前半は聴けず意気消沈しながら後半から参戦。


青ひげ公の城の主に嫁いできた、エリーナ・ガランチャ演じるユーディット。

7つある扉の鍵を、あなたを愛しているから鍵を全部ちょうだいと求める女、城の主として一つずつ小出しに見せていきながら、最後の扉を開けるとそれまでとは違う世界を得意げになって説明する男。その様に絶望する女。

ある意味しょうもないストーリーではあるが、人間の所有欲の奥深さとわがまま、狂気や嫉妬を描き出していて、音楽的には楽しんで聴ける曲ではないが、ヤニック・ネゼ=セガンはオケのパワフルな金管を生かしながら、スケールの大きな見事な演奏だった。セガンでは今まで聴いたフィラデルフィア管より、今回が一番良かったが、何よりガランチャの声が凄すぎた。

第5扉あたり、オケがオルガンと合わせて地鳴りのするような響きを出しているのに、オケの後方の席で反対側を向いて歌っているのに、ガランチャの絶叫声がオケを突き抜けて聴こえる。初めて聴いたが、声の強さ、輝かしさと伸びが別次元で、今までの歌手でダントツ、度肝を抜かれた。

少ないながらも演技があって、指揮台を挟んで反対側の青ひげ公とも視線や仕草を合わせていたのはオペラ的だった。

マニアックな曲で気が乗らなかったが、奇跡的なガランチャの絶唱を聴けて本当に良かった。またすぐにでも聴きたい。


ところで、「青ひげ」って何か意味があるの?何かの寓意?ご存知の方いたら教えてください。