広い河原に続くスロープの下でドウコ缶の火を細い棒で突つく人に、注意するつもりで近づいた、、

「河川パトロールです、何を燃やしてるんですか?」

「すいません、じつは家内が亡くなって日頃使ってた物を捨てられなくて、燃やして
庭に埋めてやろうかと思いまして」、、

これを聞き、少し口調が強かったなと後悔したが、横目で燃えてる物を確認する俺はいやらしい、、
でも仕事だ、、すぐ了解と御悔やみの言葉を伝え立ち去ろうとした、、

ところが、停めてある車に案内して、持ち帰る入れ物を指さしたりして、尚も片付ける意思を丁寧に説明するさまは、奥さんを想う力が込められていて、グッときた、、

それからというもの、自転車をこぐ俺の頭の中は、もしもモード一色になってしまったのである、、

ありったけを想像して感謝した結果、ケーキを買って帰ることを決め、
喜ぶ女房の笑顔を思い浮かべることで、独りぼっちになった時の寂しさの恐怖を断ち切った、、、

ところが、、

今まで駅に着く時間をメールしても早く迎えに来てくれる率は低かったが、
今日はケーキの土産が、早く来てくれる期待を錯覚させていた、、


「電車が着いた時間に家を出たのかよ、、」

「そんなことないよ!前の車に凄く遅いのがいて、信号に全部捕まったのよ!」、、

この後、家に着くまで会話の無い中で、昼間、あんなに女房に恋焦がれた俺は
いったい何処に行ったんだと、

燃える遺品をじっと見つめる、あの表情を思い浮かべながら、口を結び、目をつぶった、、、。

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