先日、タンドラム / タングドラムをハンマーダルシマーのスティックで叩いてみたら面白い音がしたので、いろいろと「実験」をしていまして、以前から気になっていたスティックの違いをもうちょっと詳しく知りたいと思い始めたところでした。
このサイトにいろんなスティックの写真がたくさんあるので、良ければご覧ください。
9 Dulcimer Hammer Styles From Around the World
私が使っているのはHackbrett Hammersという種類で、長さは30cmあります。
ドイツ語ではハンマーダルシマーはHackbrett(ハックブレット)と言います。
緑色のレース編みと一緒に写っているスティックです。
私の先生はいろんな種類のスティックを収集しておられるので、今日のレッスンの時にリンク先で紹介されているスティックのほとんどを見せてもらえました。
それぞれの良いところ、使いにくいところなどを教えていただいて、なるほどねえと思ったのでした。
いろんなSNSで、違うタイプのハンマーダルシマーを見かけますが、ほとんどが私のもの(スイスのHackbrett)とは違うので、どんな違いがあるのかずっと知りたかったのです。
先生曰く、Hackbrettはヴァイオリンやコントラバスなどと一緒に演奏されるのがアッペンツェル(スイスの地方)の伝統で、そこで演奏しやすいように弦が並べられていて、作り手や地方によって音の配列がバラバラだったそうです。
しかし80年代にそれでは良くないといういう意見が出てきて、標準的な配列に統合しようという動きがあったそうです。
でも作り手も弾き手も、自分のシステムが一番だと思っていて、結局数は減ったものの、一つに統一することはできなかったのだとか。
伝統のあるアッペンツェルの中にいると、同調圧力とかいろいろあるらしいですが、他の地域では逆に自由に発想することができ、ベルンのMarc Ramserさんもそんな一人でした。
彼はピアノと同じように音を並べることを思いつき、そんなHackbrettを作ったそうです。
先生によっては、MarcさんのHackbrettを邪道だと考えて、弾かないし教えないと断言していたりするそうですが、私の先生はアッペンツェルの人ではないですし、そもそも柔軟な発想の人なので、伝統的なアッペンツェルのHackbrettもMarcさんのHackbrettも弾きますし、教えています。
先生はスティックを4本使った演奏もできますが、それはMarcさんのシステムでしかできないそうです。
弦のテンション(弦が引っ張る力)の話とかも、興味深かったです。
ハープは一台にかかるテンションがおよそ2トンだそうですが、ハンマーダルシマーはどれくらいなんでしょうか。
うまくテンションを分散して弦を張らないと、本を閉じるようにバキッと折れたりするそうですから、怖い怖い。
と、弾く時間はやや短めなレッスンになりましたが、私には有意義な話をたくさん聞かせていただいた時間でした。