中国をギャフンと言わせたパナの「技術力」…
「反日」より「命」、PM2・5めぐり中国がパナ表彰
2013.4.1 08:00 (1/3ページ)[経済裏読み]

 PM2・5の大気汚染が続く中国で、同政府機関の「室内環境監測委員会」が「2012年室内環境保護業界十大ニュース賞」と「2012年度中国室内環境保護業界 新商品重点推薦賞」の2つの賞をパナソニックに贈った。理由はPM2・5の除去性能など、高い機能だ。ところでパナソニックといえば、昨年、中国の工場が暴徒に襲撃され、甚大な損害を受けたはず。健康被害と人命危機を前に、さすがの中国も日本の技術に脱帽か?


空気清浄機能で高評価
 この委員会は空気など室内環境の国家基準を策定する組織で、2011年12月に設立。表彰は今年1月に北京市内で開かれた、優秀な技術や新商品を表彰する「2012年度室内環境保護業界 新技術新商品表彰会議」(同委員会主催)で行われた。 パナソニックが受賞した十大ニュース賞は、パナソニックがPM2・5の除去性能が高い商品を市場に投入してきたことに対する評価。また、新商品重点推薦賞は、2012年度に発売した空気清浄機が技術力の高い新商品として評価されたもの。清浄機能と省エネ性能が受賞理由となっている。 パナソニックは2004年から中国市場で空気清浄機を販売し、12年度に7機種を投入しているが、表彰を受けたのは初めてだとしている。ほかに表彰されたのは、中国のメーカー「亜都」だった。

メディア「日本排除より命」、値段2~3倍でも売れ行き倍々ゲーム
高くても日本製
 中国の家電情報サイトなどによると、PM2・5が話題となった1月は特に売れ行きが突出し、パナソニックは前年度比2倍の売り上げ。シャープ、ダイキンも前年同月比で3~4倍を売り上げているという。 メディアもやや皮肉な表現を交えて紹介。香港のアップルデイリーは2月、「日本製品ボイコットよりも命が大事、日本製空気清浄機が売れている」と掲載した。家電製品情報を提供している中国最大規模のIT専門サイト「ZOL」も空気清浄機の特集を組んで、シャープ、パナソニック、ダイキンの製品をとりあげており、評価は上昇中の様子だ。 ちなみに価格だが、日本の空気清浄機は1台あたり4千~5千元台の製品がよく売れており、日本円では6万円台から7万円台にあたる。中国製品の売れ筋は2千~3千元(3万~4万円台)で、これと比べるとかなり高い。 高価格の理由は、新製品の宣伝費もあるそうだ。だが、中国では実のところクーラーや液晶テレビを買うより高くつくという。

よい製品はナショナリズムを破る
 思い起こせば日本が昨年9月に尖閣諸島を国有化した際、山東省、江蘇省などのパナソニックの工場では反日デモ隊が暴徒化し、設備の破壊や放火などで操業停止という事態にまで至った。 あれから1年もたたない中での、この手のひらの返しようはどうだろう-と、半ばあきれもするが、日本の技術力を誇る話題だ。 いい製品を出し、評価につなげるということは、国を問わず王道ということなのだろう。