食にこだわりを持つ

「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」。

総料理長に就任したのは、

若き旗手・松勢良夫シェフ。

フランスの3つ星レストラン3軒で約10年間、経験を積み、

2016年より、

「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」の
「京 翠嵐」レストランシェフに就任。

その後、総料理長となり、チームをけん引してきました。

 

 

 奈良の食材にこだわったディナー

 

メインは、柿の葉で香りを付けた大和牛のロースト

古代米のおこわと醤を使ったソース。

 

 

今回、いただいたのは「時河TOKIKA」コース。
香・園・羹・創・土・水・氷・醤・果・豆の10皿で構成されています。
地元の生産者との深い関係を作り上げたシェフが、

奈良ならではの食材をチョイス、
奈良の歴史をも踏まえた

一皿ひと皿に仕上げています。


 

アミューズブーシェ「香」は、

お猪口に注いだ月ヶ瀬茶のブイヨンとお米のクロケット。
口の中で奈良の茶粥となる……!
チーズの粕漬けと柿の白和えが、季節感を添えます。

 

温かい前菜「園」は、

地卵と出汁のムース 旬菜のジャルジニエール風。
(サラダを撮り忘れました…汗)
地卵の濃厚さが印象に残ります。

 

続くのは「羹」のお椀。

菊花仕立て 揚げ小かぶと水菜と焼き松茸。



立ち昇る松茸の香り……!
菊の彩りもきれい。


続く「創」は

「待ちわびた鯛」という鯛のおつくり。
もろみ酢と造り醤油でいただきます。

万葉集巻十六にある

「醤酢(ひしほす)に、蒜(ひる)搗(つ)きかてて、鯛願ふ、

我れにな見えそ、水葱(なぎ)の羹(あつもの)」

から想を得た一皿だそう。

醤(ひしほ)と酢を混ぜたものに、

潰した蒜(今でいうニンニクですかね)をかけて

鯛を食べたい、

水葱(調べるとミズアオイとのこと、

水田にはえる草とありますが、どのような野菜?)の

羹ではなくて、、、という意、らしいです。

 

 フレンチと奈良の食材の素敵なマリアージュ

 

その後、「土」が運ばれてきます。

「奈良の郷土料理 飛鳥鍋フレンチスタイル」と題された一皿は
伝統的なフレンチスタイルのパイ包みのスープ。

 

飛鳥鍋とは野菜を牛乳と出汁で煮込んだものですが、
こちらはトリュフが効いており、完全なフレンチのお味。

 

続けての「水」は

「無花果と胡瓜の田楽 鮎のデクリネゾン」。
ほんのりとした甘みとセロリのような香りが特徴の薬草、
大和当帰の葉のバターが効いています。
名残の鮎の味わい方にテクニックが感じられます。

 

無花果の甘みが口内で鮎の味を膨らませてくれる。

 

 

「氷」は文字通りのグラ二テ。

地元の日本酒「長屋王」のグラ二テに

飛鳥時代のチーズ・蘇が入っています。

 

そしてメイン「醤」は塩釜で焼いた

大和牛のロースト。
古代米のおこわとお野菜が蒸し器で添えられます。

 

柿の葉の香りがしっかりと感じられるロースト。

奈良とのつながりを強く感じる。

 

〆は「果」のにゅう麺、

「大和橘と吉野葛を使ったにゅう麺 酒粕仕立て」。

グラ二テで用いた日本酒「長屋王」に白味噌がはいったスープは

寒い季節にぴったり。
大和橘は胡椒のことで、独特の香りが味に深みを出します。

はふはふのにゅう麺! 大和橘で味変でき楽しい一皿

 

デザート「豆」は、葛餅ときなこのアイスクリーム。

柑橘のゼリーが添えられて、

さっぱりとした口当たりが上品です。

全10品、完食!
松勢総料理長の奈良への熱い想いが

そこここに詰まったコース。

ここでしか味わえない!

これからもどんどんレベルアップていくであろう

メニューが期待されます。

それにしても、食事は楽しいお相手といただくのが一番。
今回も素敵な一夜となりました。