先日、YW Pulsarのクロマティックセットはこれまで5セットしか製造されていないと、オーナーさんから聞きました。
そんなに少ないとはびっくりです。
どうりで動画を上げている人が私以外いないような気がしていたのです。
KosmoskyのクロマティックセットNew Wave Symphonyでも、複数の動画を上げているのは私ともう一人、Melodic Alchemy(旋律煉金)さんくらいのものです。
彼にも直接尋ねてみましたが、クロマティックセットを弾いている他の人は、彼も知らないそうです。
(ちなみに、彼も私もKosmosky New Wave2台を自分の好きな一色で揃えて持っていますが、現在は15音はグリーン、10音はホワイトに固定されていて、カスタムメイドは受け付けていないそうです。)
Kosmoskyはたくさんの動画を上げていますが、クロマティックセットを演奏している動画は少ないですし、その少ない動画でも弾いているのはメロディーだけだったりします。
メロディーだけになるのは、ハーモニーをつけると技術的にも音響的にも一気に難しくなるからだと思います。
自分のやっていることを自分で難しいと言うのもなんだかなあと思いますが、実際慣れるまでは大変だったのですよ。
さざなみドラムさんについては、私はほとんど知識がないので書けませんが、こちらもクロマティックセットで演奏している人は多くない印象です。
せっかくクロマティックセットを買っても、演奏を諦めたという人がいると聞きました。
クロマティックセットがどうしてそれほど普及しないのか、考えています。
まずは単純に、セットだと値段が高くなって手が出しにくいということは考えられます。
Kosmosky New Wave Symphonyがアコースティックモデルでも790ドル、エレクトロアコースティック(内臓マイク付き)なら990ドルもする訳ですし、YW Pulsarはそれより更に高いです。
Pulsar miniで同じように15音+10音のセット(内臓マイク付き)にすると、1500ドルほどになりますから、今の円安状況だと更に手が出しにくいでしょう。
ここに最初のハードルがあるのは想像できます。
ですが、買っても弾くのを諦めてしまったという人の場合、何が原因なのでしょうか。
自分の経験からしか思いつかないんですが、演奏の難易度が一気に上がったように感じて、「誰でも簡単に弾けるタンドラム / タングドラム」というものから離れてしまうからでしょうか。
1台なら、楽譜が読めなくても数字譜やYouTubeの動画を参考に何曲か弾けるようになれると思います。
でもその最初の一段が既存の楽器よりも低い分、その次の一段がグッと高くなってしまったように感じるのかもしれません。
更に、2オクターブ内に収めるには、曲によっては移調したり若干メロディーにも手を加えることが必要になってきます。
例えば、
Kosmoskyの音域に収まってはいますが、これだと2台を同じくらい使うことになるので、かなり大変です。
でもこれを
にしたら、ずっと弾きやすくなります。
と言うか、これなら1台で弾けてしまいます。
でもこの作業を手でやっていたら大変なので、私は楽譜作成ソフトでサクッと移調してしまいますが、こうしたソフトがあるかないかも2台弾きの難易度に関係してくると思います。
と、いろんな可能性を考えてはみますが、実際にクロマティックセットが普及しない原因ははっきりわかりません。
「希少性があっていいのでは?」
という意見もありましたが、やっぱりもう少しいろんな人が弾いてくれる方が可能性が広がりますし、お互いに刺激を受け合えて良い気がします。
では、入門レベルの楽器でクロマティックセットができたらもっと普及するかと言うと、おそらくそれは難しいと思います。
入門レベルの楽器は工場で大量生産される=価格が抑えられるので、どうしてもハンドメイドのものよりも調律が甘いです。
それでクロマティックにすると、おそらく聞いて不快な響きになるのではないでしょうか。
音が甘いタンドラム / タングドラムでアンサンブルをすると、耳にやさしくないことがあるのと同じです。
どのメーカーも他社の製品には関心があるようですし、クロマティックセットについては中国メーカーももちろん把握していると思いますが、見ている限りそちらの方向に注力する気配はありません。
となると、高価格の壁は崩れないでしょうし、状況は変わらないのかも。
それでも弾きたい、弾いてみたい、という人が増えてくれることを願っています。