
「 小鉄 !」
そしたら、ぬぅーっと俺の股ぐらに入りこんできた、一瞬びっくりして、なついたんだと嬉しかったが、
コイツはそんな柔なノラじゃない、、冷たい風よけに丁度よかっただけだ、、
どうです、いい面構えしてるでしょ、、俺はコイツが好きだった、
屈託がなく、ひょうひょうとしている仕草が、何か自分に無いものを持っているようで、たかが野良猫、と思えなかった、、、
なんせ、こいつの唸り声で、食い物に近づけず、食いたくて首を捻りながら我慢してる猫をみたことがある、、、
今は更地になっているが、東神奈川の浦島踏切の小屋で、昼は白旗、夜はカンテラを窓越しに振ってた頃、

いつも線路を横断するのに、首を右ヨシ、左ヨシする猫がいた、
そいつの額には、あの「じゃりんこチエ」の小鉄のように大きな傷があり、右ヨシのとき偶然見えた眼光の鋭さは今も忘れない、
けっこう修羅場をくぐってきたからだろう、なんて、滑稽な感情移入したのは今も変わらない、、、
この柳島に限らず、河川敷に野良猫が増えている、
置き去りにされたばかりだな、とすぐ判る、おどおどしているが、近寄っても、逃げない、
何とも可愛そうで、可愛そうで、、でも、どうしてやることもできない、、
こうして書いていてもジンときて、捨てた奴をやつざきにしてやりたい気持ちだ!

やがて、巡回中に久しぶりで逢ったその猫は、あのときの面影が全くなく精悍で俺の好きな強い目になっている、、
そうかぁ、辛かったろうが生きる術を身につけたんだなぁ、、、
もう、小鉄に一年近く逢ってない、、
うらめしそうな奴の後ろ姿があった、、そうかぁ!
砂浜に打ち上げられた魚に群がるカラスを追っ払い、割れたガラスでその肉を切ってあげたとき、首をあぐあぐ回しながら食べていたのを思い出す、、
寂しいもんだ、、同じ色のノラを見かけると、もしかして!と目が追っかけてしまう、、、、
こう寒いと、つい悲観的になってしまうが、人なつっこい奴だし、けっこう気楽にやってるかもなー、、
「小鉄ーーー」・・・・・・・・。