頭痛が横に逸れそうな人生を守る役割、すなわちガードレールとして存在することを感じさせる患者さんを報告します。
患者さん③ 31歳 男性 KN
昨年12月に当クリニック初めてこられた方です。2年前の28歳の時から頭痛が始まりました。当初は県外に病院にかかっておられ、デパケンを処方されていました。MRI検査もされ、異常はないと言われています。当クリニックへ来院する3ヶ月くらい前から毎日の頭痛となっていますが、それまでは週に1回くらいの頭痛でした。
来院時は肩こりも強く、まぶしさで頭痛が誘発されるとのことで、目を開けていることができず、閉じておられました。受け答えは問題なく普通にされるのですが、目をつぶったままのやりとりでした。さらに様々な音が耳ざわりで耳鳴りも強い状態でした。さらに自分の話す言葉がツンとくる、ということ、車の音が嫌、寝ると胸が苦しくなるなどの症状がありました。このように音と光に極めて過敏な状態でした。
一般に片頭痛の人は、眩しさによって頭痛がくるということはよく見られますが、この方は診察室でも目をつぶり、わたしと目を合わすことはなく、少し雰囲気も異様な感じがしていました。
28歳まで頭痛がなかった方が、頭痛を訴えるようになり、目を開けておれないという症状をともなった頭痛を訴え、音にも過敏となり、それにはきっと何か頭痛を発症させる誘引、原因があるはず、とお話を聞かせていただくようにしました。
何かストレスとなるような出来事がありませんでしたか、頭痛はその出来事と深く関係することがあります、というと、頭痛が始まる前にかなりショックな出来事があったことをお話ししてくださいました。詳しくはおっしゃいませんでしたが、知人との争いで刃物で殺されそうになったこと、その方を許せないこと、今は思い出すと苦しいので、何事もなかったようにしていること、などを話してくれました。その後から頭痛が始まり、音光過敏となっています。
頭痛と事件のタイミングや、もともと頭痛はなかった方でもあり、おそらくこの出来事が誘引となって強い頭痛が生じたものと考えられました。そして頭痛は決してただ単に頭痛としてあるわけではないこと、そのような心の傷を負った出来事をそのまま放置してはいけないこと、この心の疼きが頭痛となって現れていること、などを話しました。
この人の頭痛は頭痛分類の第5層の頭痛と言え、頭痛が人生に呼びかけています。
今の状態を放置してはいけない、この状態を乗り越えろ、と頭痛が現れたのです。人とに関わり、今抱えている思い、これらを乗り越えて解消し、新たな人生を始めなさい、とのメッセージを携えて頭痛が現れたのです。もし頭痛がなければ、この状態を改善もせず、そのまな人生を送ろうとしたでしょう。
このように頭痛は、よりよい人生への導き手、ガードレールとしての役割を果たしているのです。