOログ」Powered by Ameba

目の不自由なおじいちゃん

ハヤシライスの仕込が終わりました。


久々に作りましたが、思ってたよりも時間がかかりました。。。


次回があるとすれば、これを教訓にもうちょっと

余裕をもって準備せねば翌日が大変です。笑


予定よりも少し多めに作ったので、ひょっとしたら

明日も提供出来るかもしれません。


そのときはまたお知らせしまっす。




昨夜の出来事なんですが、


ハヤシライスの準備をするべく、深夜のスーパーへ行きました。


食材を揃えてレジへ向かうと、深夜にしては珍しく、

スーパーのカゴ2つ分ほどの食料品等々を買い込んだ

お客さんが僕の前に2組もいらっしゃいましてね。


僕の後にも数組のお客さんが、たいして品数も

持ってない状態でけっこうな時間待たされることに。


あと1分早くレジに着いてれば並ばなくてよかたのにな。。。。


なんて思いながら並んでおったのです。


するとそこへ、別の従業員の方が

おじいちゃんの手をひいて隣のレジへ

やってきました。


ただボーっと並んでいただけだったし、わざわざ

隣のレジがおじいちゃんのために開いたので、

なんとなく暇を持て余してる感じでおじいちゃんの

レジに目をやりました。


そのおじいちゃん、目の不自由なおじいちゃんだったんです。


だから従業員の方が手を引いてレジまでやってきたんですね。


そこで初めて、盲導犬を連れていたことにも気付きました。


ピッ ピッ 


商品をいくつかスキャンしてお会計。


おじいちゃんは財布ごとレジのお兄さんへ渡しました。


そっか、そうだよな。


従業員のお兄さんが財布の中から代金をもらい、

お釣りを財布の中に入れて、おじいちゃんがレシートを

手の上にのせて欲しいというリクエスト通り、レシートを

おじいちゃんの手の上にのせました。


目が見えないということだけではなく、色んなハンディを

負うたくさんの人が世界には存在します。


ちょうど今開催されているオリンピックが終われば、

今度はパラリンピックが開催されますよね。


障害を持つアスリートたちのオリンピックです。


財布ごとレジのお兄さんに手渡したおじいちゃんを見て、

誰でもそのレジのお兄さんのやった通りにすると思いたい

ところですけど、これって実はスゴイ信用じゃないですか。


世の中には訪問販売やなんかで、お年寄りを騙して

金銭を搾取するようなとんでもない奴が存在することも

事実ですからね。


このレジでの光景を見て、世の中で弱者という立場に

おかれる人たちを騙したりする人たちのことが、あらためて

とてつもなく腹立たしくなったのですよ。


ほんとヒドイよね。



購入したものを買い物袋に詰めたりするのは

もちろんセルフサービスのスーパーですが、

当然おじいちゃんのためにお兄さんは商品を

袋に詰めます。


するとおじいちゃんがこう言うんです。


「開けても大丈夫なものは、なるべくここで開けてほしい。」


要は、パッケージなんかがなくても良いものは

全部ここで開けて欲しいってこと。


お兄さんは快く引き受けます。


いくつかの商品を開封していくうちに、

醤油が登場しました。


定食屋さんのテーブルなんかにのってる

お馴染みのカタチのやつです。


おっと、この醤油はいったいどうするんだ?


醤油の瓶の注ぎ口のラッピングを取ったとしても、

その中にはまだ内蓋が存在します。


小さいプラッチックのやつです。


なかなか開けにくいあいつです。


しかしそいつを取り外せば、おじいちゃんの帰り道で

スーパーの袋の中が醤油だらけになることは一目瞭然。


「これ全部取って、ここをテープでとめておきますね。」


お兄さんが言います。


今これを読んでる皆さんは、おそらくこれで理解出来ると思いますが、

お兄さんは内蓋も取り外して、醤油の注ぎ口をテープでとめる作戦。


なるほどー。と感心していたら、おじいちゃんが言うんです。


「ここって言われてもわからんから、この手においておくれ。

わしゃなんにも見えんのだよ。」


そっか、そうだよね。


全部見えてる僕にはすぐさま理解出来ることも、

おじいちゃんにはまったく伝わってないんです。


テープ作戦を思いついたお兄さんのことを

なるほどと感心してるレベルの僕では、まだまだ

ダメダメなわけですよ。


もっともっと、


もっともっと、


相手の立場、相手の気持ちにならなければなんですよ。


猛省しました。


そして、とっても胸が痛くなりました。。。


その作戦をお兄さんは一生懸命におじいちゃんに

伝えてるんですけど、おじいちゃんはなかなか理解

してくれません。


歯痒いな。。。って思いつつ、いよいよ僕の会計も終了。


僕が商品を袋に詰めているときにようやく、


「あーそうか、そういうことか」


おじいちゃんはやっとお兄さんの作戦を理解しました。


よかった。


なんか少し気分が晴れた気がしながら、

僕が袋を持って立ち去ろうとしたそのとき、


おじいちゃんが続けてこう言いました。


「お兄ちゃん、そんなことまでしてくれんのか。

ありがとう。本当にありがとう。」


どうしてお兄さんの作戦がなかなか伝わらなかったのかが

これでわかると思います。


おじいちゃんはスーパーのレジで、そこまでしてくれる

なんてことを想像もしてなかったのですよ。


レジのお兄さんの対応の素晴らしさをあらためて感じるとともに、

そういうことが予測されることがないおじいちゃんの現状を垣間見て、

僕たち健常者が築いていると言っても過言ではない、今の世の中の

優しさってやつの不十分さが胸に沁みました。


それにはさ、レジの対応や社会の仕組みを変えるってこと

じゃなくて、いつでもみんなで助け合えるような人間としての

大切なものを誰もが持てばいいんだよね。


ただ眺めていた僕は、これでは本当にダメだ。


たとえ何も出来なかったとしても、どうして

一声かけられなかったんだと反省です。


優しくされて、気遣ってもらえて、嫌な気分になる

人なんていないはずなのに。。。


ほんの短い時間の出来事だったんだけど、

非常に意味深い時間を過ごした気がします。


こんな身近で、まだまだわかってあげられてないことが

たくさんあるんだってこと、思い知りました。


お年寄りや体の不自由な方に座席を譲りましょう。


現実に抱えてるハンディキャップって、

そんなレベルでは無いんですよね。。。


みんなもさ、頭ではわかってるつもりってことが

きっとたくさんあると思うんです。


本当に相手の立場になって考えれているのか、


本当に相手のことを思いやれているのか、


もう一度と言わず、何度でも思い返してみてよ。


僕たちに出来ることって、きっとまだまだあるんじゃないかな。



ちなみに、実はレジのお兄さんも手と足に障害を抱えたお兄さんなんです。


そのお兄さんが、深夜の従業員たちのリーダーなんです。


僕はまだまだ気付いてないことが多すぎる気がしてならない、

8月のスタートであります。。。




本当にそれが欲しいのですか?


それよりもっと大切なものを忘れたままでも


それでもそれが欲しいですか?




との