前回、大相撲夏場のことを書きました。
大の里の優勝で幕を閉じました。
大学卒で角界に入り、1年で優勝と前場所の尊富士とはまた違った歴史に名を残す力士となったということでしょう。
「若返り」という言葉ではスポーツの世界は済ましてはいけないような気がしますが、やはり栄枯盛衰というものを感じます。
しかしながら、能登半島の地震の傷が癒えない中で石川県出身の大の里の優勝は、地元に勇気と元気をもたらしてくれたことでしょう。

 

今回はいつもながら定番となった掲題の内容を小職の勝手な意見ではありますが、掲載させていただきます。

 

「共通テスト」もようやく落ち着いた動きを見せてきている中、東大の前期試験の全志願者数は前年度よりも増えた。しかしながら、受験者数は全科類で前年よりも100人弱減少している。受験者数が減少しているのは、文Ⅰ、文Ⅱでの足切りが実施されない状況と何かリンクをしているのだろうか。一方で理Ⅰの志願者数が増加しており、理系人気、特に工学部人気の高まりを反映している結果でもあろうか。

 

まず、志願者数9,688名(前年度9,559名)に対して受験者数は昨年度より減少し、総数8,571名(前年度8,667名)の受験者数だった。合格者総数3,072名で、募集定員よりも12名多い合格者数だった。合格者のうち学校推薦の合格者91名も含まれているので、純粋に前期試験での合格者数は、2,981名の合格者が出た入学試験結果だった。気が付かなかったが大学の発表で合格者の内訳で女子の数字を開示されている。過去においてもそうだが、志願者数、受験者数の欄にはその数字はなく、合格者数のみを掲載している。

 

各科類の試験の結果が発表されているが、昨年度と比較すると科類によって合格者の最高点、最低点、平均点はまちまちの結果となっている。(点数の詳細は以下に記載したウェブサイトを参照)理系の合格者平均点が上がっていることを考慮すると前年度よりもレベルが上がっていることが分かる。特に合格者最低点がいずれの科類も上がっていて理Ⅰ +11.26点、理Ⅱ+1.16点、理Ⅲ+22.81といずれも昨年度を上回る合格者最低点だった。特に理Ⅲの合格者平均点も400点台に乗ったことも考慮すると熾烈な戦いとなっていたのかもしれない。一方、文系3科類は、合格者平均点、合格者最低点とも前年度よりも低い結果となり、理系・文系で入学試験の色合いがやや異なっていたようにも感じられた結果だった。(あくまでも個人的な意見として聞いていただきたい)

 

いつもながらではあるが、東大の配点は、共通テスト110点、2次試験440点、合計550点での得点なので、300点前後の得点率は約55%となる。モノは考えようだが、東大受験も点数を6割確保できると合格が見えてくる大学となる。あくまでも東大受験を検討されている家庭であれば、この内訳を保護者として頭に入れておくことが肝要かと思う。模試の結果とか、本番に備えた話を子どもとするときに配点の内訳が分かっていないと話が通じない恐れもあるからだ。もっとも大学の入学試験に関して試験範囲は、大学のウェブサイトにも「アドミッション・ポリシー」の一環で高等学校段階までの学習において、特に留意してほしいことを教科別に掲載している。私大の難関校では英語などとてもではないが高校受験英語をはるかに超えた水準の単語が出題される事例もある。その意味において東大の場合はオーソドックスなレベルの受験科目の学習を万遍なくこなすことでクリアできる、という入試となっているようだ。

いつもながら「言うは易し」であるので、これ以上のコメントは差し控えたい。

 

わが家の注目点はやはり理3の合格者得点になる訳だが、次男ガジュマルの見立てによると、
「いつも気になるところは、今年の最高得点が464.1889点、自分の時のそれは463.7889点。合格者平均もかなり上がっているから、今年に関する限り合格者の学力水準が上がっていることを示している。問題の難易度は3年前と同じくらいかも。でも今年に関しては数学のみでの結果が全体を左右した感じだね。数学以外の点数はほぼ前年並みで、理Ⅰ、理Ⅲともに合格者平均点が理Ⅰ+16.7点、理Ⅲ+21.9点だったわけで、数学120点満点で理系全体の合格者平均点68.5点、理Ⅲに至っては93.2点だった。去年とは大きく異なる結果だったけど、理系としては数学での差が結果に表れるという意味では、去年国語と英語での差がついたのとは訳が違うと思うから…。いつも言うけど理Ⅲの醍醐味は、多少共通テストで失敗しても、前期試験で取り戻せること。さらには数学でも、理科でも120点満点の点数で他者に大きく差をつけることができれば合格することができる。」

とのことだった。

 

合格者関連の情報は、いつもの東大塾(河合塾)と東大入試データのサイトを参照のこと。参考)東大入試データ2024:  https://todai.info/juken/data/2024/

 

という感じが今年の東大入試の結果を見ての感想。

しかし、文Ⅰ、文Ⅱで足切り実施がなかったことはやや驚きがあった。理高文低とでもいうのか、人気は確かに東大の志願者数でも顕著に表れている。女子の受験者数は増えている?とも聞いていたが、今年の入試結果をデータで見る限り、合格者数は624名(昨年度688名)と大幅に減っている。東工大をはじめとする各有名大学でも女子枠入学の制度が影響しているのか、女子学生の入学を切に願う東大としても今後どのような試みを図るのか、楽しみにしたいところ。

 

最後に今年の東大の学校推薦について、一言触れておきたい。

昨年度学校推薦枠で88名の合格者数だった。今年度は91名と増えている。募集人員が100名で毎年実施しているこの学校推薦枠。募集枠は一般の入試の科類とは異なり、法・経済・文・教育・工・理・農・薬・医の10学部にそのまま進学できる制度となっている。ちなみに一般入学をすると、まずは科類に入学し、教養課程を経て「進学選択」(一般的には「進振り」と呼ばれているそうだ)にてふるいがかけられ、専門課程に進級することになる。その過程がすべて取っ払われて進めるので、他の学生に比べて有利な面も多いのが、この「学校推薦枠」のようである。秋に選考の為の書類提出、資料、面接等を経て、1月の大学入学共通テストの受験を経て合否が決まる仕組み。通常の私大でよく聞く学校推薦枠とはやや異なる趣である。改めて入試要項を見てちょっとびっくりしたのは、既卒者でも学校推薦枠を使えるところ。今年度までは既卒者に制限はなかったとのことだが、来年度からは1浪までと制限されたとのこと。

 

学校長の推薦できる人数は4人まで。ただし、男女は各3人まで。
同一学部・学科への推薦は男女各1人とのこと。
学校としてもどの生徒がどの学部・学科に入学するのか、特に東大推薦枠は学内でもシビアなことなのかもしれない。

大学入試を控えている親としては、推薦枠で国立大学に進学することは何よりも嬉しいこと。仮に推薦枠を学校内で得たとすれば、あとは共通テストの点をクリアすればよい訳で、仮にそこでクリアできなかったとしても一般入試(前期試験)を受けることができる。一粒で二度美味しいではないが、無駄の少ない大学受験となるからだ。

 

わが家でも高校3年生の時に、東大の学校推薦枠を検討したら?とガジュマルに提案してみたところ

「ん?!、学校推薦?!、誰かが応募してるはず。ボク?僕は学校推薦には応募しません」

「なんで、早くに合格枠を確保できればその分いろいろなことができるじゃない」と切り返したところ、

「学校推薦枠で東大に行くということは、応募した学部・学科でその道を究めなきゃいけない、ということが課されることになる。僕は入学していろいろな選択肢を見ながら大学生活を送りたいと思っているから」と些か「なんでそんなこと聞くの」と言わんばかりの返答が返ってきた。

もっとも最終的に選んだ道が医学部だったので、学校推薦枠でもよかったのでは、と今は思っているが、それはそれで彼のゆく道だったので仕方のないところ。

 

いつもながらコメントで恐縮だが、合格したみなさんは楽しいキャンパスライフを送っていることでしょう。長い中学、高校生活を経て、大学受験の為だけに生きてきたわけではないだろうが、一つの区切りをこれで迎えたことになるので、まずは急がず日々の大学ライフを謳歌して欲しい。学校でもサークル/部活動でも、バイトでも趣味の世界でもなんでもいいので汗をかくこと、何かに没頭することをお薦めしたい。時間を無駄に使えるこの時期を充実させて欲しい。