普段あまり本を読まない私ですが、年末から年始にかけ、畠山理仁さんの「黙殺」を読みました。
私は千葉県民なのですが、都知事選挙はいつも注目して見ています。と言いますのは、日本の選挙の縮図のように思えるからです。全国的に行われる国会議員選挙は広過ぎるし、地元の知事や市長選は客観的に見ることができないし、候補者が少ない。一方で東京都知事選挙は私にとっては客観視できるし、1300万人の首長を決めるということになると国家レベルに近い選挙なのです。
畠山さんは、随分前から日本各地で行われる選挙の中でも「泡沫候補」などと揶揄される候補者を中心に取材を続けられていて、私もかなり注目していた2016年の都知事選挙中も、畠山さんの名前はしょっちゅう見聞きしていました。しかもこの度開高健ノンフィクション賞を受賞されたということで、本作品を手に取りました。
そこそこ知っている情報であるとは言え、私の場合はネットでの情報収集が中心。実際に取材されている方の言葉はやっぱり全然違うなあと感服いたしました。畠山さんの場合、言うまでもありませんが茶化すために取材しているわけではないので、各候補の選挙運動のくだりは、なかなか読み応えがあります。
本書、大きくは前半が著者が長年取材を続けているマック赤坂さん、後半は2016年都知事選での各候補の選挙活動について書かれています。
マック赤坂さんに代表される、畠山さんが「無頼系独立候補」と呼ぶ方達がただ単に道楽で立候補しているのではなく、むしろ政党に寄りかかりながら立候補している方達よりずっと日本を良くしたい!と真面目に考えていることを改めて思い知らされました。この選挙の政見放送でテレビでは言えない単語を何度か言い、その部分が消されて放送された後藤輝樹さんですら(と書いてしまうことすら失礼なんですが)、今の閉塞感をどうしたら変えられるのか本当に真剣に考えていました。
私は東京都民ではないので選挙権がないわけですが、これだけ選択肢のある選挙は羨ましいと思っていました。マスコミがなかなかこの辺を伝えないことにヤキモキ・イライラしていました。千葉県でもこれくらい活発な政治論議ができる環境ならいいのになと思います。
最後に。本書にも記されていました、2016年の都知事選で候補者全員のポスターが貼られた新橋駅そば(駅から見てSL広場の裏)の写真、私も撮影しているので、せっかくなので載せておきます。これって都民じゃない人だけでなく、都民にとっても貴重な写真なんですよ。(それすら知らない都民もいることが悲しいくらいです)
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黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い
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