大変ご無沙汰しております。2か月ぶりくらいにこちらに投稿します。

この2か月間、いろいろなことがあり、大変忙しくしておりました。

書いておきたいこともいっぱいありました。

3月には東大をはじめとする多くの大学入試の発表がありましたね。また卒業のシーズン、4月には入学式、新しい学年に進まれた方々、GWを経て新しい生活が始まった方など皆さんの生活と同様にわが家にもいろいろな歴史とエピソードがございました。

 

が、本日は何をおいても大相撲の世界が大変なことになっていますので、まずは相撲ネタをあえて<閑話休題>の枠でお伝えしたいと思います。

 

というお話をする前にわが家の愚息と私の会話を紹介します。

そもそも真剣に大相撲を観戦(テレビですが…)するようになったのは、まさにコロナ禍の頃でした。

平日の夕方に何の気なしにテレビをつけたところ大相撲の場所が始まるとやっていますよね。在宅勤務が常態化していて、毎日仕事終わりと同時にテレビをつけて夕飯の用意を始めるときにちょうど良い感じで放送をしていてそもそもの大相撲を観るきっかけでした。

「また、相撲を観てんの?」と部屋から出てくる次男、ガジュマルのかったるそうな投げかけでした。コロナ禍で大学の授業がリモートで毎日夕方まで部屋で授業を受けて、部屋から出てきての開口一番でした。

「ううん…」と別にチャンネル変えてもいいよ的なトーンで返答をしていました。

「おじいちゃんになると相撲を観るのか、お年寄りに受けるように相撲がマーケティングしているのか、不思議だよね。年寄りが決まって相撲を観るの」と半ばあきれた評論家的な発言を受けることもたびたびでした。

 

今年の夏場所、東京両国の蔵前国技館の場所ですが大変なことになっている。

通常、横綱以下、三役(大関・関脇・小結)、以下前頭筆頭から十五、十六枚目まで東西併せて40名弱で中入り後の取り組みが形成されるが、なんと三役以上の9名のうち5名が早々に怪我で戦線離脱(相撲業界では「休場」)となっている。

 

当たり前だが、大相撲の世界は体重別、階級別など別なく日々取り組みが組まれる。15日間千秋楽まで、一番勝ち数が多い力士、関取が優勝を得ることができる闘い。優勝した者が賞賛を浴び、名誉を勝ち取ることになる。

 

通常は過去勝ち数が多い力士が、番付が上になる。通常は横綱、大関が強く、優勝回数も必然的にそうなる。ところが今回はその横綱1人も大関2人も関脇2人も怪我で休場となると、誰が本当に強いのか、いわば下剋上的な勝負も数多く生まれているのが今場所。今場所、誰が優勝するのかは別として、先場所は歴史的にもすごいことが起きたことは相撲ファンならずともニュース等でご覧になった方も多いではないか。

 

偉業を成し遂げたのが尊富士(たけるふじ)関。彼がなんと前頭六前目の番付で優勝をしたのが先場所、大阪場所。これは大相撲の長い歴史の中でも前頭に上がったばかり(新入幕)の力士が優勝するのは110年ぶりの出来事とのこと。尊富士関は伊勢ケ浜部屋の関取で、現在唯一の横綱、照ノ富士関の所属する部屋です。相撲の世界は強いものがすべてを制す世界。強い相撲を取る先輩力士をいつも目にしながら稽古をする角界(相撲世界の別の呼び名)でも、尊富士は羨望を浴びるであろうプリンスであることは間違いない。しかし、今回の優勝は万全で成し遂げられた訳ではなく、14日目に右足首を負傷、とてもじゃないが千秋楽(15日目)には出場が危ぶまれた状況に追い込まれていた。

 

尊富士関が目指す力士像とは、「記録に残る力士ではなく、(観る人の)記憶に残る力士になること」と普段から口癖にしていた。大阪場所の14日目まで勝ち星先頭で走っていたわけで、もう十分に記録に残る歴史を刻んでいた関取ではあった。しかし、そこで優勝ができることとなれば間違いなく観客、相撲ファンの記憶にとどまるだけでなく、大きく記録も塗り替えることになる力士となる。神様は無常にはあと一日のところで彼に試練を課した形になった。

 

「(お前は)記憶に残る力士を目指すんだったんだよな」と怪我で明日を休場しようか悩んでいた尊富士に、彼を鼓舞したのが、何を隠そう休場していた横綱照ノ富士関だった。恐らくこの言葉がなかったらこの大記録も生まれなかっただろう。実際に尊富士関自身も「迷っていた気持ちを一転明日の千秋楽に臨む気持ちを強くした」と後に記者に語っている。まさしく孤独な力士が親方だけでなく同じ部屋の力士(チームメイト)に鼓舞されることで110年ぶりの前頭に上がったばかりの力士が優勝杯を手にすることができたのだろう。

 

話は最初の話に戻るが、なぜ私が相撲の虜になったのか、理由をちょっと考えてみた。

若いころ相撲は一切観ていなかったし、なぜこの歳になって観るようになったのか冷静に考えてみた。

 

まず、今回相撲がゆっくり観れる環境がコロナ禍によって生まれたこと、そして一瞬で終わる取組みだが、ライブでみていると取組一番(対戦一戦)が終わると必ず様々な角度からスローVTRで紹介されること、そして各相撲部屋の蘊蓄や関取自身のエピソードなどがTVを通じて紹介されることなどが相まって興味を注いだのだと気が付いた。

 

特にスローVTRだが、お相撲さんの厚い脂肪の下に隠れた筋肉の動きや体の重心が大きく動く姿が克明に映しだされる。実はラグビーの世界でもワールドカップのプレーヤーのスキルレベルが上がり、感覚的なプレーからまさに科学的な分析に基づくプレーが基本となっている。早く走るだけでなく、どうやって押すと素早く相手を凌駕できるのか、効果的なタックルでディフェンスを強化するために、様々な科学的なアプローチがなされている。

 

相撲の世界にもラグビーの所作に参考になる動きも多い。特に相手の重心をどのように崩すのか、タックルをする場合には大変参考になる動きだ。相撲の世界は、重たいと200㎏を超える重量。軽くても100㎏は超えている。立ち合いの一瞬で相手を遣り込めるちから、土俵際で投げを打つ、さまざまな状況下で一瞬の判断で技を出す判断など、頭で考えて動く動作だけでは決して良い勝負はできないだろう。恐らく相撲においてもこうした映像を元に数多くの分析がなされているのだと思う。よく親方は、四股を踏め、テッポウ(大きな柱)を押せなど相撲の世界では基本中の基本を弟子に伝える。でも弟子は早く人間と対峙、勝負がしたいと思う気持ちがあるはず。いろいろな怪我や敗戦を経て基本動作の大切さを理解することとなろう。

 

若手の力士にもチャンスが生まれる場所になったこの夏場所。誰が賜杯を手にするのか、楽しみだ。

 

Netflixで「サンクチュアリ」というドラマがシーズン1を観ることができる。かなりバイオレンス的な要素が強いドラマではあるが、かつての相撲業界の表と裏の世界がつぶさに描かれていて、海外での評価も上がっていると聞いている。相撲ファンは日本だけにとどまらず多くの世界の相撲ファンの心を魅了している。

大相撲の益々の盛り上がりを年寄りながら今後も応援したい。