今日は珍しくLIVE(今)のことを書きたいと思います。

コロナ禍が明けて初めて次男ガジュマルと一緒に本郷キャンパスを歩いてきました。

ちょうど午後から東京駅の近くで友人のセミナーを聞きに行く予定があり、天気も良さそうなので東京大学本郷キャンパスに連れて行ってもらいました。

 

前日の夜、

「明日さぁ、たまたま午後から東京駅近くにいくんだよね」と切り出してみました。

「あ、そう」といつものつれない返事。

「それでさぁ、もし学校に行く予定があったら…本郷キャンパスに連れてくれない?」

「なんで?」

「いや~行ったことないでしょう、貴方が大学に入ってから」と。

「普通の親は行かないでしょ。子どもの大学に」とこれもまたつれない返事。

「せっかくだから連れてってよ」と強引にお願いをしたところ

「明日は午後から研究室に行くから、その前だったらいいよ」

と珍しく合意を勝ち取りました。

 

朝から日差しがまぶしい春の日、外に出ると少し風が強かったのですが、久しぶりに次男と一緒に大学キャンパスに向かいました。

いつもとは違うルート、地下鉄で向かってみたところ、駅を降りてからちょっと迷った様子でした。ですが無事に本郷キャンパスに向かうことができました。

「あれ、こっちだっけ?」と聞くと、

「ちょっと待って」と周りの風景を見ながら交差点まで来ると

「大丈夫、あっちが正門だから」と言ってまずは交差点を渡り、「ここで渡っておかないと次の横断歩道がかなり先になっちゃうから」

 

本郷キャンパスは、ご存じの方も多いと思いますが、かなり広いキャンパスで入り口もいくつかあり、さらにその入り口によって最寄りの地下鉄の路線、駅が異なるので、最終的なキャンパス内の目的地によって最寄り駅が違うようになります。勿論、どこの駅からもキャンパスにアクセスができて、構内を歩けば最終目的地に着くわけですが、まさに「最寄り」の校舎に到着するためには最寄り駅からアクセスしたいわけです。

 

「いつも懐徳門(かいとくもん)から入ると校舎が一番近いから」とせっせと路地裏に入り、工事中のマークを横目に見ながらこの門から入りました。医学部の校舎は本郷キャンパスの中でも南の端に位置しています。正門、銀杏並木、安田講堂が中心だとするとまさに一番遠いエリアに位置しています。そのため、この南の端にある懐徳門が便利な門となるわけです。

 

「懐徳門」は明治40年に建てられた懐徳館旧館(旧前田伯爵邸)に由来するとのことで、この旧館の一部のレンガがこの門の外壁の一部として残されていました。なかなか歴史を感じる門ではありますが、本郷キャンパスにあっては極めて小さい門の一つかもしれません。

 

懐徳門を入るとすぐ右手に「東京大学総合研究博物館」があり、ここは先日NHKの番組で「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」という番組でも紹介していた博物館です。大学創設以来の学術標本コレクションが集まるという稀有な博物館で、展示されている標本はほんの一部だそうで、時間があったら訪れたい博物館のひとつです。ちなみに東京大学が保有している学術標本600万点のうち400万点がここに保管されているそうです。土日祝祭日を除く平日であれば入館無料で入館できるのでご興味のある方は是非訪れてみてください。

 

懐徳門から50mほど歩くと医学部1号館の古いレンガ造りの校舎が見えました。

「ここがいつも授業で使う校舎」とガジュマルからさっそく説明がありました。

「古くて、伝統を感じるね」

どうでしょう。古い建物だからでしょうか、3階建てくらいの低層の建物で底面積がとても広いイメージがある建物でした。その横にある研究棟が新しく高層建築の校舎となっていました。

「そっちの高層棟の方にいつも行ってる研究室があるのね」と続けて教えてくれました。

医学部1号館を横目に見ながら安田講堂の方角に向かうと医学部2号館と医学部村が続く感じで校舎が出てきました。

「このモダンな高層棟の校舎はどこの学部?」と尋ねると

「こっちは経済学部かな、ほかの学部の校舎にはほとんど入らないからわからないねぇ」と同じ敷地内にあってもなかなか入らないもんなんですね、他の学部の校舎に。

 

今回、初めて本郷キャンパスの中を歩く機会となりました。コロナ禍の時代を教養課程駒場での授業から専門課程の本郷に移ったのが去年。父親として自分もあこがれた大学、私は残念ながらこの大学の試験も受けることができませんでしたが、改めて国立大学の底の深さを敷地の広さと建物の重厚さに圧倒された感じがいたしました。

 

今回の目玉は、東大の生協購買に行くことでした。キャンパスグッズというものでしょうか、おばあちゃんや親戚にそうしたグッズをいつか渡してあげたいな、と思っていました。私の父も次男の入学式のWeb閲覧には間に合ったのですが、その後半年で亡くなってしまったものですから、孫の東大の通う様子などを一切垣間見ることもなかったのです。せめてキャンパスグッズを霊前に供えてあげたいな、と思って本日に至りました。

 

安田講堂の地下にある生協に行ったのですが、実は思っていたほどキャンパスグッズの種類はありませんでした。マグカップも東京大学野球部のマグカップのみでしたし、その他シャツ類も思いのほか数が少なく、これは入学式を迎える直前の閑散期なのかもしれません。その中で結構面白いグッズとしては、キャンパスものではないのですが、伊沢さんが代表を務める「クイズノックス」のトートバッグがありました。黒地にカラフルな刺繍のされた布地のバッグで私の母、おばあちゃんにはちょうど良いお土産ができたな、といい買い物ができたと満足しています。

 

その後、本郷キャンパスの一番北側の奥にある書籍を販売する生協にも連れていってもらいました。ここは例年春先に教科書類が数多く並ぶところだそうで、この時期に訪れるのも初めてだと次男も言っており、「この時期こんな感じなんだね」というのが率直の彼の感想でした。書籍はほぼ専門書ばかり、凡そ街の書店では見かけない分厚い本や洋書が多く並んでいました。私も思わず見慣れないタイトルの本「AI医療革命、ChatGPTはいかに創られたか」という書籍を購入してきました。

 

最後に東大病院の前を歩いていると、

「ここが東大病院だけど、マジでここの建物、大きくて本当に迷う」と、突然彼が言い始めました。

どうやら昨年、担当の教師との面談があったそうですが、東大病院のどこどこに来てください、との指示があったそうですが、安易に行けば分かるだろうという乗りであのあの建物に入ったところ、まず建物が広くて大きくて、さらに同じような構成になっているため地図で見てもどこに今居るのか錯覚をしてしまったようでした。

東大病院に行ったことがある方ならお分かりだと思いますが、前面の荘厳な外来の建物とは別に横からの病院の絵図もなかなかの大きさで確かに似通った建物が連なる様子は荘厳の一言に尽きます。私が将来ここにもし来る機会があるとすれば、息子が医師になった後で病気の私がお世話になる時くらいのものでしょうが、元気な時に一度探索をしてみたくなるような建物でした。決して建物好き、フェチではないのですが、改めて伝統を感じる病院の造りでさすが東京大学の病院なんだな、と感心させられました。

 

今日はここで時間となり、次男は研究室に、私は東京駅に向かいここで別れました。

 

珍しく次男が時間を使ってくれて一緒に学校の中を案内してもらい、息子も大人になったなと感じたひと時でした。改めて東京大学にお世話になるご縁を大切に、そしてこれからも彼の興味のあることに邁進してもらいたいと改めて思った一日でした。

 

明日は折しも東京大学の合格発表の日ですね。

緊張をされて夜も眠れない気持ちもあるでしょうが、全力を尽くした皆さんには必ず報いの時が来るはずです。それを信じて明日のお昼をお待ちください。

12時ちょうどですとネットがなかなかつながらないと思いますが、焦らずに何度もキーを押してみてください。

本郷キャンパス散策もいいものです。実は三四郎池も赤門もじっくりまだ見られていませんので、またよい季節にお邪魔をしてみたいと思います。