どうぞ安らかに | tomの毎日

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日々刻々、心にうつりゆくよしなしごとを。


浅い底から見上げた海面は、
光がじんわり広がって、
とても柔らかく美しく見える。

人魚が本当に居るなら、
その上に広がる世界に、
夢を抱くのも無理はないと思わせる、
サイパンの澄んだ海と、暴力的な日差しを思い出した。


高橋順子著「月光人魚伝説」を読んだ。

片目の不自由な女性が、愛する人に添うために、
人魚になろうとするお話。

アンデルセンとは逆だわね。


詩人が綴る、ファンタジックロマンチック一辺倒な作品かと思いきや。

時折滑り込む、主人公の嫉妬や愛情などが、
意外と生々しいけれど。

ナイトキャップ代わりのお伽話は、
ほんのりあたたかい。


主人公の目が治ったように、
人魚になると、地上で受けた傷や痛みが癒えるのだという。

軽々に言ってはいけないけれど、
あの津波で、水底へ連れ去られたたくさんの人達も。
今はそんな風に、自由になっているのだと思いたい。

どうぞ安らかに。


最後の一筋を拭って、
今日の泣き納め。