今年も共通テストを終了しました。受験された方、来年に受験(同日模試)を控えている方、昨日は自己採点の一日だったと思います。すでに次の目標に向けて勉強を開始されていることと思います。大学受験の勝負はこれからが本番です。

 

また、中学受験も埼玉県、千葉県の受験日程も終わり、いよいよ2月に向けて皆さんも準備万端整えている頃かと思います。灘中学も本日入試発表日で結果がサイトに掲載されていました。募集定員180人に対する受験者は736人、合格者は265人、実質倍率は2.78倍とのこと。昨年度並みの数字となっている。募集定員に加えて85名の合格者数となっているが、出身都道府県別の合格者数、東京都46名、神奈川県15名、愛知県13名、埼玉県9名、福岡県6名の合計者数が89名。兵庫県、大阪府、京都府の合格者数が圧倒的に多い訳だが、ちょうどお試し受験と思われる数だけ多めに合格を出している感じにも見えますね。

 

さて、今回のお話しは10月末に出ていましたダイヤモンド10/28号の「わが子が成長する中高一貫校&塾」についての続編です。

こちらのテーマに関して、中高一貫校と塾選びについては前の回でお話をしました。

今回はそれ以外で面白い記事が掲載されていたので、その内容を紹介しつつ、わが家の体験記や感想、意見などをまとめて紹介いたします。

 

まず、今回の記事の中で面白い企画が、「中学受験・父親座談会」と称して、中学受験経験者の父親4名により覆面座談会(見る人が見れば誰だかわかるような方々だと思いますが…)の記事です。私も父親として中学受験、大学受験をフォローしてきた身として彼らの思いや考え方に共感できるところ、時代の差を感じるところ、子を想う気持ちにほろりとくるところなど大変面白い企画であったと思うので紹介してみたいと思います。

 

ちなみに、サブタイトルとして「PDCA父さんで何が悪い、夫婦喧嘩・地頭問題・併願戦略・塾への要望 ――全部語った200分」が出ていました。ここもなかなか辛辣なところもあり、本音を語っているところがあけすけで面白い記事でした。以下、各テーマにより参加者のコメント(抜粋)。

 

・まずは「PDCA父さん問題」

お子さんの中学受験をサポートする父親が増えている一方で、ExcelでPDCA(Plan計画・Do実行・Check評価・Action改善)父さんに批判もあります。

「逆算してPDCAに落とし込むことは悪くない。父親としてPの部分が『願望』になりやすい。『願望』と単なる『計画』と違う意味を持つ。Pが『願望』となるとDもCもAも立ち行かなくなる」

「Pの部分は2つのケースがあると思う。ひとつは、純粋に勉強の計画、今週はここまで終える的な進捗管理的な部分。そしてもうひとつが勉強の仕方、こうやってみたけどうまくゆかなかったので次はこうやってみる、という側面」

「Excelで管理することが悪いことではなく、あれだけの量を勉強するのだから、何をやって何をやっていないかを明確にするにはExcelで管理は分かりやすかった。過去問の実践管理も明確にチェックすることができた」

 

・中学受験に関する夫婦喧嘩の問題

「最初は夫婦喧嘩だらけ。仕事から帰ってきて妻が子どもに勉強をさせていないと目についてしまう。当初の予定分が終わっていないと『なんでできなかったの』と妻に文句を言ってしまう」

「喧嘩をすることはなかった。平日は妻に勉強をみてもらっている。勉強のやり方は子どもと父親で考えて決める。妻にはサポートに回ってもらっている。仮に勉強していなかったとしてもそれは子ども自身の責任の問題」

「うちは妻と子とも喧嘩が絶えなかった。子どもが中学受験をすることに腹落ちしていなかった時には、まず勉強をやる、やらないでもめるから勉強に集中するまで時間がかかってしまった。そんな状況で平日は妻が子どもの勉強をみるので、家庭不和の原因だった」

「(中学受験の塾関係者の父親の意見)父親が中学受験に関心がないケースで直前の12月や1月に参入してくるケース。全部の模試が終わった後に『えっ?そんなところを受けるの?』から始まって『御三家受けたら』とか言ってくる。勉強を見ていない父親ほど、妙な自信がある人が多い。前々からご家庭で受験校についてはしっかりお話をしておいてください、ってお願いするのですが」

 

・地頭問題~中学受験で外せないのは「地頭」問題~

「持って生まれた資質は絶対ある。いつ伸びるかという部分も含めて、成長の度合いも確実に関連する」

「自分で問題を解いてみると分かるが、難関校以外は道具(問題を解くための知識、基本的な解法など)が使えるようになると解ける。けれども難関校の問題は仮説が重要で、頭の回転力が必要になる。しかも試験の会場で5分、10分で解かなければいけない」

「四谷大塚の偏差値でいえば、偏差値64にドーバー海峡がある。その手前までは何とか努力をすると行けるが、その先は」

「発射時点での地頭とそれにプラスして中学受験時点での成熟が早いかどうか、成長カーブの傾きがある。変に頑張らせ過ぎて勉強が嫌いになったらだめですよね。とにかく勉強を好きにさせておくようにしないと。人生を通じてずーっと勉強は続くから」

という感じで座談会は終了しています。

 

常識的な父親のみなさんで、「二月の勝者」の島津君の父親のような人はいませんでした。それぞれのご家庭の中学受験に向けてのスタンスと想いが伝わってくるような座談会の内容でしたね。

 

さて私の感想としては、

まず「PDCA父さん」のパートですが、かつてPDCA的なアプローチを考えましたが、中学受験で網羅しなければいけない範囲があまりに範囲が膨大で、そして自分の仕事が忙しくとてもではありませんが子どもの中学受験に寄り添うことができませんでした。その意味ではこの座談会にされていた皆さん、しっかりお子さんに寄り添えている、いたことを羨ましく思います。このPDCAに関して、確かに苦手な分野の管理や必ず通過しなければいけない過去問(入試問題)の結果などをしっかり管理できていれば子どもも受験直前の対応があたふたすることなくスムーズに行えていたかもしれません。その意味で大まかにこれだけはしっかりプラン(Plan 計画)を立てること、それに沿った形で6年生の12月、1月を過ごすことも一考かもしれません。直前準備に対してはPDCAを細かに回してゆくこともありですね。

 

「夫婦喧嘩」については、あまりわが家でも喧嘩に至ることはありませんでした。というのも、妻は都内の出身ではありますが、中学受験経験者でなかったので勝手がわからず塾の先生や私の意見を尊重してくれました。あえて妻から注意を受けたのは、「6年生になったら細かい部分を子どもに教えることを家庭では控えてほしい」とSAPIXから言われていたことでした。問題が解けないときに、子どもが「教えて」と言ってくるのですが、どうやら教え方がSAPIXと違うとまずいので細かな部分は指導せずに、塾の先生に聞いてほしいとのことでした。

 

「地頭問題」はまさにわが家でも同じ会話をしていたことを思い出します。麻布の場合はご存じのとおり問題文が長いこと、そして思考力を問う問題が多いことで有名です。問題文を読む過程で何が問われているのかを短い時間の中で把握することがまずは大切でした。そのテクニックというよりも、読解力そのものの力が問われます。その上で的確な解答を導き出さねばなりません。その意味で地頭をより鍛えておくことが求められるわけです。余談ですが、入学後先生に伺ったのですが、読解力を伴う問題ではありますが、生徒によっては論点を読み違えている場合もあるそうです。当たり前ですが論点を読み違えるとまるっきり解答が正解からかけ離れたものになるわけですが、ごくまれにその解答に至った論理構成がしっかりしていれば、途中点をいただけるケースもあったと伺っています。その意味において正解はひとつではない、というケースもあるんですね。地頭とは少々異なるところではありますが、論理構成が正しく構築できていればよいという部分では地頭力がとわれているのかもしれません。

 

一方で開成中学のように精度を問われる力を求められるケースもあります。それも限られた時間内でその正解に到達しないといけない、という意味での地頭力が必要です。灘の算数も国語もしかりですね。解法の糸口を見つけることができるか、にたどり着けるかできるか、そもそも気が付くことができるかを問われることになるので、地頭力は中学受験だけでなく人生においても重要ですよね。地頭の問題はまた機会を変えてお話をしたいと思います。

 

ダイヤモンド10/28号の「わが子が成長する中高一貫校&塾」は夏前に出る受験関連の定期号とはいささか趣旨が異なり面白い内容であったような気がします。中学受験、高校受験、大学受験はまさにこれから佳境を迎えることとなります。まずは渦中にいらっしゃるみなさんには実力をしっかり発揮できるよう祈念いたします。これから受験に向けて準備を重ねるみなさん、しっかりと計画を立てて臨んでください。