昔からあったのに、じっくり眺めた事もなかった「ハチ公ファミリー」。
存在感は、限りなくゼロに近かったです。

渋谷に住んでいた時は、この前を滅多に通過していなかったのです。
自宅が道玄坂上のほうで、マークシティ出入口から、駅構内へ入っていきました。
運良く、マークシティと渋谷駅構内が直結されていたため、そちら側ばかりの利用でした。
マークシティが出来た頃に、広尾/恵比寿方面から引っ越してきたのです。

現在の暇そうな状態からは、信じられないですが、施設が出来て数年間は、マークシティのレストランやカフェは連日、長蛇の列でした。

先週、渋谷に用事があって降りた時、
たまたま通過して、あれ!?こんなに綺麗な陶板の作品だったかなあと思いました。

こんなおばさんでも記憶は、悪くなかったんです。

私が住んでいた頃は排気ガス、車のタイヤから出る塵、様々な要因で、陶板が酷く汚れ、本来の鮮明な色使いが見えていなかったようです。

それで、2018年9月下旬、6日間かけて28年ぶりに掃除したようです。
その努力あって作品本来の迫力や個性的な色の組み合わせも、分かるようになりました。


1990年3月29日にJR渋谷駅ハチ公広場に設置された「ハチ公ファミリー」の原画を1年かけて考案、描いたのは北原龍太郎氏です。
ハチ公に対する思い入れもあったようで、設置された記念に、詩を書いています。

「壁画の前で会いましょう」  
北原龍太郎・詩
  
  出会いと別れのあるところ
  よろこびとかなしみと
  みんな一緒のおしゃれな広場
  生きている楽しさ味わう広場
  あなたと私のしあわせ話そう
  『ハチ公ファミリー』壁画の前で会いましょう

自分には、くすぐったいくらい、真っ直ぐな北原氏の言葉です。
きっと心が柔軟で、ロマンチストな男性だったのでしょう。


その原画に基づいて陶板を作成したのは、日本人に帰化したベルギー生まれのルイ・フランセン氏で、パブリックアーテイィストでした。日本でも教鞭をとったかたでした。彼の陶板やステンドグラスの作品は企業、団地、学校、駅構内などに設置されており、人々の生活に何気なく存在している作品だと思います。
彼は、他の画家の原画を基に、その作品の意味を「翻訳」して陶板にするアーテイィスト。文学でいう翻訳者的な人ですね。



私はここの前を待ち合わせ場所に使ったことはないんです。まず、野外だと天候が急変した時が困るから。

自分が度々、利用するデパートやお店のなかで待ち合わせだと、たとえどちらか携帯を忘れたり、バッテリーがなくても、最悪の場合、店内呼び出しができます。



これからも、この作品は国内外の人々の出逢いや別れを見守っていくのでしょう。


次回の清掃は、ン十年後ではなく、数年後にしてあげてください❗

オリンピック開催の2020年にしてはどうでしょう。