中国、初の強襲揚陸艦就役 ―台湾への侵攻能力強化― | ボルタのブログ

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本文は、4月26日の日経新聞の要旨及びそれに関するコメントです

要旨

 中国国営中央放送は24日、075型強襲揚陸艦[1]「海南」(Fig.1)の就役式を放映した。中国の揚陸艦の就役は初となる。中国共産党の軍隊である人民解放軍は、台湾侵攻や南シナ海での紛争を想定し、今後も上陸作戦の中核を担う強襲揚陸艦を配備していくとみられる。


Fig.1-1 075型強襲揚陸艦「海南」を上からみた写真

Fig.1-2 075型強襲揚陸艦「海南」からLCACが出ていく様子

 

コメント

・海南は、米軍の揚陸艦、「ワスプ級」(Fig.2)に匹敵する排水量だ。

Fig.2 ワスプ級を上から見た写真

 

・人民解放軍は米軍のように強襲揚陸艦を中心とする艦隊を複数編成し、海外に軍事力を展開する能力の獲得を目指している。強襲揚陸艦は大きな甲板が特徴だ。F―35BのようなSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)が可能な航空機やUAV(ドローン)を搭載すれば空母に近い運用も可能だが、人民解放軍は大型のSTOVL機の開発はなかなか進んでおらず、「海南」を空母のように運用することは困難な状況だ。

・人民解放軍は、台湾を射程圏に収める複数の弾道ミサイルシステムを昨年から配備している。[2]この中には、極超音速兵器[3]の一種であるHGV[4]、DF-17も含まれる。

・これまで、中国は台湾侵略のためのミサイル兵器の配備を積極的に行ってはいたものの、揚陸艦の配備は進んでいなかった。

・今後、中国は台湾への侵攻能力を向上させるために揚陸艦や水陸両用車等をさらに配備させていくとみられる。

 


[1] 強襲揚陸艦:兵員、水陸両用車、軽戦車、火砲などから編成された上陸部隊及びそれを揚陸する舟艇(LCAC等)やヘリコプター、さらには上空から援護する航空部隊をワンパッケージで運べる多目的艦

[2] ボルタのブログ:中国、極超音速兵器、DF-17を配備開始 ―台湾侵略のための布石の可能性― URL;https://ameblo.jp/toneriko1517/entry-12632577825.html

[3] 極超音速:マッハ4・5以上の速度のことであり、この速度以上では既存の航空力学の適応が困難なため分別されている。

[4] HGV:弾道ミサイルの弾頭の一種である。HGVのシステムは、HGVという弾頭とブースターである弾道ミサイルから構成されている。ブースターにより十分に加速されたHGVは、大気圏約20~60Kmの高度を滑空するという。