くっそー、またダメだ、もう10本も失敗した、このまま祈るように何回擦っても無駄になるだけだ、、

カツッ カツッと擦るたびに白い硫黄がボロッと木の部分から無惨に剥がれ落ちる、、
2回ほど、短くシュシューときたが、
煙だけだ、こりゃあまずい、、

昨日の、はんぱない雨で、雨漏りする小屋に忘れてた、マッチ箱が湿気てるとは、、
仕事に夢中で、tbsラジオは既に赤江タマオの、「たまみがき」が始まってるのに、、

マッチ売りの少女のそれは、湿気てないから、つきが良かったろうが、別の意味、辛い、、
まぁ、彼女ほど、切羽詰まってないにしても、火がつかなきゃ昼飯が喰えない、、
かと言って、家に戻るなんて情けないし、芸がない、、

乾かそうと、テーブルの上に箱から全部出したマッチ棒の山を恨めしく、崩し平らに広げた、、
でも、この天気じゃ、硫黄が完全に乾くまで時間がかかるし、前やった虫めがね作戦も使えない、、

さあどうする、、

経験は閃きを生む、、、俺は発電機を引きずり出した、、

高温の表面にマッチの硫黄を当てれば、発火するかもしれないと、
親父が残した、役たたずだった、光らない、電熱器ばりの電球を探し出した、、

おかげで、美味しく飯を食い終わったのは、荒川強啓のデイキャッチが始まったから3時半だ、、

その日、女房に、どうしたか聞いたら、火打ち石やインディアンが木と木を擦る、軽い仕草に、やっぱ女だな、と怒らず、
俺の閃きを話して聞かせたが、マッチ一本に発電機を唸らせる感動は、伝わらなかったみたい、、

教訓はライターの用意じゃなく、小屋の雨漏りを直すことだ、、
蜜柑やブルーベリー、梅と栗の若い苗木を植え付け、猪避けの竹柵も既に終わってる、後は黙って9月を待つのみである、、

土を自然に戻すことと同じくらい重要で、手を付けることに、ほんとは怖じけずいてた小屋の大修理は、自給自足の根幹だ、
もう夏の予感がする天国で、湿気たマッチが俺に火をつけた、、。