バウルは、バ ングラデシュとインドの西ベンガルの農村部に暮らす神秘的な吟遊詩人です。シンプルな1弦琴のエクタラと、ドゥブキと呼ばれる太鼓を奏でながら歌い、人々の喜捨によって生計を立てています。バウルの歌の詩は、とても哲学的です。生きる苦しみからどうすれば解放されるのか・・・。そんな根本的な悩みに対し、バウルの歌は人々の心に癒やしを提供してきました。少なくとも600年以上の歴史を持つバウルは、それゆえ人々から尊敬され、宗教の壁を越えて愛されてきたのです。
バウルは、神と自分以外の何者にも縛られないという独特の世界観を持っています。本格的なバウルになるためには、世俗社会を脱した修行が必要とされます。師匠や弟子が共同生活をしながら物欲を消し去り、神と人との関係を見つめ、考えるという暮らしです。
バングラデシュは、1年に3回の収穫が得られる豊かな大地。しかし、一方で毎年のように洪水に見舞われます。人知の及ばない大自然を前に生きる人々を、バウルの歌は心の面から支えています。