ユノは星を掴むかのように、
空に手を伸ばした。
「温泉やお料理も良かったけど、ここを選んだ理由は、この星をユノに見せたかったんだ。」
研修の時に、こっそりキュヒョンと侵入した屋上。
そこで見た星に、感動したんだ。
「いつか恋人ができたら、
ここに連れてきて見せてあげたい…」
キュヒョンは覚えているかわからないけれど、そんな話をしたんだ。
「今日がいい天気で良かった…」
そう言うと、
「こんなに近くて、たくさんの星…見たことないよ」
「でしょう?」
「…」
ユノはずっと夜空を見上げている。
僕はユノの手を引いて、
コンクリートの段差に座らせた。
「ヤバい…マジでヤバい…」
「ふふふ…」
ユノがあまりにも感動しているから、可笑しくて笑った。
「凄いなあ…チャンミン」
「キレイだね」
「ああ、とっても…」
ユノはそう言って黙った。
しばらくずっと黙ったまま、
夜空を見上げていた。
「なあ、チャンミン」
「んー?」
「毎年、ここに来ることができる?」
「うん、早めに予約をすれば希望する日に来れると思うよ」
「毎年、チャンミンとこの星を見たいなあ…」
「えっ?!」
「チャンミンと。
毎年一緒に。」
「ユノ…」
ユノの温かい手が、僕の手に重なり、
包まれる。
「約束して。毎年一緒にこの星を見るって」
「うん…」
「毎年この日に予約を取ろう」
「うん…」
「約束だぞ。忘れないで」
「ユ、ユノこそっ…一緒に来る事を、忘れないで」
胸がいっぱいで、鼻先がツンとする。
「忘れない…約束だ」
ユノがその鼻先を摘むと、
涙が溢れて出てきた。
そっと触れた唇が、
少し震えていた気がした。