そういうわけで、夜の営業終了前に(19:00)電話が鳴り、主任が応対に出た。

 

  どうも1区の(仮の設定ですが、店の周りの区域です)飯場にお住いのお客さんが、驚くことに、道路を挟んだ別の近くの飯場に移るので、電話して来たものだ。

 

  最近は新聞は入ってないが、「アオゾラ」という名のドカタの会社の飯場だと思ったが、私は黙っていた。

 

 まあ私の担当でもないし、よけいなことはやらない方がいい。

 

 

 店の周りの1区といっても、外れはもう隣町の新聞店との区域境で、その区域境を流れる川のそばにそのアオゾラという飯場はある。

 

 ちょっと前にそのアオゾラに新聞が入った時は、事務所の方が新聞を取っていたので、事務所の前のポストに配達すればよかったが、飯場で働いている人となると、事務所の上の2階の寮の入り口の下駄箱に配達しなければいけない。

 

 その2階に配達したとなると、もうだいぶ前というか、10年以上前の話ではないかと思う。

 

 下駄箱に新聞を入れるには、靴を脱がなくてはいけないが、その当時の配達の者が靴を脱がずに上がり込んだところを、たまたま寮の方に見つかって、こっぴどく怒られたらしいのだが、最近になって入った主任さんやコンドーさんは知る由もない。

 

 

 私の場合は、代配か集金なのだが、実は、このアオゾラに関しては、あまりいい印象がない。

 

 というのも、最初は、集金に行くとお金を気持ちよく払ってくれるのだが、そのうちに金を払うのを渋るようになるのだ。

 

 最初は、理由はわからなかったのだが、そのうちにわかって来たことは、どうも自分で契約して新聞を購読している分に関しては、お金を払ってくれるのだが、紹介カードとなると、最初の1~2回は払うが、そのうちにお金を払わなくなるということですね。

 

 紹介カードとなるとなぜそのうちに金を払うのを渋るようになるかというと、理由は簡単ですね。

 

 ごく親しい家族、親戚、知人に頼まれたのでは、渋々でも新聞を取ってお金を払うだろうが、ちょっとした付き合いの方に、新聞代金は音で届けるからと新聞を取ってくれと頼まれただけでは、実際に、新聞代金が届くまでは、集金に行っても、払うのを渋っても当然といったところですね。

 

 

実際に、そのアオゾラの飯場のすぐ近くに鳶の親方の自宅があり庭は資材置き場のようになっているが、そのお宅に新聞が入った時も、最初は払ってくれていたのだが、そのうちに払うのを渋るようになり、ある時、息子が堂々と言うには

 

 新聞代を早く持ってくるように、向こうの新聞店に連絡してくれ!と言うのだ。

 

 

 困るなあ・・・ほんとのことを言っちゃあと思う。

 

 困るなあ・・・町外れの川沿いのドカタの自宅で、体のいかつい息子が脅すようにお金を早く持ってくるように連絡してくれ!と凄まれては・・・女性の集金パートさんも行くのを嫌がるはずですね。

 

 

 

 まあそういうわけで、1区でも、外れの、店の境になるこの辺りには、あまりいい印象はないですね。

 

 

 

 ドカタの飯場に新聞が入るのはいいが、問題は、お金を払ってくれるかどうかですね。

 

 まあ今回電話のあった飯場にお住いのお客さんは、自分で新聞を取っているらしいので、少しは安心ですね。