さあ、竹の侵入をシャットアウトするための、
深さ1・6m強の溝堀は終わった、
あとはトタンを立て掛け、埋め戻せば完了である、
道路工夫の親父の血を引く,剣スコ捌きで、
我ながら早く掘り上がり満足である、

昼間でも薄暗い裏山側の小屋の壁からバリバリ
古トタンを剥がしにかかる、
昔の材料は厚く、何十年も経ってるわりにボロじゃない、

だから、今の俺より若い親父が、ゲンノウを振り上げ、
これを打ち付ける時の意気込みを感じ、
ニヤリと睨んで引き落とした、

物の無い時代だったにしろ、材料を組み合わせ、
工夫する造作技術が至るところに見られ、
ジンとして手が止まる、、

旅館を解体した材料を頂戴して、
ここまで上げたと言ってたっけ、
立派な梁だ、

なんて恵まれ、幸せな、いや、さみしい俺だよ、、

作業が進むにつれ小屋の傷みが激しい場所が
目についてきた、
雨漏りの修理が先だろうと言うのか、

ミシッ、ミシッと慎重に屋根の棟の上を忍び足、
10年の月日で、ホウキでは
掃き落とせない厚みの真っ黒な腐葉土で覆われていた、
ジョレンで、それを雪降ろしのように
欠き落としながら苦笑する、
親の爪の垢を煎じ、飲まなかった俺は、
こうして、だらしなく仕事が増えてくんだ、、

もう、道具は片付けた、
袖口に付いたペンキを落とすガソリンの臭いが、
とてもイイ匂い、、。