チーム戦と心得よ | 日本刀剣鑑定会の入口

日本刀剣鑑定会の入口

学芸員を志す上で、鉄工芸品、特に日本刀剣に惹かれ調べてみたものの業界全体の持つあまりに参入し辛い空気に四苦八苦した思い出を書き連ねていきます。

鑑定会では前回お話した通り、刀の凡その時代や通り、そして刀工やその一族を予想し紙に書いて、如何に早く正確な答えを導き出せるかといったゲーム仕様になっています。

しかしこのゲーム、本気で当てに行く時は勿論、試しに書いて出して見るにしてもまずは刀工の名前や活躍した時代、通りがわからなくてはそもそもどうしようもありません。

鑑定会ではその為「同然表」と呼ばれる、三つの時代と八つ通り毎に活躍した刀工がリストアップされた表が使われています。

ただこの同然表は鑑定会側の配布物ではない為、鑑定会にただ行くだけでは手に入れる事ができません。

実は鑑定会は個人で刀の銘柄をあてに行っている人達は殆どおらず、実際には数人のチームで挑んでいるようです。また多くの場合チームのリーダー的存在は刀に精通している人間や実際に仕事で刀に携わっている人が多くその人の知識を他のチームメンバーが学びに来ている、といった風にも見えます。

同然表はチームのリーダー的な人が独自に作ったものをチーム内でシェアしているのが現状です。基本的には門外不出であまりどのチームでもばらまいたり無闇に公開したりしたがらない物の為、どこのチームにも所属しないで同然表を手に入れるのは難しい事です。その為鑑定会に参加して、実際に鑑定に挑戦するには独自で只管研究を重ねるか、何らかのチームに所属して同然表を受け取るしかありません。