面白く一気に読み上げてしまった。手がけた建築物を設計するにあたって考えていたこと、最終的にモノとしてまとめるまでの様々な人との関わり方、安藤さんが持つフィロソフィー、など書いてあることは建築に関することが多くを占める。けれども、その中に生き方や考え方に対するメッセージが無理なくちりばめられている。

建築家 安藤忠雄/安藤 忠雄
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『やりたいことを見つけたら、まずはそのアイディアを実現することだけを考える。現実問題としてどうか、というのはあとで考えればいい。』

『やはり建物はつくるより、育てる方が難しい。育てるには、長い時間、粘り強く継続する意志の力が必要だからだ。』

『長い接道面を持つ建築は、公共に対してそれぐらいの無駄をする責任がある。』

『一貫しているテーマは、自然との対話である。それとこれが一番重要なのだが、すべてを設計し尽くすのではなく、あえて目的のない、ほったらかしの場所をつくることだ。』


これらのフレーズが特に印象に残った。地域社会の一員として、プロフェッショナルの個人として、子供を育てる親として、どうあるべきか。そんなことまで考えさせられる一冊だった。

(難は、表紙の帯が少しずれると顔写真がかまきりみたいに見えて気持ち悪いぐらいかな。)