防人2代目気球「あっちむいてホイ」の時にキーグラブレースの「キー」を取る事ができました。

当時世界で初めての快挙だったらしく、海外でも評判になった出来事だったそうです。
その時のことを倉重さんが「ほっとえあばるん」に書いてありました。

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『日本で初めてキーを取った!!』

福岡バルーンクラブ防人
 倉重安見

キーレースで私が乗った気球は、「あっちむいてホイ」(JA-A-0181)パラシュートリップでBC防人所有の気球である。

このキーレースで私は、キーが設定してあるターゲットより北東2.7キロの刈田を離陸地に選んだ。

TDKバルーンチームの隣に気球をセッティングし、TDKバルーンチームが離陸した後、8時8分「あっちむいてホイ」は、BC防人コ・パイ、武末宏子さんのインフレにて離陸。
北北東の風に乗って約10分飛行後、気球の進行方向とターゲットの角度が違うため、650mまで高度を上げる。

捜していた南東の風に乗ることができた。

上下前方にいる気球の進行方向を確認しながら、高度650mにてレベルフライト。
約5分後、長崎本線を超えた所で高度を下げ北北東の風に乗り、気球の進行方向とターゲットが直線でむすべるようになった。

このとき、初めて私は「キーがねらえる」と思った。

キーの付いているポールが私の目に入った。

土手を超えてすぐにダンプをおもいっきり引いた。

まだ気球は上昇している。

ダンプラインをはなしてから、気球は下降しはじめた。気球の閉口部を見ると、球皮がバタバタを波をうっている。

またバーナーを焚きつづける。

ポールから目を離さないで、武末さんにバーナーに対する「オン」、「オフ」をくりかえした。

降下が止まった。
ポールの高さとゴンドラが同じになった。
すぐ目の前にマツダのキーがある。

手を伸ばしてキーを取るよう、コ・パイの中村佳古さんに指示する。

手が届かない!

「1m程度の差」と返事があってから、私の目の前にトヨタのキーが近づいて来た。

トヨタのキーを私は手で取った!

キーを付けてあったポールがゴンドラに当たってゆっくりと倒れた。

私がキーを取った事を2人のコ・パイは気付いていなかった。1人は、バーナーをにぎって、進行方向を見ており、もう一人は、横に並んでいるキーをねらっていたためである。

キーを取った事が解ると2人のコ・パイは、急に足が震えだしたそうだ。私もターゲットより250m以上気球が離れているか、確認するために地図を広げた時には、持っている手が震え、しばらくは止まらなかった。

「ほっとえあばるん」No.42より
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※写真はちょうどキーを取った時の瞬間です。ポールがバスケットに当たって倒れている状態です。