中国当局、中国配車サービス最大手のディディを独禁法違反で調査 | ボルタのブログ

ボルタのブログ

色んな記事をまとめ、自分の考えであるコメントをつけるそんなブログです

本文は、6月17日のロイター通信の要旨及びそれに関するコメントです

要旨

 中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は、配車サービス国内最大手のディディについて、独占禁止法違反の疑いで調査を開始した。同社は米国での新規株式公開(IPO)に向けて準備を進めている。独禁法調査による米へのIPOへの影響は現時点で不明だ。

 関係筋によると、SAMRはディディについて、規模の小さい競合社を市場から不公正に締め出す慣行があったかどうかを調べている。同社の中核事業である配車サービスの価格決定の仕組みに十分な透明性が確保されているかについても調査しているという。

 ディディは先週公表された上場目論見書で、同社を含む中国のインターネット企業30社以上がSAMRを含む規制当局と4月に面会したと明らかにしていた。当局は、独占や不公正な競争を禁止する法規制や税法に違反している可能性があるケースを特定し、是正策を講じるよう企業側に求めたという。ディディは、自己点検を完了し、「関係当局が立ち入り検査を行った」と明らかにした上で、当局は検査結果に満足しない可能性があり、罰則を科される恐れがあると警告していた。

 

コメント

・中国国内のIT企業、特にBATH(中国の巨大IT企業バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウエイの総称)を始めとした企業は江沢民派所属だ。

・今回対象となったディディもソフトバンク傘下ではあるものの、江沢民派の企業だ。

・一連の中国当局によるIT企業規制の原因は、中国国内の派閥争いだ。習近平派は江沢民派の李克強から経済への影響力を削ごうと躍起になっている。こうした中、アリババの実質的な支配者であるジャック・マーは習近平の政治を批判するような発言を行うと、中国はアリババ傘下のアントの大規模IPOを中止させた。アントはアリペイを運営する中国経済を支える大企業のはずだった。

・そして、中国当局はアリババに対しても直接的な規制をかけ始めた[1]

・中国当局は1月20日、国内電子決済市場の独占を抑える規則案を示した。これは、アリペイのみでなくテンセントが運営するウイーチャットペイも規制するものだった。[2]このように、中国当局はアリババだけでなく、テンセントまでも追い込みをかけている。

・そして、バイドゥや他のIT企業に対してもIPOの審査の厳格化や企業に対して個別に監査する処置等を行っている。

・このような一連の措置は、中国のIT企業は中国脱出に始まり、事業撤退まで自国経済に害を及ぼしている。また、中国の2020年の企業債権は50兆円規模まで拡大したといわれている。そうした中でも中国当局は規制や制裁をやめる気配はないどころかさらに加速させている。2021年の中国企業の債権はさらに拡大しそうだ。

・今後、中国IT企業はさらに肩身の狭い思いを強いられるだろう。しかし、日本IT企業にとって、中国のIT企業の弱体化は好ましい状況だ。なぜならば、これを機に中国依存から脱却し、内需拡大を促進する絶好の機会だからだ。

 


[1] ボルタのブログ:中国当局、アリババに独禁法違反の疑いがあるとして過去最高額の制裁金を検討 URL:https://ameblo.jp/toneriko1517/entry-12662018463.html

[2] ボルタのブログ:テンセントとアリババのフィンテック事業、独占禁止法違反となる可能性 URL:https://ameblo.jp/toneriko1517/entry-12651929893.html