大野谷川戦

 

 大野源一九段の将棋を知っている人は、少なくなっていると思いますが、振飛車名人と言われた、大野先生の棋譜は真似が出来ず、今見てもとても魅力的です。

 今回大野先生と指したことがある、現役棋士をしらべたところ、谷川浩司17世名人だけでした。少し前なら桐山清澄先生もそうでした。

 大野VS谷川戦は1局だけあり、その将棋は亡くなる前2番目の将棋です。(絶局は本間爽悦八段戦の順位戦で勝っておられます)大野先生が当時新鋭四段だった谷川先生と激戦を演じました。今回はその将棋を紹介し、大野先生を偲びたいと思います。尚、コメントはCOM将棋の検討モードで付けたものです。 

 

1978年9月12日王座戦1次予選2回戦

先手谷川浩司四段後手大野源一贈九段

1978/09/12

棋戦:王座戦1次予選2回戦

 

先手:谷川浩司 四段

後手:大野源一 九段

▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二銀▲5六歩△5四歩▲5八金右

△4三銀▲6八玉△3五歩(第1図)

32飛と振ってもいないのに35歩と突っ張る。人真似を嫌う大野先生らしい手。

▲2五歩△3三角▲7八玉△3二飛(第2図)

得意の大野流3間飛車

飛車を振ったのでCOMの評価は谷川先生良しに。

▲1六歩△1四歩▲6八銀△6二玉▲5七銀右△4二角▲2六飛△3四飛▲6六歩    △6四歩▲6七銀△3三桂▲7七角△4五歩▲7五歩(第3図)

位取りは良くないらしく大野先生良しに。

△7二銀▲7六銀△7一玉▲6七金(第4図)

次の52金左では、直ぐに36歩、同歩、53角で有利。(次の82玉でも36歩が良かったらしい)

△5二金左▲6八金上 △8二玉▲6五歩△同歩▲同銀△2四歩(第5図)

機敏な仕掛けで大野先生有利に。

▲同歩△2五歩▲2八飛△2四飛▲6四歩(第6図)

悔しいが27歩の辛抱が勝った。ただ、本譜の26歩には17桂で指せると思っていたので64歩としたと思われる。

△2六歩 ▲1七桂△3六歩(第7図)

以下大野流の華麗な捌き。27歩成の前に36歩~15歩は上手い。

▲同歩△1五歩▲2五歩△3四飛▲3八飛△5三角▲2四歩△2七歩成▲3九飛(第8図)

次は22歩と、と金を作らせなければ優勢

△2八と▲2三歩成(第9図)

次は32歩と辛抱すれば互角だった。以下の手順で11角成の局面では飛と銀桂香の3枚替えで谷川先生優勢に。

△3九と▲3三と△3六飛▲4三と△同金▲1一角成△3八飛成▲7四歩△同歩    ▲8六桂△3三歩▲2一馬△4四角(第10図)

金取りを放置して44角は勝負手。43馬とすれば、74桂73玉82銀84玉86香以下詰めよだが、88飛69玉(79玉は68龍同金89飛成以下詰み)89飛成79歩49龍59香で詰めよが消えたので88角成で大野先生勝ち。

▲7四桂△9二玉 ▲5五歩(第11図)

55歩では先手を取る55銀が良かった。以下▲5五銀△同角▲同歩△7七歩▲同桂    △7三歩▲4三馬で優勢が保てた。

△5三金▲3一馬(第12図)

31馬では63香が良かった。以下▲6三香△同銀▲同歩成△同金▲6四銀打とすべき。

△5二金引

73銀と受けるべきだった。以下76香、35角と進む。

▲4一馬△7三歩▲5二馬△7四歩▲6三歩成△7五桂▲7二と△同 金▲6六銀打  △6七桂成▲同玉△7九飛▲7八銀△5八金▲8六香(第13図)

悪手。64桂で優勢だった。以下64桂、82金、72金、35角、82金、同玉、69金打と進む。64桂を逃し互角に。

△3五角▲7四銀△6八金▲5六玉(第14図)

悪手。指し難いが76玉とすべきだった。76玉、73金打、同銀成、78飛成、77金、73金、74金、77龍、同桂、82金、73金、同金、74金、82金と進み、76玉なら千日手とCOMは言っています。

△7三金打

好手で大野先生有利に

▲7五桂△7八飛成▲8三香成(第15図)

以下谷川先生の王手ラッシュが30手以上続くことになる。

△同金寄▲同桂成△同金▲同銀成△同玉▲7四金△同龍▲同馬△同玉▲6五銀△6三玉▲6四歩△5二玉▲2二飛△4二桂▲6三金△4三玉▲5四銀△同桂▲5三金打△同角▲同金△同玉▲5四歩△6四玉▲6二飛成△6三香▲6五歩(第16図)

ここ迄正確な応手を続けてきた大野先生でしたが、次に致命的な悪手を指してします。

△7五玉

大悪手。頓死。74玉なら詰まずに大野勝ち。ただ、COMによると74玉、75歩、84玉、82龍、83歩、61角、75玉、83龍、36龍、46桂、67銀、55玉、56金、44玉、26角、43玉、57金、86龍、65玉、53歩成、46歩、52玉、76銀成、83角成以下相入玉で大野先生の駒数勝ちとのこと。

▲6六銀△7六玉▲7七銀△7五玉▲7六歩まで137手で谷川先生の勝ち(投了図)

大野先生としては着地に失敗した残念譜ですが、力の入った熱戦でした。