2017年04月17日[月]16:10@新宿バルト9 スクリーン4
『暗黒女子』


秋吉理香子さんの同名ミステリー小説の実写化作品です。


引退報道でワイドショーを賑わせた清水富美加さんと
『きょうのキラ君』で好演の飯豊まりえさんによる
ダブル主演ということで、完全にキャスト先行での鑑賞。(^^;


前売り券は他に『ゴースト・イン・ザ・シェル』と『SING』を
お買い上げしていたんですが、バルト9の上映案内板には、
その3作品が奇しくも横並びになっています。さすが(笑)


平日夕方とはいえ、客席は4割ぐらい埋まっています。


ミッション系の女子高である聖母女子高等学院を舞台に、
同校の女子生徒で生徒たちの憧れの存在であった
白石いつみ(飯豊まりえ)の不可解な死を巡って、
疑いの目を向けられた文学サークルのメンバーらは、
澄川小百合(清水富美加)の開催する一学期最後の定例会で、
各々犯人と思う人物を自小説の朗読で告発する物語です。


その定例会の冒頭では「闇鍋」が催されます。
やけに食事の擬音が強調され、クチャクチャ、グチョグチョと
とてもお嬢様たちとは思えない食べっぷりなんですが、
これがラストの伏線となっていたりします
(こういうパターンが最近ほんと多いですね)。



食事を終えた後は、一人ずつ作品を朗読していきます。
おおよその内容は共通していて、

 ・いつみとの出会い
 ・いつみの悩みや異変
 ・いつみを死に追いやった犯人

私小説風な物語が順番に展開されていきます。


犯人への手がかりを示しているかのように
いつみの右手には一束の「スズラン」が握られています。


■二谷美礼(平祐奈)

 特待生とはいえ、家が貧乏で、学園では浮いている自分を
 気にかけてくれるいつみを慕うようになり、
 いつみの妹の家庭教師を任されている。
 友情の証として「スズランのバレッタ」を受け取る。
 いつみが自分の父と妙に親密な志夜の存在に
 悩まされている事を知らされる。

■小南あかね(小島梨里杏)

 老舗料亭の娘で、得意なスイーツ作りを買われて
 サークルに入り、いつも文芸作品にちなんだスイーツを振舞う。
 料亭が大火災に見舞われた際、
 左腕に「スズランの形をした火傷」を負う。
 いつみから妹の家庭教師のバイトを紹介した美礼が
 盗みをしているという悩みを聞かされていて、
 祖母の形見である「スズランのバレッタ」だけは
 返してもらうよう直接会って話をする決意を打ち明けられる。

■ディアナ・デチェヴァ(玉城ティナ)

 いつみがブルガリア短期留学(ホームステイ)先で
 仲良くなったブルガリア人留学生で、いつみに好意を抱く。
 校庭の花壇で「スズランの花」を育てている。
 自身の卒業後は文学サークルの建物を孤児院にしようとする
 いつみに対してあかねが反発していたため、
 いつみが日々衰弱していく原因は、
 あかねがスイーツに仕込んだ毒のせいだと疑う。

■高岡志夜(清野菜名)

 プロ作家として輝く才能からサークルに誘われ、
 次作に向けてのサポートをいつみから手厚く受けている。
 処女作「君影草(スズランの別名)」で新人賞を受賞している。
 伝記に記された女吸血鬼と容姿が似ている留学生のディアナが
 人形への呪いでいつみを苦しめている現場と、
 いつみの首筋に残された2つの血痕を目撃する。


R15指定らしく、いつみとの百合展開が挿入されていて、
一見すると誰もが親密そうに見えます。


しかし、各人が朗読する小説の中身は、
自身の都合のいいように解釈されているため、
それぞれの内容に矛盾が生じています。

この矛盾を全て回収するかのごとく、
いつみが生前に書き残した小説を朗読する小百合。

4人の後輩たちにとって太陽のような存在で、
まさに清楚、可憐、高貴の象徴だったいつみの素顔が暴かれ、
支配欲と逆恨みにまみれた女の権化と化していきます。
ここでの飯豊さんの演技の振れ幅というか、
堕天の暗黒っぷりが凄まじいの一言です。(*゚ρ゚) ボー


それを淡々と語る清水さんの起伏が無く無感情な演技が
対比的かつ互いに引き立て合っているかのようです。

そして。

ラストへ近づくにつれ、驚愕の真相に次ぐ真相が、
次々と明らかになっていきます。

お洒落で穏やかだった文学サークルの部室では、
人に明かせない罪を背負った部員たちが蠢く人間模様が描かれ、
清く、正しく、美しく、なんてものとは遠くかけ離れた、
主従、妬み、愛憎、裏切り、落胆、そして謀略と復讐が入り乱れる
知ってはいけない女子たちだけの残酷な世界なのでした。


しかも一番の被害者は、愛する人も、愛する人との子も、
職すらも奪われた北条先生(千葉雄大)ですからね。(^▽^;)


うぶな男子学生が観ようものなら、
トラウマレベルで女性不信に陥りそうな作品です。


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