一人っ子違反2700億円 中国、利権の温床に 習指導部も不正調査

2013.10.2 18:05

 中国で一人っ子政策に反したとして「社会扶養費」の名目で徴収される違反金が全国計21の省、直轄市、自治区で少なくとも年間168億元(約2700億円)に上ることが2日、情報公開請求した弁護士の調べで分かった。違反金が利権の温床となり、不正流用されているとの疑惑が広がっていることから、習近平指導部も不正調査に乗り出している。 中国政府は超高齢化の到来や労働人口の減少を懸念し、一人っ子政策の緩和を検討しているが、一人っ子政策の利権に連なる各地方政府の担当部門の抵抗も予想される。 浙江省杭州の弁護士、呉有水氏らは、2012年の「社会扶養費」の収支について計31の省など地方政府に情報公開を請求。複数の弁護士が共同通信に提供した資料によると、21の地方政府が請求に応じて情報公開した。(共同)



安月給はイヤ!一人っ子で「教育費に高コスト」 中国、雇用ミスマッチで内定率悪化

2013.6.20 09:32 (1/2ページ)労働・雇用

 中国では過去数年、大学生の就職難が問題になってきたが、今年は特に深刻で、内定率も過去最低の水準に陥っている。大学生数が急増した半面、経済成長率は8%を割り込み、企業の求人意欲が衰えている。だが、理由はそれだけではない。グローバル化の進展の中で、企業の求人ニーズは大きく変化しているが、大学での教育内容は旧態依然のまま。しかも大学生は給与の低いところには行きたがらない。

こうした企業側と学生側のミスマッチが、就職内定率をより低くしている。 6月初めに教育関係の調査・コンサルティングで定評のある麦可思研究院が「2013年中国大学生就職報告」を発行した。それによると、今年4月10日段階の大学本科生の就職内定率は35%で、前年同期に比べ12ポイントも落ちている。大学院生はさらに悪く26%でしかない。しかも昨年度に就職できなかった大学生がなお全体の8.5%(53万人)も残っているという。 大学の募集定員が一挙に増えたのは1999年だった。前年の108万3600人から159万7000人へと50%近くも増えた。経済発展とともに、その後も増え続け、2006年には500万人を突破。今年の卒業生は過去最多の699万人(昨年比19万人増)となっている。 

景気のスローダウンで、企業の求人意欲が鈍化しているのは間違いない。それでも沿海部では若手労働力が不足しているので、条件を低くすれば、就職先がないわけではない。 だが、親としては初任給で月3000元(約4万6380円)以下には行かせたくない。できれば4000元から5000元はほしい。なぜなら学生の多くは一人っ子で、これまで★★★多額の教育費をつぎ込んできた。コストがかかっているので、給与の低いところには就職させたくない。 一方、企業側からすると、必要とする人材がなかなか見つからない。大学の学部・学科の編成が、企業のニーズに合っていないからだ。法学や英語、国際貿易などはいくらでもいるのだが、より専門的な物流、自動車、新材料、都市開発といった分野の人材は少ない。 「2013年中国大学生就職報告」によると、卒業生の55%しか就職先に満足していないという。これが卒業3年後になると、36%にまで下がってしまう。企業側と学生側のミスマッチを防ぐには、学生の意識改革、大学の教育内容の変更など、早急な対策が求められよう。(フジサンケイビジネスアイ 拓殖大学国際学部教授・藤村幸義)