180度 | 蛾衣の京劇衣箱

180度

今年2月に知り合いが舞台で覇王を演じた。京劇を習いその集大成として発表会に出演2幕に渡り違う演技者と覇王別姫を演じた。普通であれば2幕も大変だったね。で終わる話だが覇王になったのは女性である。

それも柳の様に細く身長こそ165センチぐらいだが手足の小さい大人の女性である。


実際の彼女は良く気が付き他人の世話を買って出るような姉御肌で覇王とは似ても似つかない美人である。また、劇照の大家でもありお店の衣装を全部制覇するようなエネルギーの持ち主でもある。


そんな彼女の舞台を観た時私は感動を覚えた。自分でも普段とは違う女形で劇照をやるから別の性を演じることの大変さがわかるのである。

しかも只の男役では無い。国を統一せんと戦う項羽の覇王役なのだ。胸を張り肩を怒らせ威厳に満ちた姿や苦悩する背中、敵に囲まれ絶望的状況に追い込まれる悲運の将を普通の女性が演じることは並大抵の努力では無いと思う。虞姫を演じる女性、項羽を演じる男性は居るだろうが項羽を演じた女性は彼女だけだと思う。


友人から北京で京劇(女形)を学ぶ若者の話を聞いた。京劇を学ぶだけでも大変なのに更に180度違う男旦を学んでいると言う。本場中国でも消え行く男旦を日本の若者が受け継ごうと頑張ってることに感動を覚える。そんな彼女、彼って格好良いと思いませんか?オイラも頑張るべえ!