配達シリーズもいくつか書きましたが、これまでの内容は、困るけどそこまで私は怒ってはいないケースでした。

しかし、今回は違います。

 

我が家が入っている郵便局の配達ルートは、5人くらいの配達員さんが交代で担当しています。

一人を除いてみなさん良い人です。

愛想が良くない人もいますが、四人とも仕事はきっちりしてくださってます。

ここは朝の7時台という早い時間に配達されるルートなので、朝の挨拶を和やかに交わしながら郵便物を受け取れると、気持ちも上向きになります。

 

その例外の一人については、これまで私達は何度郵便局に苦情を言ったか分かりません。

壊れ物と書かれた箱を投げ落とすくらいでは、私ももう動じません。

イタリア語訛りが強いので、仮に郵便局マリオと呼ぶことにしましょう。

ただし見た目はクッパですが。

郵便局マリオは基本的にものぐさのようで、おそらく配達車から離れて歩くのも嫌なのでしょう。

かなりの巨漢なので、心臓などの問題があるのかもしれませんが、業務に差し障りが出るほどであれば、内勤に異動するなり転職するなりした方が良いと思いますが、そこには他人には窺い知れない事情もあるかもしれません。

ですが、郵便局の制服を着て、配達業務に携わるのであれば、最低限のところはこなして欲しいと思います。

 

古い話ですが、私は日本の母から送られてくる荷物、別名ママゾンを楽しみに待っていました。

窓から郵便局の車が見えたので、玄関まで行ってドアを開けて待っていました。

郵便局マリオは大音量でイタリア語の音楽をかけていて、さらに配達車の窓やドアを開けっぱなしにしているので、彼が来たかどうかは姿が見えなくてもわかります。

私は玄関でしばらく待っていましたが、郵便局マリオは一向に姿を現しません。

しばらくすると、車が遠ざかる音がするので、慌てて郵便受けまで行ったら、不在配達表が入っていました。

郵便局の配達は、郵便受けに入りきらないサイズのものや書留類は玄関まで行ってベルを鳴らすことになっています。

確かに我が家の郵便受けと玄関は少し離れている上に階段もありますから、面倒くさいと感じる人には面倒くさいでしょう。

だからと言って、郵便局マリオのように、配達せずに不在表を置いて帰っていくのはダメです。

一旦郵便局に戻されてしまうと、翌日以降しか受け取れなくなるので、受け取れるのが遅くなるだけでなく、受取人が郵便局まで出向いて自分で運ぶ羽目になります。

この件はさすがに郵便局に抗議しました。

「またやらかしたか」

というような反応だったので、おそらくこれまでにもこういうことがあったのでしょう。

 

7月のことですが、郵便局マリオが配達に来て、

「この前郵便受けのところに荷物が置いてあるのを見た。

俺も今度からそうしていいか?」

と尋ねてきました。

U◯Sが置き配指定を無視したのを見たのでしょう。

「あー、あれね。あの後U◯Sに文句を言ったのよ。

そんなところに荷物を置いて雨晒しにされると困りますって。

私から郵便局にも同じように抗議しましょうか?(にっこり)」

と言うと、

「聞いただけ!

 質問しただけ!

 質問する自由はあるでしょ?!」

と言って慌てて去って行きました。

 

そして今日、私はテラスから郵便配達車が来るのを見ていました。
運の悪いことに、今日の担当は郵便局マリオでした。

郵便局マリオは大きな荷物を配達車から降ろしていました。

おそらく、私宛でしょう。

しばらくしたら、郵便局マリオが

"Hey, Madam!"

と道路から声をかけてきました。

テラスから顔を出すと、

「荷物が道路に放置されてるよ。」

と言うではないですか。

今朝、近所の新築の家の庭師さんがトラックで道路をブロックしていたので、今日ここまで来たのは郵便局の車だけです。

他の宅配業車は一社も来ていません。

そして、私が配達を待っている荷物はこの一つだけで、郵便局のトラッキングサービスで今朝配達される予定だということがわかっています。

仕方なく郵便受けのところまで行くと、送り状を破った荷物が置いてありました。

宛名と送り主はまだ読み取れましたが、どの業者が配送を請け負ったのかがわかる部分と、配送番号が破り取られていました。

「この荷物は郵便局とは関係ない! たまたま見つけた!」

 と郵便局マリオは主張しますが、この宛名と、送り主と、そしてかろうじて残っている配送番号の一部から、これは私が待っていた荷物だとわかります。

「違うわね、これは郵便局が配達する荷物よ。」

と反論すると、郵便局マリオも言い返してきました。

「違う、この荷物は郵便局とは関係ない!」

「わかったわ、もういいから。」

そう言って、私は自分で荷物を家に運ぶことにしました。

そうしたら、

「お、俺が運んでもいいが?」

と言い出しました。

「いえ、結構。」

そう答えて背を向けると、郵便局マリオがなんだかぐだぐだ言っているのが聞こえましたが、無視しました。

数分後、郵便局のトラッキングサービスから「配達完了」のお知らせが届きました。

つまり、郵便局マリオは送り状を破損させて郵便局の荷物かどうかわからないようにしただけでなく、端末で私のサインを偽造して配達完了にしたということです。

郵便局の端末は、送り状のバーコードを読み取り、受取人がサインをすることで配達完了と送信します。

ということは、郵便局マリオは破り取った送り状を持っていて、私とのやりとりの後でバーコードを読み取り、自分でサインをしたのでしょう。

 

何年も郵便局マリオの仕事ぶりには不満がありましたが、そこまで強く抗議したことはありませんでした。

ですが、今回は違います。

郵便局マリオはやりすぎました。

かなり強く抗議しに、これから郵便局に行ってきます。