こんばんは(・∀・)vとんです。

 

5~6夜連続物語なる可能性ありです。

1夜目は【夏休み8日目】

2夜目は【夏休み9日目】

3夜目は【夏休み10日目】

4夜目は【夏休み11日目】

5夜目は【夏休み12日目】

6夜目は【夏休み13日目】

7夜目は【夏休み14日目】

 

を読んでください。

 

萌え度★★★☆☆

中学の時、初めて彼女が出来てからなんとなく「彼女」って存在が途切れることはなかった。

そして、大学に入ってから俺はサークルにバイトに講義に忙しない日々を過ごし、気づけば季節はもう秋になっていた。

 

初めてバイト代を貰って、薫に連絡したのはちょうどGWに入る前。

【私との飲み代に使うくらいならお母さんになにかしてあげて。

ってこんなこと言ったら本当に近所のおばさんだねーwでも気持ちだけで充分。本当にありがとう】

 

そうやんわりと断られ、なんだかショックだった。

そのショックを消すようにバイトに精を出してたらバイト仲間の専門学校の子と付き合うようになり夏祭りや旅行や飲み会、サークルにバイトで瞬く間に夏は終わり季節は秋を迎えようとしていた。

 

少しだけ肌寒い夜に俺は彼女に呼び出されて公園で別れ話を切り出された。

 

「別れよう」

「私ばっかりが一生懸命でもう疲れた」

「私のこと、本当に好きだった?」

「一緒にいても、なんか距離を感じるの」

「何考えてるのかよく分かんない」

 

告白はいつも彼女からなのに、振られる時は大体いつも同じ決まり文句だった。

 

「お前、また別れたの?」

大学のカフェテリアの丸いテーブルに俺と友人二人、自動販売機のコーラ片手にタブレットで勉強中の友人が呆れ顔で言う。

「なんか知らんけど振られた」

「まー、どーせ?お前のことだから次の子がいるんだろーいいよなーイケメンは滅びろ」

「だよなーなんでこいつばっかり。サークルのめぐみともいい感じだし」

「いや別に。遊びに誘われただけだし」

そう言いながらも、頭の中は別れ話を切り出された夜のことを思い浮かべていた。

 

公園で泣いていた薫を年齢を越して、俺はもうすぐで19歳になろうとしてるのに・・・

別れ話が終わったあともなんだか冷静で「あぁ、またか」と思いながら

彼女を一応、駅まで送り届け自分の家に帰った。

 

寂しいとか辛いとかそんな感情もあったけど

「いい子だったよな・・・」

と、少しだけ感傷に浸ったら次第に平常心に戻り泣くことさえなかった。

 

あんなに大泣きしてそして成人式まで好きでいるって凄いことなんだな。

 

それからなんとなく【彼女】って存在が重荷になって適当に遊ぶことを覚えた。

曖昧な関係をちょっとだけ楽しむ。

バイト先や大学は避けて合コンや適当な飲み会で知り合って仲良くなった子と気が合えば一晩過ごしたし、あっちから雰囲気で誘われたらのったし、気軽な関係がちょうど良かった。

 

そして

「私たちってどんな関係なのかな?」

と聞かれたら徐々にフェイドアウトしていった。

 

けどそんな関係も虚しくなって、なんとなく遊び関係の女友達とも縁を切ってしばらくした頃、薫に連絡してみようと思ったけど、どう連絡をしていいのか分からなかった。

 

考えてみれば友達でも家族でもない、不思議な関係だ。

お隣のお姉さん、にどんな理由をつけて連絡したらいいのだろう。

 

スマホを睨めっこしながら文章を途中まで打っては消し、打っては消し、を繰り返していたら誤ってそのまま発信ボタンに触れてしまった。

 

コール音が流れるとなんだか緊張してきた。

「もしもし、お疲れ様~どうしたの?」

いつもと変わらない感じで薫が出たことにホッとした。

「いえ、すみません、あの間違って発信しちゃって」

「そうなんだ」

ふふと柔らかく笑い声が聞こえる。

今、薫がどんな顔して電話してるのか想像がつくのが嬉しかった。

「元気してた?上京してから全然会ってないけど」

「そうですよ。薫さん今度飲みに行きませんか?久しぶりに。今度こそご馳走させて下さい」

 

そう誘ったのが先週末。

土曜の夜、俺が予約した店に薫と待ち合わせしてご飯を食べた。

「薫さんって結構、飲めるんでね」

先程からハイペースに飲んでいる薫に目をやれば、肩までつく髪から鎖骨が見えそこまで赤く染まっていてドキッとした。

白のニットのノースリーブに鮮やかな赤のカーディガンを袖を通さずに羽織り、スキニーパンツを履いてるから体の細さが際立っていた。

 

「飲みたい夜もあるんだよー大人には」

そう言いながらクイッとハイボールを空にしてトロンとした目で俺を見つめてくる。

「あんなに小さかったのにねー・・・」

感慨深そうに俺を眺める薫の頭の中では俺はまだまだガキの姿なのだろうか?

「俺もう19だし・・・あと少ししたらお酒だって飲めるんですよ」

「そっかそっか」

そう言ってクシャっと俺の髪を撫でる。

「ちょっと!薫さん酔ってますね」

 

今まではなんとなく(大人)と(子供)という接し方をされてきたのに、今日の薫は少し様子が違う。

上京したての時だってお酒は入っていたがこんな飲み方はしてなかったような気がする。

 

「なにかあったんですか?」

心配そうに顔を覗き込むと、そらされた。

「言ったじゃないですか。俺がいつでも話聞くって・・・薫さんは覚えてないかもしれませんけど」

恥ずかしさのあまり少し拗ねたような口調になる俺を気にもとめず

薫はハイボールのおかわりを持ってきた店員にお礼を言いながら受け取り、一口飲んだあと氷を溶かすようにコップを回し始めた。

 

 

「覚えてるよ。私が新卒で帰ってきた夏だったよね。あの時も弱音吐いてたねー私」

少し自虐的に笑いながら、ハイボールを見つめてそう言う薫はどこか儚げで心細そうだった。

「・・・薫さん?」

「色々あるんだよ!大人にはさ!」

一瞬だけ、悲しみに憂いた目をしたかと思えば俺の背中をバンバンと叩き強がる。

 

お店を出るころには薫は相当酔ってて、途中の公園で休憩した。

ベンチにぐたりと座る薫に自販機で買った冷たいミネラルウォーターを渡すとそれをごくごく飲んでハンカチに目を当てて上を向く。

「面目ない・・・」

ポツリと呟いた薫の横に座るとお酒の匂いがした。

「いいですよ。飲みたい夜もあるんでしょ、大人には」

「・・・うん」

今度は子供みたいに大きく頷くそんな様子が可笑しい。

「泣けばいいじゃないですか。あの時みたいに。辛いことがあれば泣いたっていいんですよ」

子供をあやす様な優しい口調でそう言って、俺は手が震えるのを必死に隠しながら12歳のあの夏以来、薫の頭に触れてポンポンと優しく撫でた。

 

こんなに頭小さかったか?

小6の頃は俺の手の方が小さかったのに、今では俺の手にすっぽり頭が納まるじゃないかってほど薫の頭は小さかった。

 

そして頭を撫でた拍子に薫はポタっポタっと涙を流し始めた。

その顔をみて俺は反射的に、薫の頭を自分の肩口に持っていきそのまま抱きしめた。

 

心拍数が早いし、緊張してる。

酔った帰りに公園のベンチで抱きしめられたり抱きしめたりそんなことは今更、緊張するシチュエーションでもないのに。

 

「どうしたんですか?」

急に泣き始めた薫に驚きながそう声をかける。

震える背中をあやす様にポンポンと撫でると抑えていた涙腺が崩壊したのか声を上げて泣いた。

俺の肩に目をギュッと当てて「ヒック」と上ずった声で泣く薫。

 

細い肩。腕。小さな頭に華奢な背中が、なんだかとても頼りなくて、俺は守るようにずっと抱きしめていた。