こんびんば。
もうかれこれ3年くらい前の話でしょうか・・・
自分には不釣合いな彼女に少しでも振り向いて欲しいがために、
だいぶ背伸びしたデートを仕組んだ時の話しです。
彼女から『誕生日はレ・クレアシヨンド・ナリサワで』っておねだりされたので、
無い金振り絞って予約したんです。とにかく予約電話もつながらないような人気店なんですが、
更に元来ええ格好しいの私はその有名シェフに『オリジナルでバースデーケーキを作って欲しい』
なんて追加オーダーまでしてたんです。ぶっちゃけめちゃめちゃお金かかりましたよ。
プレゼントのブランド物のバッグも高かったし、ディナー代は二人で10万円まではいかないですが、
それに近い金額を支払いました。
当日、ラッキーカラーのピンク色に染めたトヨタの愛車ヴィッツって車で彼女を
迎えに行き、ジャイアンツの応援歌CDを聴きながら青山へと向かいます。
店に着き駐車場に車を止めると周りには外車しか止まってないんですよ。
ベンツとかBMWとかゼファーとか・・・。本当に、いや、本当に。
ファッションリーダーとして、めちゃ格好付けて来たんですが、
如何せん次元が違います。この時点で場違いなことに気が付きビビり始めます。
そして、いよいよコースのスタートです。
いきなりアワビの何ちゃらみたいのが出てきます…次はフォアグラ…更にキャビアみたいな…。
と、コースも半分くらいまできたあたりで体調が・・・『ぬぅ・・・』 気持ち悪くなってきます・・・。
アワビの臭いのゲップが…止まりません・・・。『ヤダ・・・アワビ臭のゲップが止まらない・・・』
コースが進むにつれ体調は悪化、次第にゲップに汁っ気が混じり出します・・・。
その汁っ気ゲップを飲み込むと予想以上に酸っぱいです。
酸味のある感じは・・・そうだな~ある種CCレモン的な・・・すっぱムーチョ的な感じですかね。
そんな中、何とか最後のスペシャルオーダーバースデーケーキを食べ終えますが、
正直もう『オエッ』といきそうです。
そして、帰りの車を運転し出した途端に吐き気をもよおします…。
店を出て、道玄坂に差し掛かった時点で早くも限界を感じます。
SHOW-YAバンド風に言うところの『限界ラヴァーズ』です。
道玄坂のローソンの前で急停車し、『ちょっと休憩すんわ』とあくまで格好良く外に出ます。
ここまで・・・高級料理にサプライズケーキ、高級プレゼントまで用意しといて、
最後の最後に格好悪いところは見せられません。
『嫌われたくない!』その一心で・・・一心不乱に・・・
『オエェ~!!』
道路脇の植栽に今夜のスペシャルディナーを デザート→メインの肉→パスタ
と遡るようにゲロを吐いていきます。植栽にはもったいなくらいの栄養です。
吐きに吐きまくり若干落ち着いてきたところで、彼女の元に戻ります。
『よっ☆お待た~♪』ってなもんですよ。
ただよく匂うとゲロのかほりがするんですから、女の子からしたら相当ゲンナリですよね・・・。
ま~ま~サラダと前菜、スープくらいまでは胃の中に残しながら、
何とか首都高渋谷で高速に乗ろうと試みますが、物凄い渋滞です…
『参ったね~』なんてトークをしていた…その時!
『うぷっ!』
その瞬間!とっさにドアを開け道路にゲロを吐きつけます。
助手席の彼女も『やだっ!』
思いもよらない事態に『え~!?』状態です。
渋滞によるノロノロ運転中、吐気をもよおすたびドアを開けゲロを吐きつけました。
左手はハンドル、右手はドアを開け、顔はドアの外・・・
途中どうにもこうにもゲロが止まらなくなり、思わず彼女に『ハンドル握って!!』
走る車のハンドルを助手席の彼女に握らせ、私はゲロ吐きに集中したんです。
その時、ふとバックミラーを見ると、
何と後ろを走っている車が私のゲロを避けて蛇行運転してるではないですか!
私がゲロを道に吐き落とすたびに、後ろの車はゆっくりゆっくりと的確にゲロを避けて走ってるんです。
自分が悪いんですが本当にショックでした。
結局、高速は渋谷で乗って、青山で下りました。
胃の中がカラッポになるまで首都高を走りながら吐き尽くし、体調が復活したのは次の日でした。
本当に格好悪かった…。
後から聞いたら『正直ゲロ臭かった。ドアに飛び散ったゲロが気になっって仕方なかった』そうです。
背伸びして高級フレンチ食べに行ったら緊張して体調崩して、
食べて30分もしないうちに首都高に全部吐いて幻滅白書・・・されました。
後で店で記念に撮ってもらった写真を見たら体調不良で汗ばんだオデコに髪の毛がへばりつき、
目も虚ろで温水洋一みたいでした。
ただ、今回の運転をしながらゲロを吐く『ドライビング・ゲロ』という高度な技術は
新たな首都高伝説になったとかならないとか。土屋圭一か私かってなもんですね。