「ここです…どうぞ…」
僕はユンホさんを部屋に案内した。
「へぇ…凄いね」
「えっ?何がですか?」
「キレイにしてるんだね。俺の部屋とは大違い…」
「…そうですか…ね」
昨日の夜、ちゃんと片付けたし、ユンホさんを迎えに行く前に、換気もしたし…。
「じゃあ…始めようか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
「チャンミン君、そんな畏まらなくたっていいよ!チャンミンって呼んでもいい?」
わあ…呼び捨てなんてあまりされたことないかも…
「は、はい。」
「じゃあ俺のことも…ユンホさんはやめよう…」
「えっ?」
「友達からはユノって呼ばれてるんだ。
だからユノでいいよ」
「む、無理です!だめです!」
「そう?俺は別に構わないけど?」
「3つも年上だし…先生だし…」
「先生って…大袈裟だよ。
まあ、じゃあ…ユノヒョン…ユノヒョンでどう?」
「…ユノヒョン?」
「おお、いいね!俺、ユノヒョンなんてあまり呼ばれないから、嬉しいよ!」
「いいんですか…?」
「うん、それがいい‼」
ユンホさんからユノヒョンに
呼び方が変わった。
「で?チャンミン、この前の模試の数学のテスト見せて?」
「えっ?」
「どんなところがダメなのか見たいから…」
「はい…」
とても人に見せられるような点数じゃないから、恥ずかしいんだけど…。
「あちゃ~‼やっちゃったね…」
「はい…」
「間違っている所…やり直してみた?」
「はい、解答を見たら、こうやって解くってわかって…」
「そっか…」
「紙ある?」
「はい、これ…」
ユノヒョンは、紙に間違えた問題を書き出した。
それを僕に渡す。
「もう一度やってみて?」
「はい…」
計算式が5題…
10分はたったかな。
「できました…」
「どれどれ…」
ユノヒョンは解答を見ずに、僕のやった問題の答え合わせをしている。
「チャンミン、全問不正解‼」
「えっ?」
「見てごらん…間違えた所、全部一緒のところで間違ってる…」
「…本当だ」
「覚えたつもりが、覚えてない…んだってこと!」
「…はい」
「そんな顔するな!まだ時間はある!」
ユノヒョンは僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「一緒に頑張ろうな‼できるだけ、勉強見るからさ‼」
「…はい」
ユノヒョンが勉強を見てくれるんだったら…できるかもしれない!
そんな気がしてきた。
それから、ユノヒョンは一問一問教えてくれた。
教え方…凄くわかりやすい!
通信の先生の言ってること…実はあまりよく理解できないんだ。
「できるじゃん!チャンミン‼」
ユノヒョンは僕の頭をポンポンと叩きながら、笑顔で僕を覗きこむ。
「ユノヒョンの…教え方がわかりやすいから…」
「違うよ、チャンミン。教え方の問題じゃなくてね、勉強の仕方や姿勢1つで理解度も変わるんだよ…」
そうユノヒョンは言った。
一時間半くらいがあっという間に過ぎてしまった。
びっくりするくらい早かった。
「お兄ちゃん、ユンホさん、ご飯できたけど…」
遠慮がちにサニーが入ってきた。
「じゃあチャンミン…休憩しようか…」
「はい…ユノヒョン、夕飯食べた後も…まだ時間大丈夫ですか?」
「時間?うん、大丈夫だよ」
「あの…今の続き…」
「うん、やろう!だいぶ理解できてるみたいだから、忘れないうちに繰り返しやった方がいいね!」
「はいっ‼」
僕はユノヒョンとダイニングに向かった。