トイレのドアを開けた瞬間「凄い」と思わず声が出た、、鮮やかな花の色が目に飛び込んで来たからだ、
「へえー」と、呟きながらポケットに手がいったが、雑に撮りたくなかったから止めて、
先に用を済ませ、手を洗ってから、しっかり息を殺してパシャッ!
こんなふうに心なごむ花を飾ってくれているのが、もう1ヶ月になる、
これは職場の掃除担当のオバチャンYさんの粋な仕業なのである、、
始めは一輪挿しがオロナミンCの瓶だったのが、いつのまにか、お洒落なブルーの漆器になったのは俺がありったけの嬉しい気持ちを伝えたからだろうか、、
「その辺にある別にたいした花じゃないですよ」
「いや、だから良いんだよ、いかにも売ってる花って感じじゃないから、よけい、そのさりげなさがハッとさせるんだよ」、、
彼女はただ花が好きなだけと言ってるが、トイレの真っ白い壁のちょっとしたコーナーにそっと花を飾る感覚は女性ならではというより、いつも控えめで実直な彼女の人間性を讃えたい、、あれは、もう二年前になるだろうか、
休日の一人出勤でゆっくりしすぎて出張所の門を出たらもう薄暗かった、
自転車のペダルを一回ほど踏み込んだ先の曲がり角に女の人がしゃがんで門に続く柵と路面の間の雑草をプチプチ抜き取っているのが見えた、
何とYさんだ!
「どうしたの?こんな暗くなって草なんかむしって」
「どうせ暇だし好きでやってますから、、でも、黙っててくださいね、お願いします」
と、細い声で言った、、、ふつうなら、労をねぎらうところだろうが、彼女がこの職場に働き始めて間もないころだったので、
何でこんな事まで、こんな時間にしなきゃいけないんだ、報われないのにと、
怪しい嫌悪感まで感じてしまったのをはっきり思い出した、、
どうしてこんなこと思い出してしまったのか、、、
この行為を俺流にからめたら、こんな気持ちになっただけ、、
、、明日からトイレに行くのが楽しみでしょうがない・・・。