あなたの鎖に繋がれたいⅢ 39 | そばにいるから ~YJ妄想小説~

そばにいるから ~YJ妄想小説~

ゆっくりしていってくださいね

ユノに心を奪われて、一生愛し抜けると思えるひとに巡り会えたというのに、俺はずっと不安で堪らなかった。



こんな自分でいいのだろうか、もうすぐ飽きられてしまうのではないかと、幸せを感じた直後にまた怯えて。



特にミズキさんとの出会いは俺を絶望のどん底に突き落とした。



けれどもし今回のことがなかったとしたら、俺の心はいつか少しずつ壊れてしまったかもしれない。



ユノの俺に対する気持ちの一片知ることができたのは、ミズキさんのおかげかも。



俺を抱き寄せるユノの腕の温かさが、ユノのそばにいてもいいのだと教えてくれているように思えた。





「ミズキ…これからどうするつもりだ?」





二人の過去に何があったとしても、ミズキさんはユノの大切な幼馴染なのだ。



二度と会わないという選択肢もあったのに、ユノはこうしてミズキさんを自分の元に呼び寄せ、今後のことを気にかけている。





「これからか…自分でもよくわからない。


今までもそうだったように街に出て…誰かに声をかけて…何とかなるよ。


少なくともここにはもう来ないし、二人の邪魔はしないから安心して。


正直言うとどうなってもいい…」





「ミズキさん…」





「最近さ…あの街のことばっかり思い出すんだ。


僕らが生まれた街。


田舎で遊ぶところなんか全然なくって。


早くこんなところから抜け出したいってずっと思ってて、こうして都会に出てきたっていうのにおかしいよね。


一人になった父さんはどうしてるかなとか。


こっちに来てから一度も連絡もしてない。


けど…あそこに戻りたい。


仕事もないのに僕が帰っても父さんは迷惑だろうけど…。


…父さんに会いたい…」





俯いたミズキさんの瞳からは、大粒の涙がぽろぽろと流れ落ち、それが床で弾けた。





「僕…もう行くね。


ユノ、今日は会ってくれてありがとう。


もう会うことはないと思うけど、元気で。


それと…」





ミズキさんは掌で涙を拭うと、まっすぐに俺の顔を見つめた。





「ジェジュンには迷惑かけちゃってごめんね。


ユノは本当にジェジュンのことが大切なんだと思う。


僕にはよくわかるよ。


ジェジュンがそばにいてあげてくれれば、ユノは幸せだって。


だから…愛してあげてね…これからもずっと…」





俺は胸が詰まって、ただ何度も頷くことしかできなかった。



抱きしめて大丈夫だよって言ってあげたかったけど、そんなこと言えるはずもなかった。









ミズキさんが去った後も、その悲しげな表情が目に焼き付いていた。





「ユノ…このままでいいのかな…」





「あいつのことはもう忘れろ。


してやれることは何もない」





「でも…」





「俺たちには俺たちの生活がある。


ミズキのことが済んだら言おうと思っていたんだが」





「何?」





「例のホテル、契約が終わったから。


まだリフォーム前だが行ってみる気はないか?


色々あったし、いい機会だと思うんだが」





俺はユノの提案に同意した。



気持ちを切り替えるためにも少し環境を変えるのはいいと思った。



それでも俺はミズキさんのことを忘れることはないだろう。



彼の幸せを願わずにはいられなかった。