衣装の好み | 蛾衣の京劇衣箱

衣装の好み

最初の頃はどの衣装を作るか?軍師チャンさんと随分検討しました。
何せこっちはズブの素人、軍師は筋金入りの京劇通で役者さんでもありますからその知識たるや尊敬に値します。
そんな月とスッポンの二人の検討ですから話は見事にすれ違う(笑)
まあ、最終的には私が決めるのですが毎度軍師にはご迷惑をお掛けしました。

どうしてもビジュアルから入った為、固定概念が強く好き嫌いがはっきり出てしまったんですね。衣装の素晴らしさを知っているチャンさんに的外れの質問ばかりしてましたしねえ。

今回の紹介は京劇の「貴妃酔酒」で楊貴妃が着る宮装と言う衣装ですが「この衣装は綺麗ですよ」とチャンさんが薦めてくれたにもかかわらず映画「覇王別姫」でレスリーチャンがクルクル回るシーンを見て「短冊が一杯付いた変な衣装だな?」との第一印象が強かったので当初は断りました。

後に北京で劇照した時、着れるサイズが無く仕方なくこの衣装を着て劇照したんですが自分の印象が間違いだったことに気が付いたのでその後オーダーして作って貰った物です。

「これって最初に嫌いだと言ってた衣装ですよね?」「え?そ、そうでしたか?あははは」軍師の指摘に笑って誤魔化す蛾衣でした。まあ、実際に着て見て初めて良さが判ることもあるんです。(汗)

チャンさんに言わせると私は不祝儀な芝居の衣装ばかり選ぶそうな。(苦笑)
覇王別姫も悲劇だし白蛇伝も喜劇とは言いがたいしねえ、、ひねくれ者だからハッピーエンドが似合わないと思ってるんで無意識にそんな衣装ばかりを選ぶのでしょうね。「悲劇の主人公は美しい!」と思いますけど皆さんはどうでしょう?