2021年 読んだ本 ベスト21 | 飛んでONE OK ROCKEST! -こっそりワンオク鋼ファンサイト-

2021年 読んだ本 ベスト21

 

2021年に初めて読んだ本のみ対象としました。

個人的なお気に入りランキングです。

詳細なネタバレはしていませんが、すこし匂う程度のネタバレはあります。

 

 

 

 

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NO.21 「たゆたえども沈まず」 原田マハ

初・原田マハさん。美術館のキュレーターご出身ということでアートを題材にした小説が多い。ということは知っていたが読んだことがなかったので、挑戦してみた。

なんかもう有名作家さんすぎて「オススメ」を検索しても何冊も出てきて、結局どれを選べばいいのかわからず、表紙買いしようにもどれも素晴らしい表紙だし(どれも名画が使われてるのだからそりゃそうだ)、結局「兄弟の話」という、どこかハガレンファンに刺さるあらすじの、この作品を手に取ってみた。ゴッホと、その弟・テオの話です。

淡々とした話ながら、自分が100年前のパリでゴッホたちを見ているような気分になれて面白かった。あと、文章表現がなんか絵画的というか、構図を説明するかのように景色を説明する文章が結構多くて、そういうとこもおもしろかったです。

 

 

 

NO.20 「霧越邸殺人事件 上 下」 綾辻行人

すごく長い作品ですが、さくさく読めました。しかし、重厚感があるところが良かった。幻想的というか、絵画的というか、雪山の山荘という典型的なミステリ王道ですが、それが非常に美しい描写で描かれていて素敵なミステリでした。

クローズド・サークル好きの期待を必ずや満たしてくれることでしょう。

トリックがどうとかいう以上に、作品全体のこの幻想的な世界観と文章美が唯一無二でした。

もはや 「冬の雪山」 「孤島」 「何故か電話線が繋がらず車もパンクさせられ、つり橋も落とされた山荘」 はクローズド・サークルものの様式美でありますので、それがたとえどんなに非日常的であろうとも、小説の世界ではそれが起こってしまう、というところが良いです。

 

 

 

NO.19 「結婚相手は抽選で」 垣谷美雨

読むのが激遅な私が3時間ほどで読めた文庫本。すごいリーダビリティでした。なんかドラマの脚本みたいな感じでした。(ドラマになってたんだっけ?)

強制的に●回の見合いの間に結婚しなければならない・・・という法案が通ってしまったら、という話。●回以内に決めろって言われてるのに選り好みし続ける登場人物たちのいいぶんが面白いです。みんな自分のことは棚にあげて、相手にはケチつけまくる、という、すごくリアルな物語です。

 

 

 

NO.18 「R帝国」 中村文則

目覚めたら、戦争が起きていた――というSFチックな話。が、わりと早い段階で、「R帝国」は日本の近未来をモデルにしているのだな、ということがわかる。全体的に社会風刺的な作品で、日本がこのまま進むと、こんな滅茶苦茶な国家になっちゃうよ、というメッセージが詰まった作品。

昔、この作家さんの「教団X」という作品が、アメトーーーークの「読書芸人」でとりあげられた時、すごく難しそうな表紙で私は読むのをためらった。のだが、今回この作品を読んでみて、あらびっくり、意外とすごく俗っぽいというか、気軽に読めました。

教団Xは買ってまだ積んでるので来年読みたい。

 

 

 

NO.17 「ミステリークロック」 「コロッサスの鉤爪」 貴志祐介

文庫本として2冊になって出されていますが、単行本時は一冊だったため、まとめさせていただきました。

ちょっと毒っけのある地の文がおもしろすぎる。「ミステリークロック」のトリックが、すごい。何がすごいって、このトリックを思いつこうと思って思いついた貴志さんの頭脳と、「時間」への執念がすごい。

ただ、私はトリック以上に、めちゃくちゃすぎるやろっていう登場人物たちの行動にいちいち突っ込むのがおもしろすぎて、どっちかというとそういう面・・・ミステリ以外の面もまたすごくおもしろかったです。これほどまでの『本格ミステリ』の中に『本格ギャグ』を入れられる、そのバランス感覚がすばらしすぎる。

ドラマ『鍵のかかった部屋』の原作シリーズで、ドラマで見た話も入っているのですが、ドラマで見るのと文章で読むのとではまた一味も二味も違うので(特に榎本に対する描写が)、何度味わっても面白い作品。

 

 

 

NO.16 「神様の罠」 有栖川有栖、乾くるみ、芦沢央、大山誠一郎、辻村深月、米澤穂信

今をときめく人気作家たちによるミステリー短編集!というわけで期待大で読んでいったが、実は芦沢さん、大山さん、辻村さんは初読みでした。

大山さんのめっっちゃ好きでした~~。この中で一番好きだったかも。圧倒的に面白かった!たしかドラマ『アリバイ崩し承ります』(←めっちゃ好き)の原作本の作者さんということで、他の作品も読んでいきたいです~~

乾さんのは、もうさすが乾さんっていう感じで、どんでん返し系を書かせたらこの人の右に出る人はいないというか・・・!発想の着眼点がかなり特殊だなといつも思います。

米澤さんのも安定の面白さでした。米澤さんの世界観は全体的にひんやりしてるのが好き。無理やり寒いのじゃなくて、清楚なひんやり感。

あと、辻村さんは初めて読んだんですが。なんでこの方はこんなに人気なのだろう?と思っていた…んですが、これを読んだら、『・・・こりゃ人気出るわ!』と思い知らされました。文章的にはそこまで好きなタイプの方ではないんですが、ストーリーがとにかく面白い。あと、人の感情に突っ込んで「そこまで正直に描く??」っていうところまで書かれているところが小説っぽくなくて読みやすいのかも。ドラえもんの映画のストーリーも作られたらしいですが、それも納得のストーリーテラーだなと思いました。『かがみの孤城』も買っちゃいましたよ~!

有栖川さんのはすんごい独特な話だったけど、なんかこれはこれで一作、こういう変わり種が入っていたのがとても良かったです。

 

 

 

NO.15 「ハサミ男」 殊能将之

ミステリの傑作、というまとめなんかには必ず登場する作品。ずーーーーっと気になっていたのですが、猟奇的なタイトルなので少し苦手意識があって後回しにしてきた・・・。のですが。全然猟奇的な話ではなく、とにかくめちゃくちゃ面白いミステリでした。一応、タイトルどおり殺人にハサミは使用されるけど、そのシーンが重要なのではなく・・・・この作品自体が素晴らしいミステリ、です。傑作というか・・・名画を見た後の感動があります。

登場人物たちの描写もしっかりしてて、いろんな人物に愛着も出てきて、とても良い物語でした。最後のほうの余韻の残り方も理想的で。

単なる謎解きにとどまらない、しっとり後味が続く良い作品でした。

 

 

 

NO.14 「満願」 米澤穂信

ひとことで言うとミステリ短編集・・・なのですが。単に謎解きというだけでなく、いろんな社会的テーマが複合されているという点も素晴らしいですし、あとやっぱり一文一文、単語のチョイスとか説明の順序とかが美しく、文章が端から端まで芸術的で、光り輝く短編集でした。

難しすぎず、かといって安易な単語で済ませず・・・というストライクゾーンを狙ってくれる作家さんが大好きなのですが、米澤さんの文章も言葉のチョイスがとても好きです。

一番良かったのは「万灯」ですかねえ。国際的な事業の裏に・・・・という社会派ミステリをさっくり短編にまとめた作品。国際貢献ってなんなんだろうと考えさせられます。

 

 

 

NO.13 「聖女の救済」 東野圭吾

昔いちど読んだと思うんですけど、その時は全然気に入らなかった覚えがある。・・・んですが、数年ぶりに読んでみて、めちゃくちゃ面白かった!いったい、この年月を経たことによる感想の違いはなんなんだろうか。

特に、草薙刑事の心情が良かったですねえ。ドラマ版のキャストの方々もすごく良かったから、あの雰囲気を思い出しながら読みました。

これ、実はトリックは初読みの時にほぼ当てたんですよね~~。トリックの目新しさはあまり高くないかもなんですけど、物語として全体的に切ない哀しい感じが漂っていてとても面白かったです。

 

 

 

NO.12 「戦場のコックたち」 深緑野分

単体の感想ページはこちら。

かなりの量の長編だったし、タイトルどおり戦場の話なので「わーー!おもしろ~~~い!するする読めちゃう~~!」という作品ではなかったですが、情報量の多い中にもエンタメ性もあって、読み終わったあとは満足感がありました。

戦争ときくと、ついつい銃弾がゆきかう場面や爆弾が落ちるところを思い浮かべてしまいますが、実際問題、資源(食料・弾薬)の供給、移動ルートの確保、人員の戦略的な配置、情報収集とか、わりと現代企業の経済活動と通ずるところがあったんだなと思いました。

今はそれらの業務の行き着く先が、まがりなりにも誰かの幸せのためであり、昔のように人殺しのためではない。そのことに、思わず感慨深くなりました。

 

 

 

 

NO.11 「雲は湧き、光あふれて」 須賀しのぶ

3編の、野球を題材にした短編がおさめられている。

どれも良かったんですけど、2作目は書きおろしだけあって(?)どこかポップというか、こんなふうな交流あったら面白いだろうなーっていう、ちょっとドリームな感じでした。

3作目は戦前~戦時中の高校野球を描いた作品で、最後のシーンがむちゃくちゃ印象的でした。同著者の「夏空白花」に繋がるようなお話でした。

 

 

 

NO.10 「帝冠の恋」 須賀しのぶ

百数十年前のヨーロッパを舞台にした、恋愛劇なのですが。

はーーーーーーーーっ ええーーーーーーっっていう展開の連続でした!今も昔も、男と女のドロドロはどこでもあるのね、と思わされた。

内容としてはドロドロなんですけど、文章表現が綺麗で、華やかな感じが好きでした。

 

 

 

NO.9 「あなたの人生、片づけます」 垣谷美雨

片付けアドバイザーの行く先々の家々でのちょっとした小話を集めた短編集なのですが。部屋の乱れは心の乱れ、という言葉があるとおり、やっぱり散らかっている部屋の主って、何かしらの問題を抱えてるんですねえ。いや、もう、すっごく自分自身にも思い当たる。これ読んでると、ちょっとだけ心のモヤモヤが軽くなりました。みんないろんな悩みがあるのだなあ、と。

読むたびに、ちょこっとだけ、心の洗濯がされるような、作品でした。

続編書いて欲しいなあ。片付けアドバイザーのキャラがとても良いんですよねえ。

 

 

 

NO.8 「夏の祈りは」 須賀しのぶ

野球の短編集・・・・なんですけど、5編全部繋げると、すごいことになる・・・・!!っていうパターンの、いわゆる短編連作?という本。すごくさわやかな中に、結構こまごました、マネージャーを主体にした話とかあったりして、面白かったです。

ある学校を舞台に、だんだん世代が現代に近づきながら話が展開していって、前の編に出てきた人物が後ろの章に出てきて、という繋がりとかちょとゲームぽくて・・ていうかドラクエ4ぽくて良かった。

そして最後の章の・・・あの感じが、やっぱり須賀さんだなー!!という胸を打つ展開。問答無用でドラマチックなこの展開を描いてくださって、安定で大好きです。

 

 

 

NO.7 「オズの魔法使い」 ライマン・フランク・ボーム

あるときふっと読みたくなって、買ったらまぁもう・・・・。意外と(失礼)、深い作品だったんだなという驚きがありました。実は幼稚園の発表会で主人公のドロシーを演じた・・・という個人的な贔屓目も多分にあるかと思いますが、他の童話とは一線を画した作品だと思っています。断トツ好きな童話ですね~~。

 

 

 

NO.6 「テスカトリポカ」 佐藤究

麻薬、臓器売買、という二大巨悪を描いた本格社会派小説―――かと思いきや蓋をあければめくるめくエンターテイメント小説。いったいこんなテーマで、なんでこんなに面白く書けるのかわけがわからないのですが、とにかく面白い。ページめくる時の速度が、少年ジャンプ読んでる時並の勢いあるめくり方になりました。

すっごい分厚い本だったのに、毎日飽きもせず鞄の中に入れ、夢中で読みました。異次元というか・・・・はい、異次元でした。

たまに、「とにかく読んで!」と紹介されている本あるじゃないですか。どんな紹介文やねん、なんの参考にもならんわって思ってたけど、この本はまさにその台詞がふさわしかったです。

 

 

 

NO.5 「王とサーカス」 米澤穂信

実際に起こったネパールの王宮での殺人事件を扱ったミステリ。・・・なのですが、蓋を開けるとバックパックあるある、国際貢献あるある、が出てくる出てくる。新聞記者という主人公の旅を通して、記者の仕事とはなんぞや、とか、国際貢献とはなんぞや、とか、正義と悪はなんぞや、みたいな話をさらっと描いている・・・・にも関わらずミステリはミステリでしっかり面白い、という、色々な面白さがあってお得な作品。

旅好き、国際ボランティア好き、ミステリ好き、お仕事好き、どの層にも刺さる、わりと間口の広い作品だと思います。

詳しい感想は、こちら。

 

 

 

NO.4 「儚い羊たちの祝宴」 米澤穂信

5位と迷ったんですけどね~~同じ作家さんで。でもやっぱり、この作品の世界観の耽美さが大好きで、こっちを上位にしました。

よくあるミステリの短編集でしょ、なんて思いきや、とんでもないです。

連作のようで、連作じゃないようで、しかし・・・ああ・・・なるほど・・・という、1作品単体ずつでも面白いし、それを全部読んで全体像が見えた時の、なんともいえない独特の後味。

そして儚く美しい中に見え隠れする、刹那の憎悪。

タイトル、表紙、内容、のリンク具合がとびぬけていて、ただの『面白いミステリ』で終わらない、ずっと本棚に置いておきたい、存在が美しいミステリ本だと思います。

 

 

 

さて、いよいよ、ベスト3!!!

 

 

 

 

 

NO.3 「同志少女よ、敵を撃て」 逢坂冬馬

いやー、この作品にはほんと困りましたよ。

2021年も暮れにこの作品に出会ったもんだから、一気に3位に喰いこんでしまった。おかげでほとんど書き終わっていたこのページの、四位以下の順位を全部繰り下げていくという非常に面倒な展開になってしまった。

まあそんなこんなで、もんのすごい勢いで読んでしまいました。

名は体を表す、というか、タイトル読んで興味出た人は問答無用で読むべし、という作品でした。わりとタイトルが全てを表していると思うので、タイトルに惹かれなかったら無理におすすめはできないかもしれません。

詳しい感想は、こちらのページ。

 

 

 

NO.2 「熱源」 川越宗一

『とにかく良い作品が読みたい、というなんともアバウトな注文を聞かせられたとしても、これさえ出しておけば絶対にOK!』な鉄板作品。長編二作目?(たしか)にしてオールタイムベストみたいな作品を出してこられました。

はじまりよし、しめよし(読んだら意味がわかると思います)。さまざまな登場人物の、激動の70年間を描いた骨太歴史小説・・・に見せかけてとても読みやすい。

おそらくどこかで映画化または映像化の話は動いているのではと思ってしまう、というかこの作品に目を付けなければいったい何に目をつければよいのだ、と言わんばかりの壮大さ。これほどまでに万人にすすめられる小説があっただろうか。非の打ちどころがない。ミルクボーイのいうところの『コーンフレークのバランスの良い五角形』並にバランスの良い作品です。

詳しい感想ページは、こちら。

 

 

 

 

さて・・・栄光の第一位は・・・・!!!

 

 

 

 

 

NO.1 「Ank : a mirroring ape」 佐藤究

これは・・・・ぶっちぎりです、2021年。

いや、もちろん二位までの作品たちもとても素晴らしかったのですが、個人的な好みドストライクという点で、この作品は圧倒的でした。わりと迷わず一位の座につきました!つべこべ言わずとにかくメロディが好き、という楽曲のような圧倒的強さがありました。

『チンパンジー×京都×暴動』、という一見どんな組み合わせの話やねんって突っ込んでしまいそうな内容なのですが、本当に・・・おもしろすぎました。霊長類の話、人類史の話、科学者の生い立ち、古都・京都での暴動≪ライオット≫を、これほどまでにエンターテイメント性あふれて描いた作品は他にないでしょう。(そもそも霊長類×京都×暴動という組み合わせ自体ほかにないだろっていう斬新すぎるカテゴリなのですが)

もともと人類史とか大好きなジャンルなのでちょっと公平な目で読めてないかもですが、そういうのに興味ない方でも暴動系エンタメ作品(なにそれ)としても十分面白く読めるのではないかと思います。

詳しい感想はこちらのページ(別ブログです)に載せてます。

 

 

 

 

 

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2022年も色々読みたいです。

今手元にあるのは、「QJKJQ/佐藤究」、「紅蓮館の殺人/阿津川辰海」、「かがみの孤城/辻村深月」・・・etc。

あとは、好きな作家さんの新刊が出そうな気配があるので超絶待機中。

それと、漫画は「約束のネバーランド」を、牛みたいなスピードで読んでる(二カ月前に全巻買ったのに、まだ6巻・・・)のでこれをはやいとこ読み終わりたい。

結構この漫画、読むの時間かかる・・・。