200 4年、日本国内で12番目の世界遺産が誕生しました。奈良県、三重県、和歌山県にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道」です。日本を代表する神仏習合の山岳霊場である熊野三山、高野山、吉野・大峯と、それぞれを結ぶ参詣道が対象となっています。
「日本書紀」で、イザナミノミコトが葬られた場所とされた熊野は、古来、死者の魂の行く場所、「黄泉の国」として、人々から畏れられ、崇められてきました。熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社のいわゆる「熊野三山」は、奈良時代には、仏教者たちの修行の場となります。そして平安時代になると、京の都から天皇や上皇たちが、三山を参詣する「熊野御幸」を繰り返すようになり、やがて熊野信仰は庶民にも広がってゆきます。人々は、極楽往生や魂の再生、いわゆる「黄泉がえり」を祈りながら、険しい道を歩き続けました。古道の脇には、行き倒れた人を祀る石碑が点在しています。