2017年06月10日[土]15:15@TOHOシネマズ 新宿 Scr.10
『美女と野獣(IMAX3D 字幕版)』


今年は『ラ・ラ・ランド』『SING』『モアナと伝説の海』など
ミュージカル作品の鑑賞が多くなってきたので、
こちらはパスしようかなと思っていました。



実はストーリーも概要程度しか知らなかったので、
可愛らしい娘さんが野獣に変えられた王子様と恋に落ちて、
ラブラブするだけなんでしょ?というぐらいの認識でしたけど、

 ○アニメ版とそっくりらしい
 ○エマ・ワトソンが可愛いらしい
 ○最後の王子が残念らしいw

と、やけに好評なので気になって観に行っちゃいました。


ガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ原作の映画化ではなく、
1991年のアニメ映画の実写リメイクとしての位置付けで、
聡明で芯の強い心を持つベル(エマ・ワトソン)が
豪快かつ繊細な心を持つ野獣(ダン・スティーヴンス)と出会い、
不思議な人たちの協力と優しさで結ばれていく物語。


プロローグでは、傲慢な王子が主催する舞踏会に

突然押し掛けてきた物乞いの老婆(ハティ・モラハン)が
〝一輪のバラをあげるから助けて下さい”と申し出るも
王子に拒否されると魔女である正体を現し、王子のみならず、
家来たち全員にも呪いをかけるという逆ギレっぷり(笑)



たいていの場合はここから「長い時」が流れるものですが、
本筋は「数年」しか経過していません。
これが重要な伏線になっていて、[Belle/朝の風景]での
何気ない会話もラストになって活きてきます。

 ムシュー・ジャン「おはよう!ベル!」

 ベル「おはようございます、ムシュー・ジャン。
  まだ何か思い出せないことがあるの?」

 ムシュー・ジャン「そうなんだ、問題があったと思うのだが、
  何か思い出せないんだ。
  まあいいや、いつか思い出すだろう。」

 ⇒ヒント:ミスター・ポット

森の中で道に迷った挙句、野獣に捕らえられ監禁されてしまった
父親のモーリス(ケヴィン・クライン)に代わり、
野獣の住む城で囚われの身となるベル。



家具に変えられたルミエール(ユアン・マクレガー)や
ポット夫人(エマ・トンプソン)たちはベルのために、
魔法による豪華絢爛な晩餐会を開く。
この[Be Our Guest/ひとりぼっちの晩餐会]における
煌びやかで夢のようなシーンはまさにディズニーワールド♪



城を飛び出したところを狼に襲われたベルを野獣が助け、
狼に噛まれて負傷した野獣をベルが手当てすることで、
次第に打ち解け合うようになる2人。
プリンセス映画にありがちな〝一目で恋に落ちる”とか
〝王子様とお姫様”というような展開では無くて、
お互いを知るにつれて徐々に惹かれ合っていく、
そんな描写のあるストーリーです。

が。

恋が芽生え、育っていく場面がほとんど描かれていないため、
いつの間にそんなに仲良くなったの?という感も(汗)

 「どうして野獣は美女を愛したのか?」
 「美女は野獣のどこが好きになったのか?」

それはきっと観た人によって理解は異なるでしょうし、
解釈も各々に委ねられているのかもしれません。
多種多様性って言葉は便利(笑)



これまで〝変わり者”扱いされてきたベルにとっては、
父親以外の他者に初めて自分を理解され、
受け入れられていくような実感だったんでしょうね。



心を通わせた2人だったが、父親の身を案じるベルのため、
自分や家来たち、城の未来を諦めて、そして何より
本当に愛していたからベルを解放することにした野獣。

 〝どんなに離れていっても、どんなに長い夜が訪れても、
  城の扉を開いて永遠に(ベルを)待っている”

ベルが走り去るのを見届けながら歌う野獣の
[Evermore/ひそかな夢](新曲)には、
野獣の切なる想いや愛が込められていて、
本作の最高潮であり、ミュージカルの真骨頂と言えます。



一方のヴィルヌーブ村では、英雄たるべく
村民を先導していたガストン(ルーク・エヴァンス)が、
戦争という生きがいを失くした上に、
ベルへの実らぬ恋に対する憤りから扇動者へと身を堕とす。
人を傷つけ、貶め、騙し、挙句の果てに仲間さえも見捨てる・・・
冒頭でのファッキンプリンスにも劣らないクズっぷりです(笑)

 


イケメンだけど悪賢い男は自滅するという結末は、
全国の男子に勇気を与えてくれることでしょう。←

で。

最終局面にどこからともなく再び魔女がしれっと降臨してきて、
とんでもないことをやってのけるわけですが、
いくら魔法やファンタジーの世界だからといって、
根底を覆すようなことはしちゃダメでしょ(苦笑)

そもそも魔女は何の目的でやってきたのかは明かされません。
傲慢な王子の性格を正したかったのかもしれないですし、
良い婚約者と結ばれて幸せになってほしかったのかもしれない。
そう考えると、王子が幼い頃に亡くなった母親(の代理)の
ような存在にあたる気もしますね。

ま。

やっぱり野獣が王子に戻る時のガッカリ感は最高(笑)



けっこうなネタバレになっちゃうのですが、
このシーンでは、〝僕だよ、ベル”〝あなたなのね!”という
本作を代表すると言ってもいい名台詞がありません。
それは事前のシーンで、ポット夫人により
野獣の素性がベルに明かされているからです。
このため、「野獣」と「王子」の眼が同じという伏線も薄く、
見た目ではなく中身こそ本質だということをベル自身が気づき、
人間と知らずにそれでも野獣を愛することが
できなくなっています。

敢えて台詞を入れるなら〝よかった、生き返った!戻った!”
といった安直なものになっていたと思います。。。


いかにも醜い野獣の姿をした王子が人間的で、
人間の格好をしたガストンの中身は野獣そのものという対比は、
まさに〝愛を知らない人間は野獣”という揶揄に感じられます。
それは単に「恋愛」だけでなく、「家族」という要素も大きく、
特にベル親子の絆には胸を熱くさせられました。



たまたまIMAX3Dで観たわけですけど、これが大正解でした。

 ○ベルのドレスに刺繍されていく金のインテリア
 ○野獣が投げ返してくる雪球(思わず避けちゃうw)
 ○エピローグでのキャラクター紹介

最初から3D上映を前提に作られているとのことですが、
中でもこれらの場面はめっちゃ3D映えして見応え十分。


何だかんだいろいろあっても結局のところは、
“エマ・ワトソン可愛い☆ミ”で落ち着く作品です(笑)



最後にエンドロールでも流れる字幕の歌詞に感動したので、
原曲からの和訳にはなりますが、載せておきますね。

[Evermore/ひそかな夢]

 私にはすべてがあった
 私は自分の運命を支配していた
 この世に必要な人などいなかった
 真実を知るには遅すぎた
 苦しみを振り払うことは 決してできないだろう

 目をつぶっても 彼女がまだそこにいる
 彼女は耐え忍ぶことのできなかった
 憂鬱な心にそっと入っていった
 今はもう彼女は私から
 離れることのないことを知っている
 たとえ彼女が去ったとしても

 彼女は私を苦しめ 私に安らぎを与え 私を傷つけ
 私の心を揺れ動かし続けるだろう
 どんなことがあろうとも

 孤独なお城で時をつぶす 門を開けたまま
 彼女が門をくぐり 
 私と永遠にいると思い 過ごすだろう

 愛の試練に怒り狂い 消えてゆく光を呪う
 彼女はもう手の届かない はるか遠くへ行ったが
 目の前から消えることは決してない

 もう私から去ることはないと知っている
 たとえ視界から消えたとしても
 彼女は私に命を与え続け
 私のすべてになるだろう

 孤独なお城で時をつぶす 門を開けながら
 彼女が門をくぐり
 私と永遠にいると思い 過ごすだろう

 長く果てしない夜がはじまったとしても
 私の考えることは
 彼女を永遠にここで待つことだけだ