「ちょっと聞きたいんだけど、ここから一番近いコンビニってどこ?」
ジェジュンと同じように同年代だと感じたのだろう。
男性は気さくな感じで話しかけてきた。
「駅前かな……歩くと……七、八分くらい……」
「そっか、ありがと」
男性はそう言うと足を踏み出し、そしてすぐに立ち止まる。
「駅って……どっち?
そもそもそれを知らなかった」
恥ずかしそうに頭をかく姿が子供みたいに可愛くて。
「案内するよ……ちょうど僕も駅前に行くところだったから」
自分からこんなことを言い出すなんて、ジェジュンは驚いていた。
人見知りで友達だって多くない。
自分から話しかけるようなことをするタイプではないのに。
ただこの男性には人を惹き付ける魅力があった。
話してみたいと思わされるような。
並んで歩くと背の高さもさることながら、足の長さや体格の良さがよくわかる。
恐らく何かスポーツをしているように思われた。
「中学生?」
ジェジュンの歩調に合わせるようにしながら、男性はジェジュンに話しかけてきた。
「春から高校……」
「うっそ、じゃあ俺と同じじゃん。
俺そこの東方学園に行くんだけど」
「僕も……」
「すっごい偶然だな。
あっ、俺ユンホ。
ユノって呼んでくれていいから」
「僕は……ジェジュン」
「ジェジュンかあ、よろしくな。
せっかく知り合いになったんだから、一緒に通学しようぜ。
引越してきたばっかりでこの辺のこと良くわからないから、色々教えてよ」
ユノはまるで昔からの友人のように、次々と話題を振ってきた。
本来こういう性格の人間はあまり好きではなかった。
自分のテリトリーを踏み入られることが嫌で、無意識に拒否してしまうのだ。
しかしジェジュンは自然とうなづいてしまっていた。
馴れ馴れしいのに、それがユノの魅力に思えて。
「俺んち父親が単身赴任でさ、ずっと離れて暮らしてたんだけど、俺の進学に合わせて家買って一緒に住むことになって。
それでここに引っ越してきたってわけ。
ところで俺高校で野球やりたいんだけど、東方ってどうなのかな?
強い?」
「そういうことはよく知らない。
僕は家から近いからあそこにしただけだし……。
調べてないの……?」
「俺そういうの苦手でさ。
あんまり深く考えないで決めちゃった」
「今笑うとこじゃないよ?」
「まー何とかなるって。
弱いチームなら俺が強くすればいーんだし。
ジェジュンもやるか?野球」
「遠慮しとく、球技は得意じゃない。
コンビニあそこだから」
ジェジュンは通りの向こうを指差した。
「ジェジュンはどこ行くんだよ」
「コンビニの隣の本屋」
「帰り道……自信ない」
「一本道だけど?
分かった、コンビニの前で待ってて」
大人顔負けの大きな体をしているくせに、しゅんとした表情がどことなく頼りなくて、放っておけない気分にさせられる。
ジェジュンは心のどこかで、ユノのとの出会いに特別なものを感じた。