昨日の夜パン焼き機をセットして朝はパンを食べようとたくちゃんと約束していたのに、忘れてしまった。朝起きて、たくちゃんがそのことを思い出すと、スイッチオン。パンが食べたかったと大泣き。「用意されたご飯とみそ汁には絶対手をつけないぞ」という決意のまなざしで睨む。
どうしようと思っていたら、あっちーが300円渡して、一人で買ってきたらいいとけしかけた。たくちゃんは、しばらくお金と食卓にならぶご飯を見比べ、少し目を閉じてシミュレーションした後に一言「行く」と言った。またまた、大変なことになった。ただでさえ時間のない月曜日の朝。よりによって今週は朝布団にシーツをかけないといけない日だ。けど折角行くと決意を固めたからには、行かせるしかない。マンションに入るカードキーを渡し、300円だとパンは1個しか買えないだろうと教え、風が強いから外の階段ではなくエレベーターを使うように伝えた。
さすがに一人で行かせるのは心配だったので、少し間を置いてから近くのローソンへ後を追う。外に出ると思っていたよりも風が強かった。「たくちゃん大丈夫かな」と思いながら階段を降りると、ちょうどローソンから出てくるたくちゃんの姿を見つけた。
左手にローソンのビニール袋を提げ、右手に大切だから絶対失くすなと念を押したカードキーをしっかりと握りしめ、背筋をピッと伸ばして、ひょうひょうとした表情で歩いてくる。そして迷いもなく、エレベーターの入り口に向かう。
『たーぁ たらぁらー るるぅるー るりぃるるー』と僕の中でテレビ番組のテーマソングが流れる。かっこいい。かっこよすぎるよ、たくちゃん。
少し安心して、見つからないように物陰に隠れながらたくちゃんの帰宅を見守った。何の問題もなく家に戻って来て、僕も少し後から帰る。
「あー。パパ。どこ行ってたの?」と聞くたくちゃんの質問を、あっちーに目配せしながら「ちょっとごみ捨てに行ってた」とかわした。買ってきたのはたくちゃんが好きな3個入りの薄皮アンパン。お釣りもちゃんともらってきて、しっかりしたもんだ。
これから、手の届くところにお釣りとカードキーを置きっぱなしにするのはやめようと思った。
<今日のひとこと>
「ぜんぶ食べたら太っちゃうから、みんなでたべよう?」 (たくちゃん自ら薄皮アンパンの袋を開けながら)