ロシア経済低迷 首相が警鐘「ゼロ成長も」 五輪投資が財政を圧迫

2013.10.3 21:30 ロシア

 【モスクワ=佐々木正明】ロシア経済の低迷が鮮明になってきた。政府は今年の国内総生産(GDP)成長率を1・8%に下方修正し、2000年にプーチン氏が最初に大統領に就任して以来、リーマン・ショック翌年の09年を除いて最低となる見通しだ。メドベージェフ首相は9月27日、「このまま減速すればゼロ成長に近づく」とする論文を発表して痛みを伴う改革の必要性を訴えるなど、政府も危機感を強めている。

 今年のGDP成長率を3・6%と予想していた経済発展省は、ここ数カ月で2度、成長率を下方修正した。ウリュカエフ経済発展相は「改善の兆しが見えない」と指摘した。地下資源の輸出に頼る産業構造からの脱却が遅れ、来年初めのソチ冬季五輪など巨大事業への投資も国家財政を圧迫している。

 世界銀行も9月、ロシアのGDP成長率を1・8%とし、国際通貨基金(IMF)はさらに低い1・5%に下方修正した。プーチン政権は年5%以上の成長を目指していたが、経済の急ブレーキに伴って長期発展戦略の変更を余儀なくされている。

 9月末に議会に提出された来年の予算案は、社会保障費の削減などで当初計画から支出を5%カットした。事業費が5兆円超まで膨らんだソチ五輪予算の教訓から、18年に開催予定のサッカーW杯関連費なども削減した。専門家はソ連崩壊後の1990年代に匹敵する経済危機だと指摘し始めている。