「都議選は無効」提訴 元最高裁判事「一票の格差 是正されず違憲」

2013.10.2 20:43

 人口比例に基づかない区割りで選挙区ごとの「一票の格差」を是正しないまま行われた6月の東京都議選は憲法違反だとして、元最高裁判事の泉徳治弁護士(74)が、居住地の練馬区選挙区の無効を求めた訴訟を東京高裁に起こした。

 2日に高裁(大竹たかし裁判長)で開かれた第1回口頭弁論で、被告の都選管は「都議会の裁量権を逸脱しているとはいえない」として請求棄却を求めた。 最高裁判事経験者が原告となり、訴訟を起こすのは異例。泉氏は提訴の理由を「都議会は長年、この問題を放置しており、是正を促す絶好の機会と考えた」としている。 泉氏は最高裁事務総長や東京高裁長官を経て平成14年に最高裁判事に就任。国政選挙の「一票の格差」訴訟の審理に3度加わり、いずれも「違憲」との反対意見を述べていた。 都条例は都議選の定数を127と規定。訴状によると、22年国勢調査に基づく議員1人当たりの人口は、42選挙区のうち島部を除くと千代田区が最少で、最多の北多摩3区との間に3・208倍の格差が生じた。

 泉氏は、ある区と比べて人口の少ない区が議員定数では上回るという「逆転現象」が12通り発生すると指摘。今年6月の選挙では、千代田区の当選者の得票数が約8500票だったのに対し、練馬区では2万票超を得た候補者が落選した。 都条例は、島部と千代田区を「特例選挙区」として、他の選挙区に合併させず、定数1を与えている。 泉氏は、この特例規定が「投票価値の不平等の一因となっており、違法・違憲」と主張。人口に比例した定数配分を実現するには、練馬区など6選挙区で定数を計7人追加し、新宿区など7選挙区で計7人を削減する「7増7減」が必要としている。