アメリカ、ファーウェイへの輸出規制強化 | ボルタのブログ

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本文は、5月18日のブルームバーグの要約及びそれに関するコメントです

要旨

中国商務省は17日の声明で、米国の規制強化に反対し、中国企業の権利と利益を守るために必要なあらゆる措置を取ると表明した。

アメリカ商務省は15日、同国の技術を使って半導体を製造するメーカーからファーウェイへの製品販売の阻止に動き、ファーウェイとその子会社に米国の技術を使った機器の使用を認めるにはアメリカの許可が必要となった。

 

コメント

・米政権は昨年5月、ファーウェイを安全保障上の脅威として、輸出管理規則に基づく「エンティティー・リスト」に加え、制裁を続けてきた。

・米商務省は15日(米時間)に声明を通じてファーウェイへの半導体輸出禁止対象企業をこれまでの米国内企業から米国外の海外企業に拡大する措置を通じファーウェイの製品生産に必須の半導体供給に大きな打撃を与える政策を発表した。(Fig.1)

Fig.1 上記の法令が記載されたアメリカ商務省HP

 

これまでは米国で生産された半導体をファーウェイに輸出できないよう規制していた米国が、規定改正を通じて米国の技術を活用する海外企業もファーウェイに特定の半導体を供給するには米国の許可を受けさせるようにした。

ファーウェイは米国の特定ソフトウェアや技術に関連した半導体を購入したり半導体設計を活用したりする場合には米政府の許可を受けなければならないようになった。

・ファーウェイは米国からの制裁を受けており、米国企業であるグーグル(Google)が提供する「Google Mobile Services(GMS)」を搭載した製品を提供できなくなっている。GMSとはグーグルのアプリやサービスをまとめたものだ。

・ファーウェイには、独自のアプリやサービスをまとめた「Huawei Mobile Services(HMS)」が存在する。

・HMSがGMSに勝てないならば、ファーウェイ端末を購入し続ける熱狂的なファンは日本では少ないと考えられる。

・HMSがGMSに並ぶような優良なコンテンツになることはとても厳しい。これは、日本の生活に溶け込んでいるYouTubeやGoogle MAP等のサービスを使えない、もしくは制限されることとなるからである。また、アプリを作る側も、アンドロイド用、iOS用、そしてHMS用と三つに対応したアプリを作るには工数がかさみ、新規アプリが出にくいのではないかとも考えられる。

・上記のようなことは何も日本だけでなく、世界中で十分に起こりうる話であり、これから、ファーウェイ端末の買い控えがおこることは十分に考えられる。

・米政府はファーウェイを含む中国通信企業について、米国のサプライヤーからの製品調達を禁止している。既に米国輸出規制の下では、合計金額に占める米国製品の割合が25%を上回る外国製品は、対中輸出規制の対象となっている。それが先月に規制が強化され、アメリカはファーウェイに対し、テロ支援国と同様の扱いの10%までとなった。これによりファーウェイ、ひいては中国はアメリカが抑えている基本設計及び開発支援ソフトが使えなくなり、今後の開発・設計は頓挫する可能性がある。

・中国共産党系メディア、環球時報は、中国共産党は、中国の法律や規制に従ってクアルコム、シスコ、アップルなどの米国企業に制限を課したり、調査を行うとともに、ボーイング飛行機の購入を一時停止したりする考えがあることを述べた。

 また、同記事は、中国も企業ごとにエンティティー・リストを作成し、それに従って米国製品の制限を行うとも述べている(Fig.2)。

Fig.2 中国共産党系メディア、環球時報の該当ページ

 

・中国共産党は強気で言えないことを記者や通信社が独自に書いたことにさせることが多い。そのことを鑑みると、中国共産党は政府の報道官が具体的な法案を述べないなど、弱腰な態度がみられる。

・中華系企業のスマートフォン、特に5G対応製品はCPU等の核心技術はクアルコム等の米国企業の技術を使用している。この中国の反撃は自らの首を絞めるような行為であり、実施すればアメリカだけでなく、国内の有力者からの反発は必至だろう。

・また、今年1月、アメリカはオランダに中国へ最新のCPU開発プラント製造技術の輸出を阻止するよう働きかけるなど、中国が核心技術をアメリカ以外の国から導入できないよう中国の動向に先行してアメリカは動いている。

・さらに、今回の法案を受け、半導体受託生産の世界最大手、TSMCはファーウェイからの新規受注を止めている。

・現在、通信事業はファーウェイしか規制の対象となっていないが、今後はシャオミやZTEなど他の中国企業も規制の対象となる可能性は十分に考えられる。